国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 令和7年10月23日(木)11:05~11:12

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。案件については、暗号資産を利用した犯罪による収益の移転防止に関する法律違反等被疑者の検挙についてなどがございました。以上です。

 

問  大臣これからどうぞよろしくお願いします。本日、1点、クマの関係でお尋ねします。クマの出没、それから、人的被害、各地で相次いでいるところですけれども、警察庁も先日、都道府県警の担当者を集めて、対応研修会を開いたところです。クマ事案に対する警察としての取組についてのお考えをお願いします。

答 (大臣)今、熊事案についてという話でございましたが、御案内のとおり、昨今山里、さらには住宅街、さらには、いわゆる人家やスーパーに熊がというような、それにおける警察の対応という話かと思います。
 まず、こういった事案に関して、警察としては、市町村等とまず緊密に連携し、地域住民の安全確保を最優先して対応していくこと、これが重要だと認識しております。
 そこで、今、御案内のとおり、先般10月16日でございますが、熊の生態に精通した専門家にも御参加いただきまして、都道府県警察の担当者を集めた研修会を開催し、熊が出没した場合には対応にあたる関係者や警察官自身の安全も確保しつつ、次のような取組を行っていくことを確認したところです。まず、安全確保の呼びかけ。これは防災無線や地域の安心・安全メール等による広報、これを使って地域住民へ呼びかけるという話。また、避難誘導や警戒活動の点、これは熊を排除するために市町村が行う活動への必要な協力を行うということ。さらには、被害に遭われた方の捜索救助というような事案もあります。適切にこれらの対応を行っていくこと、これが重要であるということを確認したところでございます。
 先ほど申し上げたとおり、まずは地域住民や対応にあたる関係者の安全に万全を期すよう警察を指導してまいりたいと思います。そのためには、今のような研修会を開催すること、その中で熊の習性、身体能力、そういったものに関する知識、また対応の要領、こういったものを習得すること、こうしたことを平素から想定した訓練を市町村と連携して行うこと、これが必要であると思っています。

問  もう1つ、長官によろしいでしょうか。先週、愛知県警等の合同捜査本部、サイバー特捜部も加わったと聞いていますけれども、詐欺等の犯罪インフラの調達手段を検挙したところです。トクリュウにあたるのではないかという見方もありますが、今回の事案への受け止め、それから、トクリュウ対策について、改めまして、長官のお考えをお願いします。

答 (長官)御指摘いただきました事案でありますが、これはいわゆる闇バイトで口座売買を行う者を募り、匿名性の高いSNSを利用して、巧妙な手口で銀行口座や暗号資産のアカウントを不正に取得させた上で、犯罪インフラとして特殊詐欺集団らに対して販売していた犯罪インフラ調達集団を、愛知県警察、関東管区警察局サイバー特別捜査部ほか9道県警察からなる合同捜査本部が検挙したものであります。
 本事案の意義ということでございますが、治安対策上の最重要課題である「匿名・流動型犯罪グループ」の特徴を有する犯罪インフラ調達集団を、関係道県警察と関東管区警察局サイバー特別捜査部が連携して、部門の垣根や都道府県の壁を越えて検挙したという点、特殊詐欺集団らに900を超える多数の銀行口座等を供給していた、大規模な犯罪インフラ調達集団を検挙し、特殊詐欺集団らの活動に打撃を与えた点、それから、サイバー特別捜査部において、都道府県警察や日本サイバー犯罪対策センター、いわゆるJC3から提供された情報を集約し、横断的・俯瞰的に分析するとともに、隠匿された暗号資産を専門的な技術を用いて追跡することにより、サイバー空間の匿名性を打破し、被疑者の特定に至った点などから、その意義は大きいと認識しております。
 この匿名・流動型犯罪グループの弱体化・壊滅を図るためには、中核的人物に対する集中的かつ戦略的な取締りを行うとともに、特殊詐欺集団らとの間で違法なビジネスモデルを構成している、口座等の犯行ツールを提供する「道具屋」や、暗号資産取引所を介さない個人間での相対取引を請け負って犯罪収益の隠匿を容易にする「相対屋」等の実態を解明・検挙し、その解体につなげることが重要であると認識しております。
 今月1日に警察庁に設置いたしました「匿名・流動型犯罪グループ情報分析室」には、サイバー特別捜査部の職員も兼務発令しているところであり、今後とも、サイバー部門が有する高度な専門的知識・技術を活用して匿名性の打破を図り、警察の総合力を発揮して、中核的人物はもとより、今申し上げました「道具屋」、あるいは「相対屋」をあぶり出し、積極的に検挙することによりまして、違法なビジネスモデルの解体と匿名・流動型犯罪グループの弱体化・壊滅に向けた取組を強力に推進していきたいと考えております。