国家公安委員会委員長記者会見要旨
1 日時 令和7年8月28日(木)12:25~12:37
2 場所 警察庁第4会議室
3 概要 本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。案件につきましては、令和7年度の政策評価についてなどがございました。以上でございます。
問 大臣にお伺いいたします。令和8年度の概算要求が示されましたが、今回の警察庁重点ポイントについて、お聞かせください。
答 (大臣)令和8年度予算の概算要求において、警察庁からは、総額3,479億円を要求することとしております。そのポイントといたしましては、本日は大きく3点申し上げたいと思います。
1点目でございますが、サイバー空間の脅威への対処についてであります。サイバー対処能力強化法等の施行に向け、新たな任務となるアクセス・無害化措置の実施環境の整備等を行ってまいりたいと考えております。
2点目でございますが、匿名・流動型犯罪グループ対策についてであります。犯罪グループの中核的人物の実態解明を推進するため、生成AIを活用した情報分析システムを構築するなどして分析・取締りを強化するほか、海外拠点から敢行される事案の増加を踏まえ、諸外国との連携を強化してまいりたいと思います。
3点目は、人材の確保・育成の強化についてであります。地方警察官の採用情勢が厳しい状況にあることを踏まえ、その採用活動の強化、警察学校の環境改善を行ってまいりたいと思います。
また、サイバー攻撃等はもとより、特殊詐欺をはじめ、匿名・流動型犯罪グループによるあらゆる事案等にサイバー空間が関わっており、サイバー人材の確保・育成が喫緊の課題であるため、その採用活動の強化、トップ人材の育成及び捜査員の底上げ、能力の維持・向上を行ってまいりたいと思っております。
このような治安上の重要課題に的確に対処するとともに、国民の安全と安心を確保するための警察活動に必要な予算をしっかりと確保できるよう、警察庁を指導してまいります。
問 坂井大臣にお伺いいたします。今回の概算要求項目の一つである人材確保・育成の強化についてお伺いします。警察では、全国的に採用情勢が厳しく、将来にわたる人材確保を喫緊の課題として位置付けられていることと承知しておりますが、今後どのような取組を進めていくのか、更に詳細をお聞かせいただければと思います。
答 (大臣)まさしくこの点は、重要な課題であると認識をしているところでございます。
そのため、警察におきましては、昨今の若年層の意識・考え方や、警察官の処遇・職務環境をめぐる現状を踏まえ、組織の魅力向上、若い世代への発信力強化、採用の間口の拡大を3つの柱として、各種施策を強力に推進することとしております。
具体的には、例えば、警察学校のイメージを向上させるため、老朽化した施設の計画的な建替や、道場の暑熱対策等により学校環境の改善を図ること、警察の仕事の魅力ややりがいが感銘力のある形で若い世代へ届くよう、SNSの効果的な活用や、アニメやマンガ等のキャラクターを活用した広報を実施すること、民間企業が採用試験に利用している適性検査等、公務員試験対策が不要な試験を導入することなどの施策を推進することとしております。
厳しい採用情勢は今後も続くと見込まれることから、採用情勢を的確に把握・分析した上で、前例にとらわれず、効果的な施策を講じていくよう、警察を指導してまいりたいと思います。
問 長官にお尋ねします。やはり概算要求の関係ですが、大臣からもございましたが、匿名・流動型犯罪グループ、トクリュウの対策で、国際捜査力の強化にも取り組んでいくということ。今、東南アジアを拠点とした事件で日本人が逮捕される事件も続いている中ですけれども、こうした特殊詐欺をはじめとする事件への国際捜査力の強化へどのように取り組んでいくか、お考えをお願いします。
答 (長官)この匿名・流動型犯罪グループが深く関与している特殊詐欺の令和7年上半期の被害額は、過去最悪となった前年を同期比で大幅に上回るなど、極めて深刻な情勢が継続しており、その主な特徴として、警察官等をかたって現金等をだまし取る手口による被害が、被害額全体の65.2%を占めていること、それから、犯行に使用される電話番号の73.5%が国際電話となっていることなどが挙げられます。
