国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 令和7年9月4日(木)11:45~11:56

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。案件につきましては、神奈川県川崎市内におけるストーカー事案等に関する警察の対応についての検証結果等報告書及び検証結果を踏まえた警察庁による全国警察への指導等についてなどがございました。以上です。

 

問  大臣にお伺いします。来年4月に自転車の交通反則通告制度、いわゆる青切符制度が開始されるに当たり、ルールブックが今回作成・公表されました。改めてその概要と、国民に向けた呼びかけ、そしてメッセージをお願いします。

答 (大臣)16歳以上の自転車運転者による一定の交通違反を対象に、交通反則通告制度、いわゆる青切符が令和8年4月1日から導入されます。これに向け、自転車の基本的な交通ルールや警察による自転車の交通違反の指導取締りに関する基本的な考え方について、国民の皆様に御理解いただくことが重要であると考えております。
 お尋ねの「自転車ルールブック」は、こうした趣旨から作られたものであり、自転車の交通ルールについて、イラストや事故データを盛り込みつつ、分かりやすく解説しているものであります。
 また、警察の交通違反の指導取締りについて、この青切符の導入後も、基本的な考え方は変わらないこと、具体的には、自転車の交通違反に対しては基本的に指導警告を実施すること、交通事故の原因となるような、悪質・危険な違反については、検挙の対象となること、指導取締りは、事故や違反が多い重点地区等を中心に行うこと、といったことについて、説明しています。
 この「自転車ルールブック」については、本日から警察庁のホームページで公表するとともに、都道府県警察において広報啓発に活用するものと承知しており、制度の円滑な施行に向け、国民の皆様に対して丁寧に周知を行うよう、警察を指導してまいりたいと思います。
 国民の皆様には、自転車を利用するに当たり、交通事故の被害者にも加害者にもならないよう、この機会にルールブックを御覧いただいて、車道が原則で左側を通行、歩道は例外で歩行者を優先、交差点では信号と一時停止を守って、安全確認、夜間はライトを点灯、飲酒運転は禁止、ヘルメットを着用といった基本的なルールを守り、安全運転に努めていただきたいと思います。

問  大臣にお尋ねします。先ほど大臣からもございましたが、神奈川県川崎市で女性が殺害されましたストーカー事案ですけれども、本日神奈川県警の検証結果がまとまったところです。警察庁はこれを受けて、全国に指導する内容をまとめたところです。この事案への大臣の受け止め、それから、国家公安委員会でこの事案についてどういった意見、指摘が出ていたのかもお尋ねします。警察をどのように指導していくかの点も含めまして、お考えをお願いします。

答 (大臣)御指摘の件でありますが、神奈川県警察が昨年6月以降、被害者やその御家族から、人身安全関連事案として相談等を受けていたにもかかわらず、その後に御遺体で発見されるという重大な結果が発生した事案であり、私としても重く受け止めております。改めて、亡くなられた被害者の御冥福を心からお祈りするとともに、御遺族の方々に謹んで哀悼の意を表したいと思います。
 神奈川県警察では、神奈川県公安委員会の指導を受けながら、本件における警察本部及び警察署における一連の対応について検証を行ってきたところであり、私としても、神奈川県警察における一連の対応が、被害者等の安全確保を最優先に対処するという警察庁の通達の趣旨に沿った対応がなされていたのか、しっかりと確認するよう指導してきたところであります。
 国家公安委員会では、本日を含めて5回にわたって、検証状況等について報告を受け、その都度、各メンバーから、検証における事実関係は御遺族の意見等も踏まえて慎重に確認するべき、現場の捜査員に分かりやすいマニュアルを整備するべき、現場の担当者任せにせず、警察署の幹部や県警本部が事案を管理し、現場の判断をチェックする組織的対処の徹底が重要、現場の負担軽減のためにも、事案に応じメリハリを付けた対応を指導すべきなどの指摘をし、検証結果や指導等の方針に反映されているところであります。
 検証の結果、警察の対応に不十分・不適切な点があり、被疑者及び被害者の双方に対して必要な措置を講ずる機会を逸したことなどが明らかとなったことは、極めて遺憾であり、決してあってはならないことであります。検証結果を踏まえて、警察庁においても、警察庁及び都道府県警察が取り組むべき再発防止策をとりまとめたところであり、私としても、神奈川県警察をはじめ、全国警察において、実効性のある対策の徹底が急務であるとの認識の下、警察をしっかり指導してまいりたいと思います。
 今後、神奈川県警察においては、今般明らかになった反省点を真摯に受け止め、対策を速やかに実行し、また、全国警察においても、本検証結果を踏まえ、それぞれの人身安全関連事案への対処をより的確なものとするよう、警察庁にしっかりと進捗確認をさせながら指導してまいりたいと思います。

問  長官にも神奈川の事案についてお尋ねします。今大臣からもあったとおりですけれども、検証結果では、対応が全くもって不十分であったということで、組織としての機能不全、それから、体制の形骸化というところが指摘されています。今回の検証についての長官の受け止め、それから、大臣からもございましたが、全国警察に警察庁として、指導をこれから進めていくわけですけれども、どのように実効性のある対策を進めていくか、お考えをお願いします。

答 (長官)本件は、人身安全関連事案として神奈川県警察が相談等を受けていた被害者が御遺体で発見されるという重大な結果が発生した事案であり、重く受け止めております。改めて、亡くなられた被害者の御冥福を心からお祈りするとともに、御遺族の方々に謹んで哀悼の意を表します。
 神奈川県警察における検証の結果、県警察の対応に警察庁の通達等で定められた基本から逸脱する不十分・不適切な点があり、被疑者及び被害者の双方に対して必要な措置を講ずる機会を逸したこと、捜査の基本が徹底されなかったこと、苦情申出制度が適切に運用されなかったことが明らかになったところであり、このようなことは二度とあってはならないという認識の下、神奈川県警察をはじめ、全国警察において、実効性のある再発防止策の徹底が急務であると考えております。
 警察庁では、今回の事案を受けて、都道府県警察に対し、本部対処体制において、いわゆる「司令塔」を置き、情報集約及び対処を統括させること、生活安全部門と刑事部門等の間の情報共有や、事案への対処が、担当者個人の力量に拠ることなく、タイムリーかつ的確に行われるよう、マニュアルの整備等を行うこと等を通達により指示したほか、現在、都道府県警察におけるストーカー規制法に基づく警告等の発出件数にバラツキが見られることから、その要因等を分析するとともに、都道府県警察における同法の効果的な運用事例やノウハウを集約し、都道府県警察に対して必要な指示を行うこととしているところであります。
 警察庁といたしましては、今後、都道府県警察において、本部長のリーダーシップの下、実効性のある再発防止策が速やかに講じられるよう、指導を強化することとしており、警察庁と各都道府県警察が一体となって警察の現状についての危機意識を共有するとともに、警察に対する信頼回復に向けた取組を強化するため、明日、臨時の全国警察本部長会議を開催することといたしております。
 その会議におきまして、早急に取り組むべき事項について指示することとしており、都道府県警察の取組が警察庁の通達等の内容に沿ったものとなっているかなどについて、その実施状況を今後しっかりと確認し、必要な措置を講じてまいりたいと考えております。
 さらに、あわせまして、加害者をカウンセリング・治療機関等に繋げ易くする方策について検討を進めるなど、加害者による行為のエスカレート防止に向けた取組も推進してまいりたいと考えております。