国家公安委員会委員長就任記者会見要旨(関連部分のみ)

1 日時 令和6年10月2日(水)11:45~12:11

2 場所 警察庁第1会議室

3 概要  この度、国家公安委員会委員長、防災担当、国土強靱化担当、海洋政策担当及び領土問題担当を拝命いたしました坂井学でございます。また、カジノ管理委員会、日本学術会議、船舶活用医療に関する事務も担当をいたします。
 国家公安委員会委員長は、国家の治安維持の重責を担っており、身の引き締まる思いであります。
 昨今の治安情勢を見ますと、刑法犯の認知件数は、戦後最小となりました令和3年以降、2年連続で増加しており、新型コロナウイルス感染症の感染拡大前の令和元年の水準に近づきつつあります。
 その特徴としては、金属盗や、SNS型の投資・ロマンス詐欺の被害が増加していることなどがあり、これらの犯罪には、「匿名・流動型犯罪グループ」の関与がうかがわれることから、引き続き捜査と抑止を含む総合的な対策を一元的かつ強力に推進する必要があると考えております。
 そのほか、サイバー空間における脅威への対処、自転車その他の小型モビリティ対策、災害対処能力の向上等、対策を講ずべき課題は山積しているものと認識しておりますが、こうした治安上の諸課題に的確に対処し、国民が安全・安心を実感できますように全力を尽くしてまいりたいと思います。

 松村大臣が取り組んでこられた実績を引き継いで、国と国民を守るという強い決意と緊張感を持ち、石破内閣の一員として、精一杯努めさせていただく所存でございますので、何卒よろしくお願いをいたします。

問  私から3問お聞きします。改めまして、国家公安委員会委員長に御就任されて、国家公安委員長としての全体の抱負をお聞かせください。

答  国家公安委員会委員長として、国民の安全・安心、いわば治安維持の重責を担う立場ということを認識いたしております。常に緊張感を持ちながら職務に当たって、国民の安全・安心の確保のために全力を尽くしてまいりたいと思っております。

問  2問目ですが、先ほど大臣からもありましたが、詐欺対策について、SNS型投資詐欺、ロマンス詐欺、特殊詐欺、フィッシング詐欺といった詐欺の被害が非常に深刻な状況にあります。政府は6月に「国民を詐欺から守る総合対策」というのをまとめているところですが、こうしたことも踏まえまして、深刻な詐欺にどのように対策を進めていくか。こうした組織的な詐欺は、サイバー空間を介して行われているわけですが、サイバー空間の安心・安全の確保のお考えもあわせてお願いします。

答  まさしく、今、全ておっしゃっていただいたと思いますが、まさしく、本年上半期の被害の合計が912億円に上るなど、本当に憂慮すべき状況にあると認識をしております。
 先ほど指摘をされました、「国民を詐欺から守るための総合対策」、これに基づいて、まずは、犯罪を取締っていくということと同時に、抑止の両面から対策を進めているものと承知をいたしております。引き続き、関係省庁や事業者等とも連携しながら、諸対策を強力に推進するよう、警察を指導してまいりたいと思います。
 そしてまた、これまたおっしゃられたとおり、サイバー空間における犯罪というのが大変多く、また、こういったものは高度な技術が必要な分野でもあります。ですから、4月にサイバー特別捜査隊から発展的に改組いたしましたサイバー特別捜査部による、国際共同捜査や高度な技術に基づく捜査支援を通じて、全国のサイバー部門が一体となって被疑者の検挙に努めておりますし、今後も努力をしていきたいと思っております。
 今後とも、御指摘の実態も踏まえて、特にこのサイバー部門、本当に日進月歩で、どんどん中身も進化をしてまいりますので、充実強化に努めるとともに、関係機関・団体と連携をしつつ、対策を推進してまいります。

問  交通安全対策ですが、政府の第11次交通安全基本計画では、令和7年までに交通事故死者2,000人以下にするといった目標があります。最近、電動キックボードといった、先ほど大臣からもございましたが、新しいモビリティも登場して、交通環境も変化している中ですが、交通安全対策にどのように取り組んでいくか、お考えをお願いします。

答  昨年の交通事故死者は2,678人ということでございまして、目標の2,000人よりは、まだオーバーをしているのが実態であります。その中で、我が国は、諸外国と比べて、交通事故の死者数の中に、歩行者、そして自転車の割合が大変高いということを承知しております。
 御指摘のいわゆる電動キックボードやペダル付き電動バイクというようなものもあるようでありますが、こういった事故や違反も見られておりまして、道路交通法を改正するなどして、対策は進めております。
 警察では、関係省庁・団体と連携をして、こどもや高齢者をはじめとする歩行者の安全の確保、自転車等の交通ルール遵守の徹底、飲酒運転をはじめとする悪質・危険な交通違反の取締りといった総合的な安全対策を推進しております。国家公安委員会委員長としては、この交通死亡事故を一件でも減らし、目標達成のために、新たなモビリティを含めて、対策を一層推進するよう、警察を指導してまいりたいと思っております。

問  2点お伺いします。要人警護について、2022年7月に安倍元総理の銃撃事件が起きて抜本的に態勢を見直し、昨年4月には岸田総理の襲撃事件が発生して演説会の主催者側と連携を強化するなどの対策を講じてきたところですが、国家公安委員長として、今後の要人警護についてどのようにお考えでしょうか。

答  御指摘の安倍元総理銃撃事件を受けて、警護の検証・見直しを行い、警察庁の関与を抜本的に強化をしているということは承知をいたしております。
 また、昨年4月の岸田前総理に対する爆発物使用襲撃事件は、対象者のみならず、聴衆の皆様方にも危険が及ぶものであったという認識の下、こういった教訓を踏まえ、警護対象者と聴衆との十分な距離の確保、手荷物検査や金属探知検査の実施、警察との緊密な連携等について、主催者等に対する働き掛けを強化しているところでございます。
 警護に責任を有する警察を所管する大臣として、今後とも、警察には、一つ一つの警護に緊張感を持って取り組み、警護対象者及び聴衆の安全確保に万全を期すよう、これもまた、指導をしていきたいと思います。

問  犯罪被害者等施策についてお伺いします。次期犯罪被害者等基本計画の策定に向けた検討をされていることと思いますが、今後どのように進めていくお考えでしょうか。

答  犯罪被害者等施策は、被害者がその受けた被害を回復・軽減し、再び平穏な生活を営むことができるよう講ぜられることが重要であります。政府においては、第4次基本計画や、昨年6月の施策推進会議決定に基づき、各種取組を推進しているところであります。
 現行の第4次基本計画については、計画期間が令和8年3月末まで残り1年半ほどとなっているところ、引き続き、この期間内においても、取組のより一層の推進を図る必要があると考えております。
 また、令和8年4月開始となる次の基本計画については、今後、検討を本格化させることとなりますが、これまで国民の皆様や被害者団体、支援団体からいただいた要望や意見を真摯に受け止め、有識者の皆様とも議論をさせていただきながら、施策の充実・強化に向けて検討を進めていきたいと思います。
 国家公安委員会・警察庁は、政府全体の司令塔の役割を担っており、引き続き、関係府省庁や地方公共団体と緊密に連携・協力し、施策の推進が図られるよう、委員長である私としても、犯罪被害者の視点に立って全力で取り組んでまいりたいと思います。