国家公安委員会委員長記者会見要旨
1 日時 令和7年8月7日(木)12:04~12:15
2 場所 警察庁第4会議室
3 概要 本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。案件につきましては、国家賠償請求訴訟判決を受けた反省事項と再発防止対策についてなどがございました。以上でございます。
問 大臣にお願いいたします。今、言及でございましたが、警視庁公安部による大川原化工機の冤罪事件で、捜査についての検証結果が取りまとめられました。改めて、一連の不適正な調査を行ったことについての大臣の受け止めをお願いいたします。また、今回の検証結果を受けて、今後どのように警察を指導されていくか、これもあわせてお願いいたします。
答 (大臣)警視庁公安部が控訴審判決において違法とされた捜査を行い、原告の方々をはじめとする当事者の方々に多大なる御心労、御負担をおかけし、警察に対する国民の信頼を著しく損ねたことは極めて遺憾であり、私としても、本件を重く受けとめております。
警察に対する信頼を回復するためには、本件について、厳正に検証を行い、実効性のある再発防止策を取りまとめることが大変重要であり、そのような認識の下、国家公安委員会としても、本日を含めて8回にわたって、警察庁及び警視庁における検証の実施状況等について報告を受け、その都度必要な指摘を行うなど活発な議論を行ってきたところでございます。その結果を踏まえ、本日、警視庁及び警察庁において、それぞれ検証結果が取りまとめられました。
警察の活動は国民の信頼の上に成り立っており、今後は、検証の結果明らかとなった問題点や反省事項を踏まえた再発防止策を着実に実施し、国民の信頼回復に向けた取組を継続していく必要があると考えております。警察を所管する大臣といたしまして、緻密かつ適正な捜査が徹底されるよう、警察庁から再発防止策に関する、この取組状況の報告も受けつつ、引き続き警察を指導してまいりたいと考えております。
問 続けて大臣にお願いいたします。今、またお話がございましたけれども、大川原化工機の件で、5月29日から本日まで、国家公安委員会に計8回議題にかけられたと私も伺っております。大臣はじめ委員の皆さんからどういった指摘が寄せられて、どういった御議論があったのか、それもあわせてお願いできればと思います。
答 (大臣)今私も申し上げましたが、この検証の状況につきまして、5月28日の控訴審判決以降、合計8回にわたって警察庁から国家公安委員会に報告され、議論を行ってきたところでございます。
その中の議論といたしましては、例えば、検証の在り方について、身内意識を疑われることがないよう厳正に検証を行うこと、警察庁としても役割・責任の観点から自己検証を行うことなどの指摘を行ったほか、再発防止策の在り方についても、現場の違和感が上層部に報告されなかった点に組織論として踏み込むべきという話や、経済産業省との役割分担を整理するべきなどの指摘をし、こうした観点が検証や再発防止策の取りまとめに反映されるよう指導してきたところでございます。
問 長官にお尋ねします。引き続き大川原化工機の捜査の関係ですけれども、今回、警察庁も検証を行いまして、警察庁外事課の対応も十分ではなかったという内容の結果も出ていて、あわせて再発防止をまとめているところです。このタイミングで、長官として今回のこの問題をどう受け止めておられるか。それから、再発防止策、大臣からございましたけれども、今後進めていく中でどう実行性を担保していくのか。その点含めましてお考えをお願いします。
答 (長官)本日、警察庁及び警視庁におきまして、それぞれ報告書を取りまとめましたが、一連の検証と再発防止策の検討に当たりまして、警察庁といたしましては、警視庁公安部が控訴審判決において違法とされた捜査を行い、逮捕された3人の方々をはじめとする関係者の皆様に多大な御心労、御負担をおかけしたことを重く受け止め、このような事案はあってはならない、二度と発生させてはならないとの強い決意の下、検証と再発防止策の取りまとめをできる限り速やかに行うべく、国家公安委員会の指導を受けながら作業を進めてきたところであります。
今回の一連の検証を通じて、警視庁及び警察庁として反省すべき多くの点が明らかとなり、その内容を踏まえて、警察本部長等による捜査指揮を適正かつ実効あるものとするための体制の整備、捜査に関し、部下が声を上げやすくする仕組みづくり、経産省との役割分担の明確化や取調べにおける録音・録画の実施等、大量破壊兵器関連物資等に関する不正輸出事案取締りの在り方の見直しなどの再発防止策を盛り込んだものと認識をしております。
今後は、警視庁はもとより、全国警察の公安・外事部門におきまして、今般明らかとなった反省点を真摯に受け止め、これらの再発防止策を確実に実施するとともに、他の部門におきましても、本事案を他山の石として、緻密かつ適正な捜査を徹底するための取組を推進する必要があると考えております。
警察庁といたしましては、警察の捜査は国民の信頼の上に成り立つものであることを肝に銘じ、今般取りまとめられた再発防止策が早期に、かつ、効果的に実施されるよう、公安・外事事件捜査に関する管区別会議や実地指導を行うなど、都道府県警察に対するきめ細かい指導を徹底して行うとともに、警察庁及び都道府県警察における再発防止策の推進状況について、適時適切に国家公安委員会に報告し、その指導を受けながら、施策の確実な実施を図っていくことにより、その実効性を確保してまいりたいと考えております。
問 もう1件、別件ですが長官にお尋ねします。39年前に福井市で女子中学生が殺害された事件の再審ですけれども、前川さんの無罪が確定したところです。福井県警察本部長は確定を踏まえて会見をされまして、重く受け止めているというようなことを述べられていますが、この件について、改めて、長官としてどう受け止めていらっしゃるか。再審無罪確定を踏まえて、今後の対応の方針についても含めまして、お考えをお願いします。
答 (長官)お尋ねの件につきましては、8月1日、名古屋高等検察庁が上訴しないとの方針を明らかにし、判決が確定したものと承知しております。
本件は、物的証拠が乏しい中、関係者供述を積み上げて捜査が進められ、通常審、再審を通じて供述の信用性が争点となったものであり、判決では、警察の捜査の一部が不正、不当ないし、その具体的な疑いがあるとして、主要関係者の供述の信用性が否定され、本件について合理的な疑いを超える程度の立証がなされているとは認められないとして、無罪とされたものと承知いたしております。
警察の捜査は国民の信頼の上に成り立つものであることから、警察庁としても、今回の判決を重く受け止めており、警察の捜査に疑念を抱かれることのないよう、緻密かつ適正な捜査を推進することが大変重要であると考えております。
判決で示された、被疑者の処遇や関係者の取調べ等における捜査上の問題点に関しましては、これまでも、取調べ監督制度の導入のほか、取調べ適正化等に全国警察を挙げて取り組んできたところでありまして、本件捜査の当時には行われていなかった様々な施策が講じられてきたものと認識しておりますが、今回の無罪判決を踏まえまして、都道府県警察における取調べ適正化等の取組を更に強化し、より一層緻密かつ適正な捜査を推進するよう警察庁から都道府県警察に対して、改めて指導を徹底してまいりたいと考えております。