国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 令和6年8月22日(木)11:30~11:44

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。案件につきましては、サイバー安全保障分野での対応能力の向上に向けた有識者会議の第3回がございましたが、この結果について、こういったものがございました。私からは以上でございます。

問  大臣にお尋ねします。大臣は昨日、山形県の大雨被災地を視察されました。現地を御覧になりまして、今回の大雨について、それから、今後の災害に対する警察の対応についてのお考えを改めましてお願いします。

答 (大臣)まず昨日、山形県に入りまして、山形県から秋田県の視察をしてまいりました。本来であれば先々週行く予定でございましたが、地震が発生し、南海トラフ地震臨時情報が出ましたので、2週間延期をしておったところでございます。
 残念ながら、今回の災害で新庄署に勤務いたしておられました二人の若い警察官が殉職をなされました。新庄署に寄りまして献花台が設けられておりましたので、献花をさせていただいたところでございます。お二人の警察官の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、御遺族の皆様に心よりお悔やみを申し上げたいと思っております。非常に心の痛い事案が発生して残念に思っております。
 その上で昨日は、山形県の警察官が殉職をなさった現場に赴きまして、山形県警察から事案発生時の状況を含め今回の災害対応について報告を受けたところでございます。山形県と秋田県の浸水被害現場において、地元の自治体からまた被災状況についても報告を受けたところでございます。
 現場にまいりまして、やはり過酷な現場の中で被災者の方を救おうとなさったという状況が、非常に目に浮かんでまいりました。実は私も、令和2年に地元で球磨川の水害に遭っておりますし、私の地元中の地元でございます。水害というのは大変怖いものでありまして、そういう事実を認識いたしておりますので、その現場に立ちまして、フラッシュバックするというか、思い浮かんだところでもございました。
 改めて、今日の我が国は、やはり災害がひとたび起きますと、激甚化・頻発化もしております。豪雨災害への備え、これを強化する必要性と、厳しい災害現場で警察官の皆様方の安全を確保しながら、どう対処いただくか、こういうことを徹底する必要性を改めて認識をしたところであります。
 その上で、最近も台風や大雨の被害が続いておりますし、来週もまた台風が来る予測でございます。また、南海トラフ、首都直下地震、こういった大規模地震にも対処していかなければなりません。ひとたび起きてしまえば、その最前線に出ていただくのは警察官の皆様でありますので、こういった方々の安全をまず確保しつつ、どう被災者の方々をフェーズ・フェーズで救助・救援していくか、こういう対処は引き続きやっていく必要があると思っているところでおります。
 そういう意味では来年度予算の中で、今回の能登半島の振り返りの中でも、資機材の充実、あるいは、自衛隊並みとは申しませんが、厳しい環境の中での自己完結型での対応ができるような体制をとるようにと指導してまいりましたので、予算の中にも反映をし、概算要求に入れていただくようにしたところでもございます。
 今回の水害については、ライフジャケット等も県費でそろえてあったということでございますが、全員の分はなかったと。早速先週、山形県議会の方々、おいでをいただきましたので、こういったものもぜひ御検討いただけませんかと、私からお願いをしたところでございました。早速、議運を開いていただいて、県警本部長から聞き取りの上、今後対処するという方向で山形県では対応いただけると、早速の対応に感謝をいたしておるところでございます。
 いずれにしましても、ひとたび災害が起きたときに、最前線に出て行って対処いただく警察官の安心安全を守るためにも、こういったものの再点検、しっかりとやるように警察を指導してまいりたいと考えております。

問  大臣にお伺いします。まだ暑い日がかなり続いておりますが、現場警察官の暑さ対策ということで、新たなルールを各県警で取り入れているということですが、こちらの経緯と、大臣のそれについての御所感をお伺いできればと思います。

