国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 令和7年5月22日(木)11:40~11:48

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。案件につきましては、匿名・流動型犯罪グループ対策に係る体制の強化についてなどがございました。以上でございます。

 

問  大臣にお願いいたします。一昨日20日に、衆議院の方で、悪質ホストクラブ問題の対策としての改正風営法が成立しました。改めまして、この受け止めと、早くて1か月後の施行になります。これに向けてどう準備していくか、お考えをお願いいたします。

答 (大臣)今御指摘頂きましたとおり、悪質ホストクラブ問題を踏まえた改正風営適正化法が全会一致で可決・成立をいたしました。
 悪質ホストクラブを巡っては、ホストクラブ、スカウトグループ、性風俗店等が女性を徹底的に搾取して不法な収益を上げる卑劣なビジネスモデルが存在し、その背後には匿名・流動型犯罪グループ、トクリュウの関与もうかがわれることから、私自身も大臣就任以来、現場を視察し、一刻も早い実効性ある対策を講ずるよう警察を指導してきたところでございます。
 本改正法により整備される悪質な営業行為の規制や、性風俗店によるいわゆるスカウトバックの禁止、罰則の強化につきましては、来月末から施行される予定でありまして、この女性の被害防止や、その卑劣なビジネスモデルの解体に大きく資するものと考えております。
 この施行に向けて、改正内容についての接待飲食営業者への周知や、若年層を主にターゲットとしたSNS等による効果的な広報啓発を進めるとともに、各都道府県警察において悪質ホストクラブ等の実態把握を進め、改正法の施行後は、速やかに効果的かつ徹底した取締り等を行うよう警察を指導してまいりたいと思います。

問  長官にお尋ねします。ただ今大臣からございました、トクリュウ、匿名・流動型犯罪グループの対策の強化のための体制を整備するということですが、首謀者等の中枢被疑者の摘発に向けた対応とのことですが、今回の体制整備の内容、ねらい、特に中枢被疑者の摘発をどう進めていくか、お考えをお願いします。

答 (長官)この匿名・流動型犯罪グループは、特殊詐欺やSNS型投資・ロマンス詐欺等、様々な犯罪に関与して多額の犯罪収益を得るなど、我が国の治安対策上大きな脅威となっておりまして、この対策を進める上での最重要課題は、中核的人物の解明・検挙であると認識をしております。
 この課題に的確に対応するためには、各都道府県警察におきまして、事件検挙等を通じて得た情報を、警察庁において全国的・部門横断的に集約・分析し、ターゲットとすべきグループの中核的人物を選定した上で、徹底した実態解明・突き上げ捜査を推進する必要があると考えております。
 そこで、この秋を目途に、警察庁に「匿名・流動型犯罪グループ情報分析室」(仮称)を新たに設置いたしまして、警察庁の司令塔機能を強化するとともに、同時期に警視庁に設置されます「匿名・流動型犯罪グループ対策本部」に、全国警察の捜査員からなる専従捜査体制を構築し、中核的人物に対する突き上げ捜査と検挙を強力に推進していくことといたしたものでございます。
 今後は、この体制におきまして、全国的、部門横断的な情報の集約・分析を更に強化し、その分析結果等に基づいて選定した取締りターゲットの実態解明・取締りを強力に推進することによりまして、匿名・流動型犯罪グループの中核的人物の摘発と違法なビジネスモデルの解体を進めてまいりたいと考えております。

問  楠長官にお伺いいたします。埼玉県三郷市でのひき逃げ事件や三重県亀山市での逆走事故など、外国人の運転手による事故が相次いで発生しておりますが、いずれも外国免許切替により日本の運転免許を取得したことが明らかになっております。外免切替については知識確認の問題の簡易さや、宿泊先の住所でも申請が可能なことが問題視されており、警察庁でも見直しを進めているということですが、改めて現在の外免切替の在り方についての受け止めや今後の制度の見直しの方針についてお教えください。

答 (長官)今お尋ねがありました、いわゆる外免切替制度につきましては、観光ビザ等による短期滞在者が、ホテル等の滞在場所を住所として免許を取得している、あるいは、交通ルールに関する知識を確認するための問題が10問となっており、簡単過ぎるなどの問題があって見直しが必要ではないか、といった御指摘を頂いているほか、この外免切替制度により免許を取得された外国人による交通事故の発生もみられるところであります。
 こうしたことを踏まえまして、現在、警察庁では、外免切替制度の在り方について検討を行っているところでありますが、我が国の外免切替制度を見直した場合には、相互主義的な観点から、日本人の外国での外免切替にも影響が生じるおそれがあることから、外国の外免切替制度等の調査を進め、その結果も踏まえまして、申請者の住所を確認する方法、交通ルール等の知識・技能の確認方法等について、現在見直しを進めているところであります。
 具体的には、外免切替に当たりまして、申請者の住所を確認するために提出を求める書類につきまして、申請者の国籍に関わらず、住民票の写しとすることを原則といたしまして、観光で滞在する方の外免切替を認めないこととする一方で、国外に転出中の日本人の方、外交官等につきましては、例外的に、住民票の写し以外の方法で住所を確認することとするなど、住所確認の手続を厳格化すると、そういったことのほかに、日本の交通ルールを十分に理解しているか確実に確認するため、知識確認・技能確認の方法を厳格化することが必要ではないかと考えているところであります。
 今後、速やかに、この外免切替制度の改正案等を取りまとめ、パブリックコメントを実施するなど必要な手続を進めてまいりたいと考えております。