また、東南アジア各国に所在する拠点から敢行される特殊詐欺事件の被疑者の検挙も増加傾向にあり、警察官等をかたった特殊詐欺が海外拠点から敢行されているとみられることから、我が国の治安対策上の最重要課題である匿名・流動型犯罪グループ対策を進めるに当たりましては、こうした特殊詐欺の特徴を踏まえながら、犯罪の抑止と検挙の両面で、国際対策を進めることが極めて重要であると考えております。
まず、抑止対策に関しては、国際電話サービスの休止が被害防止に有効であることから、警察では、「みんなでとめよう!!国際電話詐欺」、通称「みんとめ」と称しまして、利用休止申込みの促進に向けた社会全体の気運を高める広報・啓発活動を、自治体等の協力を得ながら、本年5月末から推進しているところであります。その結果として、令和7年7月中の国際電話の利用停止数は、本年1月から5月の平均の約3倍となる約4万3千件と急増しており、引き続きこうした活動を国民運動として推進していきたいと考えております。
次に、検挙対策といたしましては、御指摘のとおり、警察の国際捜査力を強化し、東南アジア各国をはじめとする諸外国と緊密に連携した犯行拠点の解明・摘発が喫緊の課題であると認識しております。
そこで、警察庁では、国際捜査体制の整備、外国捜査機関等との情報共有の強化、国際捜査に関する捜査環境の整備を3つの柱といたしまして、国際捜査力の強化に向けた取組を推進することといたしております。
具体的には、外国捜査機関等との緊密な情報交換を推進し、捜査員の派遣を含め海外拠点摘発時に迅速に対応することができるようにするため、警察庁の国際捜査管理官を中心に、本年10月に設置いたします匿名・流動型犯罪グループ情報分析室や匿流ターゲット取締りチーム、通称「T3」が効果的に連携できる国際捜査体制を構築すること、国境を越える組織的詐欺に関する情報共有を強化するため、東南アジア各国を我が国に招へいし、アジア・太平洋組織犯罪対策会議を開催するなど、我が国主導での国際捜査連携枠組みの構築等を図ること、それから、海外に所在するSNS事業者等からの速やかな情報取得が課題となっていることから、その迅速化・効率化を図るため、海外捜査機関における、いわゆる「ローフル・アクセス」の実情を調査しつつ、最適なスキームの構築を目指すことなどを強力に推進することといたしております。
警察といたしましては、これらの施策をできるところから早期に実施していきたいと考えておりますが、今回の概算要求では、これらの施策をより的確に推進することができるよう、諸外国との連携を強化するために必要な経費のほか、室長級のポストである国際組織犯罪対策官及び捜査支援連携対策官の新設や国際捜査に従事する職員の増員を盛り込んだところであります。
警察といたしましては、今後とも、海外拠点から敢行される特殊詐欺の抑止とともに、国際捜査力の強化による、海外に拠点を置く匿名・流動型犯罪グループの実態解明と中核的人物の取締りを強力に推進してまいりたいと考えております。
問 もう1点長官にお尋ねします。先月の参議院議員選挙をめぐってですけれども、パチンコ店運営会社の幹部らが公職選挙法違反で警視庁等の合同捜査本部に逮捕されたところです。自民党公認候補への投票の見返りに報酬を払う約束をしたという疑いですけれども、検挙の対象となる規模、容疑者の数も過去最大規模になるというふうに言われております。今回の事件への受け止め、こうした事件への摘発の意義についてのお考えをお願いします。
答 (長官)お尋ねの件につきましては、本年7月に施行されました第27回参議院議員通常選挙に際しまして、大手パチンコホールの社長らが、その経営する店舗の店長らと共謀し、従業員に対して、特定の候補者に投票する報酬として金銭を供与する約束をした買収容疑でありまして、8月26日、警視庁を中心に関係警察が設置した合同捜査本部において、社長ら6名を逮捕したものであります。
選挙が公正に行われ、国民の意思が正しく政治に反映されることは、民主主義の根幹をなすものであり、選挙違反取締りを通じて選挙の公正確保に寄与することは警察の重要な責務であると考えております。本件パチンコホールは、1都7県で計30以上のパチンコ店を展開し、約束の相手方となった従業員等は250名以上と見込まれるなど、悪質な選挙違反事件と認められることから、法と証拠に基づき、厳正に対応したものと認識しております。
引き続き警視庁等の合同捜査本部におきまして、事件の全容解明に向けた捜査を強力に推進するものと承知しております。