国家公安委員会委員長(代理)記者会見要旨

1 日時 令和6年9月12日(木)11:19~11:30

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。松村委員長が欠席のため、私が代理いたします。案件については、「地域警察運営規則の一部を改正する規則案」についてなどがございました。以上でございます。

問  長官にお尋ねしたいと思います。マイナンバーカードと運転免許証の一体化に関しまして伺いたいと思います。本日、来年の3月24日に導入する方針を示されまして、明日からパブリックコメントを実施するとのことでございます。改めまして、一体化する趣旨、運転免許証としてのメリットについて、また、今年度末の施行に向けて、警察としての取組について教えていただければと思います。

答 (長官)マイナンバーカードと運転免許証の一体化につきましては、政府の方針に従って、令和4年に道路交通法改正による法整備を行うなど諸準備を進めてまいりました。お話がございましたとおり、来年の3月24日にこの新制度をスタートすることとして、関連の政令案等について意見募集を行うことといたしました。
 新制度開始後も、マイナンバーカードと運転免許証の一体化が義務付けをされるというわけではありません。運転免許証の免許情報がICチップに記録されたマイナンバーカード、いわゆる「マイナ免許証」でありますが、これを作成せずに、従来どおり運転免許証のみを保有することは可能であります。
 今回の新制度は免許保有者御本人の申請によって、マイナ免許証を保有するという選択肢、マイナ免許証と運転免許証の両方を保有するという選択肢が追加をされるということであります。運転免許の新規取得時や運転免許証の更新時だけでなく、いつでもこれらを選択できることになります。
 その上で、一体化のメリットでありますが、マイナ免許証のみを保有する方は、住所等を変更した場合に、市町村に届け出ることになりますが、重ねて警察への届出は不要となります。また、マイナ免許証を保有している方は、優良運転者又は一般運転者であれば、更新時講習をオンラインで受講できるようになります。こういった点がメリットであろうと思います。
 なお、マイナ免許証のみを保有する場合には、運転免許証の作成に要する費用が不要となりますので、更新手数料が結果として安価になるということになりますので、その点も1つのメリットとして挙げられるかもしれません。
 この新制度については、これからも国民の皆様に丁寧に説明をする、そういった内容の広報をやっていく必要がありますし、また、免許保有者が御自身のマイナ免許証から免許情報を読み取るためのアプリが必要となってまいりますので、こうしたアプリの開発を進めていくことなど、施行準備に万全を期してまいりたいと考えております。

問  長官にお尋ねします。ただ今委員からございました、地域警察の運営規則を一部改正したということで、長官就任以来、「警戒の空白を生じさせないための組織運営」を進めていく中で、この中での地域警察について見直しをすることとのことです。今回の規則の改正のねらい、交番等の地域警察の運用の在り方についてのお考えをお願いします。

答 (長官)今お話がございましたとおり、一昨年の夏に長官に就任をして以来、「全体最適」、そのための「リソースの再配分」、これをキーワードとして組織運営全般の在り方について検討を進めて、昨年7月には、「警戒の空白を生じさせないための組織運営の指針」を警察庁として策定をして、改革を進めているところであります。
 その一環として、地域警察官の運用等を見直し、地域警察運営規則を改正することとしたものであります。
 例えば、交番・駐在所については、文字通りこれまで、交番は交替制、駐在所は駐在制の運用として定められておりましたが、人口減少等の地域の実情に応じて、いずれも日勤制の運用ができるように改めたところです。また、一方で人口密集等の実情に応じて、巡回連絡をより効率的に行うために必要であれば、地域警察部門だけではなくて、部門間の協力を促進することによって、より効率的に巡回連絡を行うことをできるようにする。こういったことなどを明記するなどして、より一層、柔軟かつ的確な組織運営を進めることとしたところであります。
 このように、都道府県警察においては、各地域の実情に即した効果的な地域警察活動を推進していくことになります。いずれにしても、地域警察は地域住民に最も身近な存在であり、安全安心の要であります。今後とも、地域警察を活性化させて、市民の日常生活の安全と平穏が確保されるように努めてまいりたいと考えております。

問  長官にお尋ねします。名古屋高裁で8月30日に、無罪判決が確定した男性が、採取されましたDNA型情報、それから指紋等のデータの抹消を命じる1審判決を支持する判決が言い渡されたところです。上告期限は明日13日になっていますが、今回の高裁判決について、上告するのかどうか。それから、今回、DNA型の運用が現在、国家公安委員会規則等、内規に基づいて運用されているのですが、今回の高裁判決では、立法化が強く望まれるということで、立法化が指摘されております。今回の判決を踏まえて、立法化への検討、一般的なDNA型の運用についての見直し等考えられるのかどうか、お考えをお願いします。

答 (長官)今お尋ねがございました裁判につきましては、先月30日に、名古屋高等裁判所において判決が言い渡されました。この判決の中では、本件暴行事件当時の状況について、改めて詳細な事実認定を行った上で、警察の保管する指掌紋記録等を抹消すべきであるとの判断が示されたところであります。この判決で示された事実関係を前提として総合的に考慮した結果、当該指掌紋記録等を抹消するという結論については、警察庁としても争う理由がないと判断をし、関係省庁と協議の上で、上告及び上告受理の申立てを行わないことといたしました。
 警察におきましては、これまでも被疑者が罪を犯していないことが明らかとなったような場合には、それぞれの関係規則に定める「保管する必要がなくなったとき」に当たるとして、指掌紋記録等を抹消する運用を行ってきたところであります。今回、判決で示された事実関係を受けて指掌紋記録等を抹消する判断に至ったことについては、今後の教訓としてまいりたいと考えております。
 なお、判決理由の中で、指掌紋記録等の保管について、今お話がございましたように、「立法による整備が行われることが強く望まれる」との言及がございました。元より立法の要否は、最終的には立法府において判断されるものであると思いますが、この点については、現在のDNA型データベース等の制度運用を前提とする判断を示した裁判例も他に相当数あるところであり、裁判所の考え方も分かれているものと承知をしております。今回の判決をもって、直ちに立法等の措置が必要になるとまでは考えておりません。
 警察庁といたしましては、今回の判決で示された点も踏まえつつ、個別具体の事案に即して、引き続き適切な指掌紋記録等の管理に努めてまいりたいと考えております。