国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 令和6年8月1日(木)11:42~11:54

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。案件につきましては、「大規模災害における警察活動の高度化の推進について」などがございました。本日は以上でございます。

問  大臣にお尋ねします。ただ今ございました大規模災害の関係ですが、能登半島での警察活動を振り返りまして、今回のような課題を抽出して、対策・取組についてとりまとめたところです。今おっしゃったように、今後、大規模災害時の警察活動の高度化をどのように進めていくか、お考えをお願いします。
 あわせまして、先週山形県の大雨で県警の警察官お二人が殉職された事案がございました。この事案への受け止め、こうした事案を防ぐためにどういった取組を進めていくべきかのお考えも含めましてお願いします。

答 (大臣)2点お尋ねかと思います。まず1点目の振り返りについてでございますが、これにつきましては御存じのとおり、今回の能登半島地震、これは私がもう一つ担当しております防災の方で、各市町それぞれの対応がございましたので、これについて困難であったもの、また、それをどう乗り越えたか、それを現在の復旧・復興にどう活かせるか、最新技術、こういったものについてとりまとめをし、総理にレポートを提出したところでございます。
 それを受けまして、現在、有識者の方々に入っていただきながら、外部からの御意見を伺いながら、今後に活かしていく予定でございます。その先をイメージしておりますのは、例えば、今回のような地理的制約のある地域というのは日本全国どこでもございます。こういったものの洗い出しを含め、そこに注視をし、対策を練ってまいりたいと思っておりますし、南海トラフ、首都直下にも活かせないかと、こういった検討を今後進めてまいるところであります。
 その中におきまして、警察においては、地震発生直後から、石川県警察が総力を挙げて災害警備活動に取り組むとともに、全国の警察から延べ12万人を超える警察職員を被災地に派遣し、各種警察活動を展開し継続してきたところでございます。
 今回の地震の対応では、半島というまず地理的制約の中、道路の寸断等により部隊展開が容易でなかったこと、厳冬期であり、断水また停電が続く中での活動となったこと、また被災地域が広範に渡りましたので、防犯対策が広範囲に渡って求められたこと、こういった課題が抽出されたところでございます。
 これらをしっかりと振り返り、警察全体における災害対処能力の向上に繋げていくことが重要と考えております。こうした考えの下で警察庁において、大規模災害における警察活動の高度化に資する取組として、まず、このたび、初動の部隊展開の更なる迅速化に資する装備資機材の整備といった取組や、警察災害派遣隊の一つとして防犯カメラの設置を任務とする部隊の新設、こういった種々の取組を行うこととされたところでございます。
 国家公安委員長としても、こうした取組が着実に推進されるとともに、警察庁及び各都道府県警察において実戦的な対処訓練等が引き続き行われるよう、警察を指導してまいりたいと考えております。
 2点目でございますが、7月25日からの大雨に伴う災害警備活動に際しまして、山形県新庄警察署の警察官2名が殉職したことは、私といたしましても大変心が痛むものであります。改めて、お亡くなりになられた2名の警察官の御冥福をお祈り申し上げますとともに、御遺族の皆様方に心よりお悔やみを申し上げたいと思います。
 これまで、災害対策・対応に際しましては、県警職員の何より安全確保に努めてきたところでありますが、今回の事案の発生に至る経緯について、今後、山形県警察において確認を行うと承知をしております。その結果を踏まえ、安全に万全を期するよう、今後警察を指導してまいります。

問  長官にお尋ねします。組織的窃盗・盗品流通事犯の対策というものがまとまりました。太陽光発電所での金属ケーブルの盗難、それから大量万引き、自動車盗、こういったものが組織的に行われていることで、今回都道府県警に捜査体制の構築等指示したところですが、今回の取組、対策では法規制の在り方も含めて検討していくということですが、今回の取組の意義、法制度も含めてどう対応していくか、お考えをお願いします。

