国家公安委員会委員長(代理)記者会見要旨

1 日時 令和6年12月19日(木)11:39~11:46

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。坂井委員長が欠席のため、私が記者会見を代理いたします。案件については、「悪質ホストクラブ対策検討会」の報告書についてなどがございました。以上です。

問  今年最後の国家公安委員会が開かれたということで、長官に今年1年の振り返りをお願いします。元旦から能登半島沖で地震が起きまして、夏以降は、闇バイトによる連続強盗が発生しました。秋には、警護が強化される中で、衆院選が開かれ、警備に従事されて、喫緊の課題が今年も目白押しであったと思います。1年を振り返って、長官の所感をお願いいたします。

答 (長官)今お話がございましたが、今年は、能登半島地震に始まるなど、正に多事多難の1年であったと思います。能登半島は9月にも豪雨災害に見舞われました。豪雨災害で申し上げますと、7月に山形県で災害警備に当たっていた警察官2名が殉職したことは、正に痛恨の極みでありました。
 また今年は、匿名・流動型犯罪グループの台頭が顕著となり、治安上の最大の脅威の一つとなりました。関東一円で連続的に発生した、いわゆる闇バイト強盗事件、これが典型でありますが、そのほか、特殊詐欺、SNS型投資・ロマンス詐欺、さらには、クレジットカードの不正利用等によりまして、今年1年で合わせますと、2千億円以上の被害が発生をしています。また、悪質ホストクラブ、オンラインカジノ、太陽光発電施設等における組織的金属窃盗等も、大きな社会問題となっています。
 こうした諸課題に、私ども警察庁におきましても全力で取り組んでまいりました。
 災害対策では、本日、能登半島地震等の経験を踏まえまして、装備資機材の更なる充実化等の諸課題を改めて抽出をした上で、大規模災害における警察活動の高度化の推進結果をとりまとめて公表をいたしました。南海トラフ地震や首都直下地震等への対策強化にも、引き続き努めてまいります。
 また、安倍元総理銃撃事件以降懸案となっておりました要人警護につきましても、これまでの取組が成果を上げて、10月に実施をされました衆議院解散総選挙におきましては、所期の目的を達成することができたと考えています。来年の参議院議員通常選挙も見据えて、引き続き警護の高度化を図ってまいりたいと考えております。
 匿名・流動型犯罪グループにつきましては、今年をトクリュウ対策元年と位置付けまして、警察庁と全国の都道府県警察に組織横断的な司令塔を置きました。また、都道府県の垣根を超えた特殊詐欺連合捜査班の運用も開始いたしました。さらに、一昨日でありますが、犯罪対策閣僚会議で取りまとめられました緊急対策を踏まえまして、雇われたふり作戦、これを積極的に実施するなどして、首謀者の検挙を含め、闇バイト強盗等の撲滅に向けた捜査を強力に推進してまいる所存であります。

問  長官にお尋ねします。先ほど委員からございました悪質ホストクラブ問題の対策検討会、本日報告書がまとまったところです。いわゆる売掛金等の問題、それから取立ての問題への対策を打ち出しているところですけど、今回の報告書を踏まえて、警察庁は風営法の改正作業も進めていくと承知しております。その方向性も含めまして、どう取り組んでいくか、お考えをお願いします。

答 (長官)今お話がございました悪質ホストクラブ対策検討会の報告書でありますが、この報告書の中では、悪質ホストクラブのビジネスモデル、すなわち、客の好意に付け込むなどして高額な飲食等をさせて、売掛金等の名目で多額の債務を負わせる。そして、その債務の支払のために、売春等の違法行為や性風俗店での稼働等を求めて、執拗に取立てを行う。そして、専門のスカウト等を介して性風俗店で稼働させた賃金の一部を、その紹介料名目等で更に搾取する。こういう卑劣な手口を分析的に取り上げた上で、そのようなビジネスモデルを断ち切るべく、これらの行為を規制すべき旨の提言が行われました。
 また、そのような卑劣なビジネスモデルで得られる収益に比して、現行の風営適正化法で規定する罰金額が抑止効果としては不十分であり、罰則を抜本的に強化すべきであるという旨の提言も盛り込まれました。
 先日、石破総理から坂井国家公安委員長に対しまして、風営適正化法改正案の次期通常国会への提出に向けて諸作業を加速化するように、という指示があったところであります。今回のこの報告書を踏まえまして、警察庁におきましては、速やかに法案を準備してまいりたいと考えております。
 警察といたしましては、この悪質ホストクラブ問題への対処といたしまして、新たな法規制の導入と並行して、トクリュウ対策の一環としての徹底的な取締り等を行うことによりまして、卑劣なビジネスモデルを解体し、収益の帰属している実質的な責任者やグループの排除、これを目指してまいりたいと考えております。