国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 令和7年9月25日(木)11:20~11:28

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。案件につきましては、「匿名・流動型犯罪グループ情報分析室」の設置についてなどがございました。以上です。

問 大臣にお伺いします。改正ギャンブル等依存症対策基本法が本日施行されました。警察のオンラインカジノ対策についての取組の現状と、今後どのように展開をされるのか、お教えください。

答 (大臣)本日、改正ギャンブル等依存症対策基本法が施行され、オンラインカジノサイトの開設・運営、オンラインカジノのアプリのアプリストアへの掲載、オンラインカジノサイトに誘導する広告、書き込み等の発信、これらが違法とされました。
 警察としては、オンライン上で行われる賭博が蔓延している状況を深刻に受け止めており、改正法の施行は、「オンラインカジノは違法である」との社会的認識を高め、対策を強化する上での大きな一歩となるものと認識をしております。
 警察では、改正法の施行に向けて、これまで改正法の内容について広報啓発を推進するとともに、改正法により違法とされる情報発信をインターネット・ホットラインセンターによる削除依頼の対象とするよう、同センターに働きかけ、運用ガイドラインを改定したところであります。
 その結果、改正法の施行前においても、削除要請の対象となるオンラインカジノ関連の情報発信について、主要40サイトのうち8サイトが国内から利用できないようになっており、2つのサイトが国内からの新規登録を停止したほか、アプリストアで5つのアプリが国内向けの配信を停止され、主要なSNS上の誘導情報の発信も減少してきているということで、効果が現れてきているところでございます。
 その上で、警察としては、改正法施行後においては、新たにインターネット・ホットラインセンターによる削除依頼を推進することはもとより、外務省を介して、事業者にライセンスを付与する外国政府に対し、我が国からオンラインカジノを利用できないように引き続き申し入れるとともに、先月、岐阜県警察において、紹介サイト運営者を常習賭博幇助で初摘発したように、オンラインカジノの運営に関与して犯罪収益を得ている者に対して、積極的な突き上げ捜査を推進することとしているものと認識しております。
 私としては、オンラインカジノ対策をより一層推進することが我が国の治安対策上の重要課題であると認識しており、これらの取組を効果的に推進するよう、警察を指導してまいりたいと思っております。
 国民の皆様には、「オンラインカジノサイトは違法である」ということを改めて御認識いただくとともに、紹介サイトやSNS上の書き込みといった、違法情報を発見した際には、インターネット・ホットラインセンターのサイトから通報していただくよう、御協力をお願いしたいと思います。

問 長官にお尋ねします。先ほど大臣からもございましたけれども、10月1日に匿名・流動型犯罪グループの対策、捜査、検挙を進めるために、警察庁と警視庁で新たな体制が発足します。今回の新体制の意義、それから、新体制の下でトクリュウ、特に中枢被疑者かと思いますけれども、検挙に向けてどういうふうに取り組んでいくか、お願いします。

答 (長官)匿名・流動型犯罪グループは、特殊詐欺やSNS型投資・ロマンス詐欺等、様々な犯罪に関与して多額の犯罪収益を得るなど、我が国の治安対策上大きな脅威となっており、対策を進める上での最重要課題は、御指摘のとおり中核的人物の解明・検挙であります。
 この課題に的確に対応するためには、各都道府県警察において事件検挙等を通じて得た情報を、警察庁において全国的・部門横断的に集約・分析し、ターゲットとすべきグループの中核的人物を選定した上で、捜査力を集中的に投入し、徹底した実態解明と取締りを推進する必要があると考えております。
 こうした観点から、10月1日付けで、匿名・流動型犯罪グループをターゲットとした、いわばインテリジェンス組織として「匿名・流動型犯罪グループ情報分析室」を警察庁に新たに設置し、各部門・各都道府県警察に点在する情報を一元的に集約・分析し、グループの中核的人物をあぶり出すとともに、同日、警視庁に設置される「匿名・流動型犯罪グループ対策本部」に全国警察の捜査員からなる専従捜査体制である「匿流ターゲット取締りチーム」、略称T3を新設し、中核的人物に対する集中的かつ戦略的な取締りを行うことにより、中核的人物の検挙とその違法なビジネスモデルの解体を強力に推進することといたしております。
 また、匿名・流動型犯罪グループが関与する特殊詐欺やSNS型投資・ロマンス詐欺、オンラインカジノ、マネー・ローンダリング事犯等の中には、海外に所在する拠点等から敢行されるものが増加傾向にあり、その実態解明が急務であることから、警察庁の国際捜査管理官を中心に、「匿名・流動型犯罪グループ情報分析室」やT3とも効果的に連携した国際捜査体制を構築し、諸外国の捜査機関等とも緊密な連携を図りながら、海外に拠点を置く匿名・流動型犯罪グループの実態解明と海外拠点の積極的な摘発を進めてまいりたいと考えております。
 さらに、匿名・流動型犯罪グループは、新たなサービスを悪用しながら、刻々とその犯行の手口を変化させている実態があることから、被害の抑止を図るため、「匿名・流動型犯罪グループ情報分析室」における分析結果等も踏まえながら、変化する犯行の手口を迅速に把握した上で、国民の皆様へのタイムリーな情報発信を行うことといたしております。
 警察といたしましては、新体制の下、これらの対策を効果的に推進し、匿名・流動型犯罪グループという治安対策上の脅威に対して的確に対応してまいりたいと考えております。