国家公安委員会委員長記者会見要旨
1 日時 令和7年1月9日(木)12:04~12:13
2 場所 警察庁第4会議室
3 概要 本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。案件につきましては、「北朝鮮を背景とするサイバー攻撃に関するパブリック・アトリビューション等について」などがございました。私からは以上でございます。
問 大臣にお伺いします。昨日、中国系のハッカー集団、「MirrorFace」(ミラーフェイス)と呼ばれる集団のサイバー攻撃について、警察庁の方で注意喚起がありまして、この注意喚起について、改めて、この注意喚起の趣旨と、国民としてはどのような対策をとればいいのか、改めて御説明をお願いします。
答 (大臣)お尋ねの注意喚起でございますが、サイバー特別捜査部等の捜査・分析の結果を踏まえ、2019年頃から我が国の事業者等に対して行われている情報窃取を目的としたサイバー攻撃の手口や未然防止対策について公表したものでございます。
今回の「MirrorFace」によるサイバー攻撃の手口としては、主に3つ指摘されておりまして、1つが不正プログラムを添付したメールを送信して不正プログラムに感染させる手口、2つ目が不正プログラムをダウンロードするリンクを記載したメールを送信して不正プログラムに感染させる手口、そして、インターネットに接続されたネットワーク機器に対し、ソフトウェアのぜい弱性を悪用して標的ネットワーク内に侵入する手口等が確認されているところでございます。
こうした状況を踏まえて、まず国民の皆様に対しましては、添付ファイルの形式やメールアドレスのドメイン等、見慣れないもの、普段と少しでも異なる状況や違和感があれば、こういったメールの添付ファイルを開いたり、メール本文のリンクをクリックしたりするということは避けていただきたいと思います。特に添付ファイルの場合、画面にクリップマークがありまして、そこにカーソルを合わせると、そのファイルの形式が出てくるわけでありますが、そこを今回の場合、ほとんど見慣れない形式でファイルが送られてきているということも言われておりますので、そういったファイルは開かないということをお願いをしたいと思います。
そして、これは事業者の皆様方に特にお願いをしたいのですが、利用する機器に修正プログラムがある場合、そういったものを速やかに適用していただきたいと。こういった基本的な対策を確実に講じていただきたいとお願いをさせていただいております。
サイバー攻撃等への対処につきましては、現在政府におきまして能動的サイバー防御の制度化に向けた検討を行っているところでもあります。警察といたしましても、国内外の関係機関と連携した取締りはもとより、サイバー攻撃グループの攻撃能力や手口に関する情報を収集・分析し、的確に国民の皆様に発信するなどの取組を通じて、安全・安心の確保に努めてまいりたいと思っております。
問 長官にお尋ねします。金属盗対策に関する検討会、本日、報告書が公表あったということですが、太陽光発電施設の銅線ケーブルを中心に被害が深刻ですけれども、今回の報告では、買受け業者の取引時の本人確認義務等を求めているところです。立法による対策も求めているところですけれども、今回の報告書を踏まえて、警察庁はどのように取組を進めていくか、お考えをお願いします。
答 (長官)今お話がございましたが、昨今、太陽光発電施設からの金属ケーブル窃盗をはじめといたしまして、大がかりな金属盗難事件が相次いでおります。これによりまして、その盗難自体の被害はもちろんでありますが、それに止まらずに、電力供給ができないことによる経済的損失が生じたり、あるいは、つい最近も報道がございましたが、養鶏場の空調設備が停止したことによって、十数万羽の鶏が死んでしまうといったような被害事例もあって、国民経済に大きな影響が出ているのではないかと危惧をしております。
これは一部の悪質な盗難金属の買取り業者の存在、これがその金属盗を助長している、そういうことが背景にございます。これが治安上の大きな課題であると認識をしております。そうしたことを踏まえまして、昨年の9月以降、有識者による「金属盗対策に関する検討会」を警察庁において開催をしてまいりました。その報告書が、今般、取りまとめられたところであります。
この報告書におきましては、まず、金属くず買受け業について、届出制をはじめとする行政上の監督規制を設けて、取引時の本人確認義務等を課するべきであるということ。その場合においては、被害実態に鑑み、まずは少なくとも銅の買受けを規制対象とすべきであるということ。また、現に金属盗の犯行に用いられているケーブルカッターやボルトクリッパーを、業務その他正当な理由なく隠匿携帯する行為を規制すべきであること。さらに、警察から、特に金属盗難の被害に遭うおそれが大きい事業者の方々等に対して、防犯情報を周知すべきであるということ。こういった意見が出されまして、これらについて、立法措置により、実効性のある対策を迅速に講ずるべきであると、こういう趣旨の提言がなされました。
私ども警察庁といたしましては、この報告書を踏まえまして、法案の国会提出に向けた作業を速やかに進めてまいりたいと考えております。
また、この種の金属盗の多くは、メンバーが流動的に入れ替わる外国人犯罪グループらによる犯行でありまして、いわば外国人トクリュウとも言うべき実態にあると認識をしております。こうしたことを踏まえまして、警察といたしましては、部門の壁や都道府県の垣根を取り払った上で取締りを強化するとともに、事業者に対するより踏み込んだ防犯指導を行うなど、重層的な対策を推進することによって、この金属盗の治安課題に的確に対処してまいりたいと考えております。