国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 令和7年2月27日(木)11:55~12:03

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。案件につきましては、令和6年における交通事故の発生状況についてなどがございました。以上でございます。

 

問  大臣にお尋ねします。ただ今ございました、昨年中の交通事故の発生状況ですが、今回の特徴、それを踏まえて警察としてどのように交通安全対策に取り組まれるか、お考えをお願いします。

答 (大臣)令和6年の交通事故全体の死者数は、2年ぶりに減少いたしまして、2,663人でございました。
 昨年の交通死亡事故の特徴でありますが、まず75歳以上の高齢運転者による死亡事故が増加したこと、次に飲酒運転及び携帯電話等使用による死亡事故が増加していることといった点が挙げられます。
 高齢運転者の増加に伴い、高齢運転者対策を更に推進することが必要であり、令和4年5月に導入された運転技能検査をはじめとする免許更新時の諸対策を着実に実施するほか、車両単独事故が高齢運転者の死亡事故の約半数を占めていることなどを踏まえた広報啓発活動を強化するよう、警察を指導してまいりたいと思います。
 また、飲酒運転、ながらスマホのいずれも、死亡事故に繋がる危険な行為であり、例えば、ながらスマホの死亡・重傷事故件数の約半数、52.6%を占める、20代及び30代を重点とした広報啓発を行うとともに、周辺三罪、車両等を提供する罪、酒類を提供する罪、そして、分かっていながら乗っている罪ということで、これらを含めた飲酒運転や携帯電話等使用の取締りを強化するよう、警察を指導してまいりたいと思っております。

問  大臣にお伺いいたします。ミャンマーの国境地帯で日本人を含む外国人が特殊詐欺等に加担させられている問題についてお伺いいたします。犯罪組織の摘発や邦人保護について、現地当局との国際協力が不可欠だと考えますが、日本警察としてどのように対応されていくか、お考えをお願いいたします。

答 (大臣)近年、国外に拠点を置いて、日本国内への特殊詐欺を実行する事案が多数認められております。警察におきましては、現地の捜査当局との連携によって、これまでにも東南アジアのフィリピン、タイ、カンボジア等で多数の拠点を摘発してきたところであります。
 ミャンマーのタイとの国境地域には、大規模な詐欺拠点があり、日本国内への詐欺も行われているものとみております。タイ当局とも連携を強化してきておりますが、今般国際的な連携により、ミャンマーにおいて大規模な取締りが行われているものと承知しております。
 海外の詐欺組織の摘発や邦人保護に当たっては、現地当局との国際協力が、御指摘のように大変重要であります。外務省とも連携をしながら、現地の捜査当局との協力・連携を強化し、特殊詐欺の海外拠点の摘発に向けた捜査を推進するとともに、拠点における日本人の拘束状況についても情報交換等を進め、日本人が保護された場合には、迅速に聴取を行うなど適切に対応するよう警察を指導してまいりたいと思っております。
 なお、海外渡航や海外で儲かる仕事への誘いには、こういった特殊詐欺等の犯行に加担させられるリスクがあることに十分御注意をいただきたいと思います。少しでも怪しいと思うものは一切応じないでいただきたい。また、仮に応じてしまってもすぐに警察に相談していただきたいと思っております。

問  長官にお尋ねします。犯罪収益移転防止法の施行規則の改正案、明日からパブリックコメントが始まるとのことです。非対面での本人確認方法を厳選するような内容ですけれども、今回の改正の内容、それからねらい、これは詐欺被害の防止の対策に関わってくるかと思いますけれども、どのように対策に取り組んでいくか、お考えをお願いします。

答 (長官)令和6年中の特殊詐欺の被害額は過去最悪となっておりまして、その背景として、本人確認書類の偽変造によって他人になりすまして開設された預貯金口座等が悪用されている実態がみられるところであります。そういったことを踏まえまして、犯行ツール対策の一環として、今回、非対面で預貯金口座を開設する場合等の本人確認方法を見直しまして、被害防止対策を強化することとしたものであります。
 具体的には、本人確認の際に他人へのなりすましのリスクがあった、本人確認書類の画像情報の送信を受ける方法、それから、本人確認書類の写しの送付を受ける方法を原則廃止いたしまして、今後は、マイナンバーカードの公的個人認証、それから、運転免許証等のICチップ情報の送信を受ける方法等を用いなければならないとするほか、法人の本人確認に利用する書類には、原本に限ることといたしまして、偽変造されるリスクの高い写しは使用できないこととするものであります。今後、この改正が行われましたら、匿名・流動型犯罪グループをはじめとする詐欺グループが他人になりすまして預貯金口座を開設するリスクを、相当程度抑制することができると考えております。
 いずれにいたしましても、この特殊詐欺等の被害を防止するためには、徹底した突き上げ捜査により実行犯や指示役の検挙を図ることはもとより、犯行ツール対策として、こうした預貯金口座等の不正利用防止対策の強化が重要であると考えております。今後とも、関係省庁・関係機関等と連携しながら対策を強化し、犯罪組織の壊滅に向けた取組を着実に進めてまいりたいと考えております。