国家公安委員会委員長記者会見要旨
1 日時 令和7年1月23日(木)11:16~11:22
2 場所 警察庁第4会議室
3 概要 本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。案件につきましては、「仮装身分捜査」の実施についてなどがございました。私からは以上でございます。
問 大臣にお尋ねしたいと思います。先週の17日に、ゆうちょ銀行と警察庁が疑わしい取引が疑われる口座の情報を迅速に共有する、そういった目的の協定を結ばれました。大手金融機関と警察が全国的な協定を結ぶのは初めてかと思うのですけれども、この協定の意義と、これにより今後、特殊詐欺ですとか、投資・ロマンス詐欺の被害拡大防止をいかに進めていくのか、お考えをお願いいたします。
答 (大臣)まずは現状でありますけれども、昨年中の状況でありますが、特殊詐欺、SNS型投資・ロマンス詐欺でありますとか、クレジットカードの不正利用事犯、また、インターネットバンキングに係るこの不正送金事犯の合計被害額は2千億円を超えているという状況でありまして、極めて憂慮すべき状況でございます。
警察庁においては、昨年6月に犯罪対策閣僚会議において決定されました総合対策、「国民を詐欺から守るための総合対策」に基づき、同年8月、金融庁とも連携をいたしまして、金融機関団体に対し、詐欺のおそれが高い取引を検知した場合の迅速な情報提供を要請してまいりましたし、その上、個別に都市銀行等と協議を進めてきました。
このたび、この協定締結によって、ゆうちょ銀行が把握した詐欺のおそれが高い取引について、関係する都道府県警察へ迅速な情報提供を受けることが可能となりました。特殊詐欺等の被疑者検挙や被害拡大防止に効果を発揮することを期待しております。
特殊詐欺等の対策につきましては、金融機関との連携を強化することは大変重要でありまして、引き続き、ゆうちょ銀行以外の他の金融機関との協議を速やかに進めるなど、関係省庁や事業者と連携しながら、総合対策に盛り込まれた諸対策を強力に推進するよう、警察を指導してまいりたいと思っております。
問 長官にお尋ねします。ただ今大臣からございました仮装身分捜査ですけれども、「闇バイト」による強盗への対策として新しい捜査手法を導入するとのことです。今回通達を定めまして手続きとか注意点を定めたところです。今回の新しい捜査手法をどう適正に活用していくのか、「闇バイト」の首魁の検挙が求められるわけですけれども、こうした一連の事件にどう取り組んでいくのか、お考えをお願いします。
答 (長官)今お話がございましたが、本日、仮装身分捜査実施要領を全国都道府県警察に通達いたしました。仮装身分捜査を適正かつ実効的に行えるようにするための実施環境が整ったと考えております。これによりまして、いわゆる「闇バイト強盗事件」等に対する「雇われたふり作戦」、これをより効果的に実施できることになると思います。これによりまして、実行犯の身柄を早期に確保し、被害の未然防止を図るとともに、指示役や首謀者の特定、ひいては、実行役の募集そのものの抑止につながるものと期待をしています。
昨年8月以降、関東地方におきまして、相次いで発生した一連の強盗等事件につきましては、これまでに実行犯のほとんどを検挙しております。また、匿名・流動型犯罪グループそのものに対する、あらゆる法令を駆使した戦略的な取締りでありますとか、いわゆる「闇バイト」に応募してしまった人への保護の呼びかけ等の諸対策も推進してまいりました。こうした諸施策の効果もあいまって、現時点におきましては、ひとまず発生が止まっているという状況であると認識をしています。
しかしながら、一連の事件の根本的な解決のためには、指示役・首謀者の検挙が何よりも重要であります。現在も、関係都県警察による合同捜査本部におきまして、逮捕した実行犯、現金回収役等の取調べを進めておりますし、押収した携帯電話の解析等の捜査も進めているところであります。引き続き、突上げ捜査に全力を傾注してまいりたいと考えております。