国家公安委員会委員長(代理)記者会見要旨

1 日時 令和7年9月11日(木)10:49~10:55

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。坂井委員長が欠席のため、私が記者会見を代理いたします。案件については、令和7年秋の全国交通安全運動の実施についてなどがございました。以上です。

 

問  長官にお尋ねします。秋の全国交通安全運動の実施が公表されましたが、今回の運動の重点とそのねらいをお聞かせください。あわせて国民へのメッセージがありましたならお願いいたします。

答 (長官)例年、交通事故死者数は、秋から年末にかけて増加する傾向にあり、歩行者の交通死亡事故の増加、飲酒運転による重大事故の増加といった特徴がみられるほか、近年、スマートフォン等の使用に起因する死亡・重傷事故が増加しております。
 こうした状況を踏まえまして、9月21日から始まる秋の交通安全運動では、歩行者の安全な道路横断方法等の実践、反射材の着用促進、ながらスマホや飲酒運転等の根絶、夕暮れ時の早めのライト点灯、自転車・特定小型原動機付自転車の交通ルールの理解・遵守の徹底とヘルメットの着用促進を運動の重点といたしまして、交通事故を1件でもなくすため、警察と関係機関等が緊密に連携して、交通安全活動を強化していくことといたしております。
 国民の皆様へのメッセージとして、私からは、交通安全を確保するため、3点お願いをしたいと思います。
 まず、道路を歩行する際には、横断歩道を渡る、信号に従う、といった道路横断時のルールを守るとともに、夕暮れから夜間の事故防止を念頭に、運転者側から確認しやすい反射材の着用をお願いしたいと思います。
 次に、自動車等を運転する際には、早めのライト点灯を行うとともに、飲酒運転やながらスマホは絶対にしないということをお願いしたいと思います。
 最後に、自転車を利用する際には、警察庁が先日公表いたしました自転車安全ルールブックを活用していただき、車道が原則で左側を通行、歩道は例外で歩行者を優先、交差点では信号と一時停止を守って、安全確認、夜間はライトを点灯、飲酒運転は禁止、ヘルメットを着用といった基本的なルールを守り、安全運転に努めていただきたいと思います。国民の皆様の御理解と御協力をお願いいたします。

問  長官にお尋ねします。詐欺等の犯罪でマネー・ローンダリングが悪用されている実態がありまして、この対策を検討するということで、有識者の懇談会の立ち上げが決まりました。今回の懇談会の立ち上げに至る経緯、それから、そのねらい、議論の方向性等について、お考えをお願いします。

答 (長官)令和6年中の特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の被害額は約2千億円に上っており、本年につきましても、特殊詐欺の被害は7月末時点で過去最悪となった前年の被害額を既に上回っており、また、SNS型投資・ロマンス詐欺につきましても前年同時期と同様に高水準で推移するなど、極めて憂慮すべき状況にあると認識をしております。
 これら特殊詐欺等に関与している匿名・流動型犯罪グループ対策は、治安対策上の最重要課題であり、これまでも新たな捜査手法として、仮装身分捜査を導入するなど、対策の強化に努めてきたところであります。
 しかしながら、これら詐欺被害の特徴として、国民の社会経済活動に広く浸透している預貯金口座のほか、暗号資産交換といった、近年新たな資金決済手段として台頭しているものまで多岐に渡る金融サービスが、悪用されている実態にあり、その手口が複雑・巧妙化していることから、特殊詐欺等による被害を防止するため、マネー・ローンダリング対策の分野におきましても、新たな対策を導入することが喫緊の課題となっております。そういったことを踏まえまして、先般政府決定されました「国民を詐欺から守るための総合対策2.0」にも、今申し上げたような内容が盛り込まれているところであります。
 そこで、警察庁といたしましては、より実効的な対策の導入に向けまして、各方面の専門家からなる有識者懇談会を開催し、主に、預貯金口座等の不正な譲渡等についての罰則の引上げを含めた法令の見直し、SNS等で勧誘を受けるなどし、他人に依頼されて送金を行う行為への対応、架空名義口座を利用した新たな手法による対策について、御議論をいただくことといたしております。
 今後、警察庁といたしましては、有識者懇談会における議論も踏まえた上で、次期通常国会への犯罪収益移転防止法改正案の提出も視野に入れつつ、関係省庁や業界団体等とも協力しながら、マネー・ローンダリング対策を更に強力に推進し、特殊詐欺等による被害防止を図ってまいりたいと考えております。