答 (長官)昨年来、「警戒の空白を生じさせないための組織運営の指針」を定めた上で、あらゆる分野の点検を行ってまいりました。そうした中で、太陽光発電施設における金属ケーブル窃盗、あるいは衣料品店・ドラッグストア等における大量万引き、さらには高級車種を対象とした自動車盗、こうした犯罪が多発をしていることに着目をして情勢分析を行ってまいりました。
 その結果、匿名・流動型犯罪グループによる手口の特徴を有していることが明らかになりましたことから、匿流対策の重要なテーマの一つとして、組織的窃盗・盗品流通事犯対策を掲げまして、今週、各都道府県警察に対して、改めて対策の強化を指示したところであります。
 都道府県警察に対して指示をした事項は大きく2点ございます。
 1点目は、取締りの強化であります。部門の壁や都道府県の垣根が警戒の空白を生みかねないということから、こうしたものを取り払うことによって、犯行グループはもちろんでありますが、悪質な金属くず買取り業者、自動車解体ヤード等の盗品処分先の検挙にも繋げてまいりたいと考えております。
 2点目は、より踏み込んだ防犯対策の推進であります。被害を多く受けている事業者の中にも、防犯対策については温度差があります。あまり積極的ではないというところも散見をされます。しかしながら、そうした状況は犯罪を助長しかねません。被害を多く受けている事業者に対しては、防犯カメラの設置その他の防犯対策について、これまで以上に踏み込んだ働き掛けを行ってまいります。また、有効な防犯対策を推進すべく関係省庁とも連携を強化してまいります。
 さらに警察庁固有の仕事として、古物営業法等の法規制の在り方を検討したいと考えております。盗品の流通防止や、もっぱら犯行の用に供されるような器具の所持等に関する法規制の在り方について、より詳細な実態把握を進めつつ、関係省庁と協議しながら検討を進めてまいりたいと考えております。

問  長官にお伺いします。昨日、今年上半期のSNS型投資とロマンス詐欺の認知件数等の発表がありましたが、依然として厳しい状況が続いているかと思います。大阪府警では先日、大規模な摘発等もありましたが、警察の今後の取組と、今現在の受け止めについて、長官からお伺いできればと思います。

答 (長官)本年上半期におけるSNS型投資・ロマンス詐欺の認知件数が5,000件を超えております。被害額は660億円を上回ったということであります。一日あたりに換算をしますと、4億円近い被害が生じているという計算になります。
 これは、増加傾向が顕著となりはじめた昨年後半を大きく上回るペースでありまして、特殊詐欺と比べても被害額が約3倍にのぼっております。極めて憂慮すべき状況であると認識をしております。
 こうした情勢の中で、今お話もございましたが、先般、大阪府警において、SNS型投資詐欺グループの拠点12カ所を摘発して、約90人の被疑者を逮捕したところであります。この犯行グループについては、現時点で少なくとも被害者約150人、被害総額約9億5,000万円の被害が確認をされております。
 SNS型投資・ロマンス詐欺は、匿名・流動型犯罪グループによる典型的な犯行手口であります。取締りと抑止の両面から必要な対策を進めていくことが重要であると考えております。
 まず取締りにつきましては、これまでは多くが海外拠点に対するものでありましたが、今回の事件を通じて、国内にも犯行拠点が少なからず存在していることが明らかとなりました。引き続き、特殊詐欺連合捜査班、TAITをも活用しつつ、国内捜査を徹底してまいりたいと考えております。
 また、抑止につきましては、今年の6月18日に犯罪対策閣僚会議において決定されました「国民を詐欺から守るための総合対策」、これを踏まえまして、関係省庁や事業者とも連携しながら、SNS事業者等に対する犯行利用アカウントの削除依頼等の働き掛けや、実態のない法人の口座が犯行に悪用されることを防止するための方策の検討、こうしたものを加速させていきたいと考えております。