国家公安委員会委員長記者会見要旨
1 日時 令和7年9月18日(木)10:47~10:53
2 場所 警察庁第4会議室
3 概要 本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。案件につきましては、第15回ASEAN+3国際犯罪閣僚会議等の開催結果についてなどがございました。私からは以上です。
問 大臣にお尋ねします。今、言及ございましたけれども、9日から12日までマレーシアに出張されたと伺っております。大きく2つの会議に参加されたとも伺っているのですけれども、そこでの御議論の内容ですとか、成果、また、課題等ございましたらお願いいたします。
答 (大臣)9月11日、マレーシア・マラッカにおいて開催された、第15回ASEAN+3国際犯罪閣僚会議及び第10回日・ASEAN国際犯罪閣僚会議に出席をいたしました。両閣僚会議では、組織的詐欺、テロ、サイバー犯罪等の国際犯罪への対策に関して、活発な意見交換が行われたところでございます。
私からは、日本政府の取組状況を説明するとともに、これらの問題に連携して対処するためASEAN諸国への協力を更に強化する旨述べ、これに対し、多数の国から期待が寄せられたところでございます。
両閣僚会議で採択された共同声明には、私からの発言等も踏まえ、参加国間において、国際犯罪と闘う上での協力関係を更に強化すること、特にサイバー犯罪や組織的詐欺について、より実務的で迅速な捜査協力を進めること、北朝鮮による拉致問題などの解決の重要性を強調することなどが盛り込まれたところであり、今回の成果と考えております。
今回の閣僚会議で得たこれらの成果も踏まえ、今後、ASEAN諸国との国際犯罪対策における一層の連携強化を図ってまいりたいと思っております。
問 長官にお尋ねします。今年上半期のサイバーの脅威をめぐる情勢がまとまったところです。今回の情勢の特徴をどう捉えていらっしゃるか。それの情勢を踏まえて警察としてどう取組を進めていくか、特に、人材の確保・育成も課題の一つかと思いますが、その点も含めましてお考えをお願いします。
答 (長官)令和7年上半期のサイバー空間をめぐる脅威情勢の特徴といたしまして、まずサイバー攻撃につきましては、年初に金融機関等の重要インフラに対する高度なDDoS攻撃が発生いたしまして、国民生活に被害が及んだほか、企業等をねらったランサムウェア被害の報告件数が過去最多に並ぶなど、引き続き極めて深刻な情勢にあると認識しております。
次に、インターネット空間における犯罪につきましては、メールやSNSによるフィッシングの報告件数が前年同期の1.9倍近くに急増し、これに起因するとみられる証券口座に係る不正取引が多発し、クレジットカード不正利用被害額も著しく増加しているほか、匿名・流動型犯罪グループによる特殊詐欺や違法オンラインカジノにおいて暗号資産がマネー・ローンダリングに用いられるなど、サイバー空間の匿名性があらゆる犯罪で悪用されていると認識しております。
このような情勢の下、警察におきましては、サイバー攻撃対策といたしまして、中国等の国家を背景とするサイバー攻撃グループに関するパブリック・アトリビューションの実施、サイバー特別捜査部による国際共同捜査を通じたランサムウェア等の被疑者の検挙や被害回復に資する復号ツールの開発等の取組を一層強化するとともに、インターネット空間における犯罪対策として、匿名・流動型犯罪グループに関する「集中取組対象事犯」の捜査に、サイバー特別捜査部をはじめとするサイバー部門が参画し、匿名性の壁を破るための捜査を引き続き推進するなど、全国警察が一体となってサイバー空間の脅威に対応していきたいと考えております。
また、御指摘のとおり、このようなサイバー空間の脅威に的確に対処するためには、人材の確保・育成が重要であると考えておりまして、警察では、都道府県警察・警察庁情報通信部門におけるサイバー人材確保・育成方針を定めまして、新規採用のほか、中途採用や官民人事交流を積極的に推進しております。この都道府県警察に中途採用等された職員へのアンケートでは、多くの職員が警察で勤務して良かった点として「やりがいがある」ということを挙げておりますので、警察における具体的な勤務内容とキャリアパスを積極的に発信することによりまして、警察の業務に関心のあるサイバー人材を掘り起こし、優秀な人材確保に努めていきたいと考えております。
今後とも、優秀な人材の確保・育成や物的基盤の整備を行い、サイバー攻撃への的確な対応や、匿名・流動型犯罪グループの実態解明と中核的人物の取締りを強力に推進するとともに、アクセス・無害化措置に係る改正警察官職務執行法の来年秋の施行に向けた諸準備を進めるなど、サイバー空間の脅威に適切に対応してまいりたいと考えております。