国家公安委員会委員長(代理)記者会見要旨

1 日時 令和7年11月6日(木)11:24~11:33

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。あかま委員長が欠席のため、私が記者会見を代理いたします。案件については、警察によるクマ被害対策についてなどがございました。以上です。

 

問  長官にお尋ねします。ただ今委員からございましたクマ被害対策の関係ですけれども、警察によるライフルを使った駆除に向けて、警察庁が秋田、岩手の両県警に職員を派遣して聞き取りをしたところです。その場でどういった要望等があったか、それから、今日応援部隊の派遣も始まっていると聞いておりますし、関係の規則の改正もありました。警察としてクマ対策にどのように取り組んでいくか、お考えをお願いします。

答 (長官)クマによる人身被害が深刻化していることを踏まえまして、先般、10月30日に開催されました「クマ被害対策等に関する関係閣僚会議」におきまして、官房長官から、警察官が市町村による緊急銃猟に協力し、人里に侵入してきたクマを迅速かつ的確に駆除することができるように対応の指示があったところでございます。
 これを踏まえまして、警察庁では、今御指摘のとおり、11月4日から5日にかけまして、関係部局の幹部を秋田県及び岩手県に出張させ、両県から、自治体によるクマの駆除の実情や警察への要望事項等を伺うとともに、意見交換を行ったところであります。
 両県からは、クマの市街地への侵入対策として、自治体が県警察と協力して、市街地における警戒活動、地域住民への安全確保の情報発信等の活動を進めているほか、鳥獣保護管理法に基づき、緊急銃猟によるクマの駆除にも取り組んでいるが、市街地へのクマの出没が例年になく急増する中で、これらの対応に苦慮しているなどの実情について説明がありました。その上で、今申し上げました対応について、警察に対する更なる支援等の要望を受けたところでございます。
 今回行いました意見交換の結果を踏まえまして、警察といたしましては、引き続き、地元の自治体等と連携して、通学路の安全対策を始めとした警戒活動、地域安全メール等による広報や関係機関等への情報共有を通じた地域住民への安全確保の呼びかけ等を更に強化していくことといたしております。
 また、市町村による緊急銃猟に引き続き協力するとともに、警察におきましても、警察官職務執行法に基づきまして、ライフル銃を使用してクマを駆除することができる態勢を確保するため、本日、11月6日から、特に被害の大きい岩手県及び秋田県に、他の都道府県警察から交代で応援部隊を派遣することといたしております。今後は、応援派遣される部隊に対し、クマの特性等に関する教養・訓練を行うなど、諸準備を早急に進め、11月13日にはクマの駆除を開始できる態勢を構築したいと考えております。
 警察といたしましては、今後とも、地元の自治体等と緊密に連携し、地域住民の安全確保を最優先として、クマによる被害を防止するための取組を進めてまいりたいと考えております。

問  長官に2点お伺いさせてください。「犯罪被害者月間」が始まりました。改めましてこの期間において、政府はどういった取組を行うのかお伺いしたいです。また、バックパネルにもありますシンボルマークの「ギュっとちゃん」について、今後どのように活用されていくのか。「ギュっとちゃん」の魅力も含めましてお伝えいただければと思います。

答 (長官)まず1点目の「犯罪被害者月間」についてでありますが、国民ひとりひとりが犯罪被害者等の置かれた状況や心情を理解し、手を差し伸べていく社会の実現を目指して、本年はこれまでの「犯罪被害者週間」を拡充して、11月1日から12月1日までを「犯罪被害者月間」として、政府を挙げて、各種広報啓発活動を推進していくことといたしております。
 月間中は、今御指摘もありました犯罪被害者等支援シンボルマークの「ギュっとちゃん」を活用した広報を行うことといたしておりまして、明日の閣議でも、私も今日着けております、それから、宮崎委員にも着けていただいておりますピンバッジを全閣僚に着用いただくことといたしております。
 また、今年は俳優の松永有紗さんを起用したメッセージ動画をYouTube警察庁公式チャンネル、それから、SNS広告で配信し、全国各地にポスターも掲示して、本年度の犯罪被害者等支援に関する標語である「わたしにもできる支援がここにある」を呼びかけていきたいと思っております。
 また、支援活動を紹介するパネル展など、全国各地で関連するイベントを開催することとして、実際に行っているところでありますが、11月28日には東京都渋谷区におきまして政府主催の中央イベントを開催し、御遺族による講演や有識者によるパネルディスカッションなどを行い、途切れない被害者支援の輪をさらに拡げていきたいと考えております。会場での参加が難しい方のためには、YouTubeでのライブ配信や見逃し配信も行うことといたしております。
 犯罪被害者等施策の司令塔の立場である警察庁といたしましては、一人でも多くの方々に「ギュっとちゃん」や犯罪被害者等支援に関するポスター、動画を目にし、様々なイベントに参加していただきたいと考えておりまして、この月間の活動を通じて、被害者の方々が置かれている状況や支援の必要性について国民の皆様の理解が深まり、社会全体で被害者を支える気運が更に高まっていくことを期待しているところであります。
 それから、「ギュっとちゃん」の関係でありますが、この「ギュっとちゃん」は、「優しさ」と「思いやり」のハートを抱く癒やしのキャラクターで、国民からの公募により、平成22年にシンボルマークが、平成25年に愛称が決まったところであります。
 犯罪被害者等支援につきましては、言葉で語る難しさがあるからこそ、一目で親しみを感じられる「ギュっとちゃん」を通して、犯罪被害者等の実情・課題をより身近なものとして感じていただくことが大変重要であると考えております。
 そこで、現在実施中の月間の期間はもとより、今後の広報啓発活動におきましても、例えばでありますが、先ほど申し上げました犯罪被害者等支援の警察庁の公式Xに、「ギュっとちゃん」を登場させて情報発信をするなど、様々な手法を用いて「ギュっとちゃん」を活用していきたいと思っております。
 国民の皆様には、この月間を中心に行われます広報啓発活動やイベントの機会に、まずは「ギュっとちゃん」に親近感を持っていただき、被害者の方々が置かれている状況や、支援の必要性について理解を深めていただければと考えております。

問  長官にお尋ねします。1999年、名古屋市で女性が殺害された事件ですけれども、26年経って、このほど被疑者が逮捕されたということです。非常に長期にわたる捜査の結果の検挙ですけれども、今回の事件についての受け止め、それから、こうしたいわゆる長期未解決事件、殺人などは他にも少なからずありますけれども、こうした事件にどのように警察として取り組んでいくかも含めまして、お考えをお願いします。

答 (長官)御指摘の事件につきましては、平成11年11月、当時32歳の女性が、愛知県名古屋市西区の御自宅において、刃物で襲われて亡くなられた誠に痛ましい事件でありまして、改めまして被害者の方の御冥福をお祈り申し上げたいと思います。
 本件につきましては、愛知県警察において、地道な捜査を粘り強く推進した結果、10月31日、被疑者を殺人罪で逮捕するに至ったものでありまして、事件の全容解明に向けて大きく前進したものと認識いたしております。引き続き、愛知県警察において、必要な捜査を推進しているものと承知しております。
 今後も未解決事件につきましては、必要な体制を維持しつつ、捜査特別報奨金制度の活用などにより国民の皆様からの情報提供の促進を図るとともに、有力情報の掘り下げを行うなど、早期検挙を目指して捜査を推進していくよう都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。