答 (大臣)まず、ここにおいでの皆様方には、暑さ対策という意味で、例えばサングラスでありますとか、こういったものをいろんな形で、国民の皆様に御理解いただける形で情報を発信いただいていることに感謝を申し上げたいと思います。
 暑さ対策のみならず、この職に就きまして、特に1月1日、石川県で地震が発生をいたしました。ここに7回程出向いておりますが、極寒の中でありました。その中で、警察官の方、行動いただき、この装備・服装で大丈夫かと心配をしておりましたし、暑い時期になりますと、やはり酷暑の中で大丈夫かと心配をいたしておりました。何より体力を消耗いたしますので、やはり機能的でなければ、その任務を果たすことができないのではないかと、こういった懸念を抱いていたところでもございます。そういう意味では、職員の皆様の命や健康を守る観点、それと警察活動の能率的な遂行を確保する観点から、重要な課題だと考えておりました。
   こうした状況を踏まえまして、警察庁におきましては、総括審議官をトップとするワーキンググループを開催いただいて、部門横断的な方策をとりまとめ、本年4月、都道府県警察に対し、効率的な取組を推進するよう指示したところであると報告を受けております。
 各都道府県警察におきましては、暑熱対策に資する資機材、例えば冷却グッズ、今ジャケットにこのファンが付いているものもございますし、それぞれの持ち場持ち場でいろんな対策を練っていただいていると思っておりますし、水分の補給の徹底の指示、こういったものだけでなく、暑熱環境下で一定時間継続する業務では、交代要員を確保するなど避暑時間の確保、いわゆる甲子園でもございますがクーリングタイムがあるように、やはり時間をしっかりと確保して身体を冷やして交代するような体制、こういったものも取っていただいております。業務上支障がない場合には、より涼しい時間帯に活動するなど、活動時間帯の見直し等にも踏み込んで取組を推進していただいております。
 昨日も視察にまいりました時にちょっと気になっておりましたのが、警護の皆様方が、これは県警もそうでございますし、私に付いているSPの皆様もそうですが、ワンシーズンの制服しかございませんでしたので、少し暑すぎるだろうと思っておりまして、指示をいたしましたところ、早速対応いただいて、夏服での対応で、現場ではそういう指示が出たので、非常に体調面で暑さを気にすることなく非常に涼しい状態を確保しながら警護することができましたと、御意見を伺ったところでもあります。
 引き続き、効率的な暑熱対策を推進していく、私自身は覚悟でございますし、そういった指示をしてまいりたいと思っております。国民の皆様方には、ぜひ警察官が必要な時に、例えば水分補給や避暑時間の確保等をやっている時に、御理解をいただければと思うところでもあります。警察官の職務は、やはりそういう国民の皆様に、何と言いましょうか、安心を与える立場でありますので、そういったものを御指摘いただくと、やはり飲みにくいとか休みにくいとか、こういった意見もあるようでございます。ぜひここにおいでの皆様方にも、国民の皆様に、警察官も人間でありますので、それぞれの効率的な動きができるような暑熱対策を取ることに御理解をいただきますように、広報に御協力をいただければ大変ありがたいと思っております。

問  長官にお尋ねします。2019年の参院選で、当時の安倍元総理の演説中にやじをとばしたとして、北海道警の警察官に排除された2人が道を相手取って訴えた裁判ですが、この前最高裁が道側の上告受理申立を不受理とする決定をしました。今回の決定、選挙演説中の警護警備のあり方にも関わったと思いますが、今回の決定に関する御所感をお願いします。

答 (長官)今お尋ねがございましたのは、選挙運動に伴う札幌市における警護の現場におきまして、北海道警察の警察官が、大声を上げるなどした男性と女性について、警察官職務執行法等に基づいて、それぞれ制止等の対応を取ったことに関して訴訟になり、男性については、警察官の行為が適法と認められた一方で、女性については違法とされた高裁判決がございましたが、これを受けて行われた上告等について、今回最高裁がそれらを退けたというものであると承知をしております。
 このように、警察官の行為が一部違法とされたことにつきましては、警察庁としても真摯に受け止めなければならないと考えております。
 その上で申し上げるわけでありますが、選挙運動に伴う警護につきましては、通常の警護に比べますと格段に危険度が増す、そういう現場になるわけであります。一つとして同じ現場はもちろんありませんし、刻一刻と状況が変わる中で危険性を判断し、警護対象者、そして聴衆の安全を確保するために、最も適切な警護措置を取ることが必要となる、そういう現場であります。それには極めて難しい判断が伴うであろうというのが実態であると思います。
 法令に基づく適正な職務執行に努めるべきであるということはもちろんでありますが、選挙運動が安全に行われるために主催者との緊密な連携をはじめとする各種警護措置の徹底、そして警護員の対処能力の向上のための実戦的な訓練、こうしたものを引き続き、きっちり推進することにより、選挙運動に伴う警護に万全を期してまいりたいと考えております。