国家公安委員会委員長(代理)記者会見要旨

1 日時 令和7年4月3日(木)11:10~11:17

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。坂井委員長が欠席のため、私が記者会見を代理いたします。案件については、令和6年における組織犯罪の情勢についてなどがございました。以上です。

 

問  長官にお尋ねします。ただ今ありました組織犯罪情勢、昨年の分がまとまりました。暴力団は構成員、準構成員等、初めて2万人を割り込み、検挙者も1万人を下回っています。一方で、匿名・流動型犯罪グループの台頭が著しく、その対策が治安上の課題だと思いますが、組対情勢の受けとめ、警察としてどう取り組んでいくか、お考えをお願いします。

答 (長官)昨年の組織犯罪情勢をみますと、警察の取締りのほか、社会全体で行った暴力団排除等の取組により、令和6年末の暴力団構成員等の数は約1万8,800人、検挙人員は8,249人と、いずれも過去最少となっております。その一方で、御指摘のとおり、匿名・流動型犯罪グループが台頭し、昨年8月以降、関東地方において相次いで発生した凶悪な強盗事件等のほか、特殊詐欺やSNS型投資・ロマンス詐欺に関与するなど、治安対策上の新たな脅威となっているところであります。このような情勢を踏まえまして、警察といたしましては、匿名・流動型犯罪グループを喫緊の課題として、警察の総力を挙げて対策を強化するとともに、暴力団に対しましても、手を緩めることなく、引き続き、強力な対策を推進していく必要があると認識しております。
 まず、この匿名・流動型犯罪グループにつきましては、首謀者が検挙されないよう、SNS等で実行犯を募り、国民生活や社会経済活動の利便性を向上させるために発展してきた通信や金融等のサービスを巧妙に悪用して資金獲得活動を幅広く行っている実態があることから、警察におきましては、昨年来、警察庁及び都道府県警察に対策の司令塔を設置し、全国警察を挙げて戦略的な取組を推進しているところであります。今後も引き続き、関係機関、事業者とも連携しながら、匿名・流動型犯罪グループの資金獲得活動の実態解明を進めまして、実行犯の検挙のみならず、首謀者や指示役に対する突き上げ捜査と犯罪収益の剝奪を徹底するとともに、違法なビジネスモデルの解体に向けた取組を強力に推進することにより、組織の弱体化・壊滅を目指してまいりたいと思っております。
 次に、暴力団対策につきましては、依然として山口組分裂後の対立抗争が続いており、関係団体を「特定抗争指定暴力団等」に指定しているほか、構成員の数は減少したものの、暴力団と匿名・流動型犯罪グループが、互いに一定の関係を保ちながら、様々な資金獲得犯罪を敢行している実態も確認されているところであります。引き続き、抗争の封じ込めと徹底した捜査により、組織の弱体化・壊滅を更に進めてまいりたいと考えております。

問  長官にお尋ねします。昨年の風俗関係事犯の取締り状況が取りまとめられましたが、昨年は、悪質ホストの実態やオンラインカジノの蔓延が大きな社会問題となりましたが、それらの取締り状況からみえる特徴と、その点を踏まえての警察の今後の対応についてお聞かせください。

答 (長官)この悪質ホストクラブ対策とオンライン上における賭博事犯は、現下の治安上の重要課題となっており、今回の取りまとめにおきましても、冒頭のトピックスとして、詳細に分析をしたところでございます。
 まず、この悪質ホストクラブにつきましては、令和6年中、81事件、207人を検挙しておりまして、前年比で39事件、121人の増と大幅に増加しているところであります。その特徴といたしましては、ホストクラブのほか、スカウトグループ、性風俗店等が結託して女性を徹底的に搾取する卑劣なビジネスモデルが存在し、その背後には匿名・流動型犯罪グループの関与もうかがわれるところであります。
 警察といたしましては、引き続き、悪質ホストクラブに対する取締りを強化するとともに、被害防止という観点から、新年度を迎え、新たに進学、就職した女性が悪質ホストクラブの被害に遭うことを防止するため、新入生向けのオリエンテーションや新入社員研修等、様々な機会をとらえた効果的な広報啓発や被害女性に対する相談・支援を適切に行ってまいりたいと考えております。
 また、これらに加えまして、今国会に提出しております風営適正化法の改正法案が成立した暁には、これを効果的に活用しながら、悪質ホストクラブにより最終的に利益を得ている実質的な責任者やグループの排除を進めてまいりたいと考えております。
 次に、オンライン上で行われている賭博事犯につきましては、令和6年中、賭客がスマートフォンや自宅のパソコン等からアクセスをして賭博を行う無店舗型のオンラインカジノの検挙が55事件、227人と前年比で50事件、195人の増と大幅に増加しております。
 この背景として、国内の決済代行業者や、オンラインカジノを宣伝することにより獲得したユーザー数に応じて報酬を受け取っているアフィリエイター等が、犯罪に関与して違法な利益を得ている実態が挙げられると認識しております。
 警察といたしましては、引き続き、様々な広報媒体を活用して、海外で運営されていても国内から接続して賭博を行うオンラインカジノは違法であることの周知を徹底するほか、運営に関与している国内の決済代行業者やアフィリエイターに対する厳正な取締りを一層推進するとともに、日本語でオンラインカジノの情報を発信しているリーチサイトやアフィリエイターの実態を把握し、賭博への依存症を助長することのないよう働き掛けを行うなど、違法なオンラインカジノに対する対策をしっかり前に進めていきたいと考えております。