国家公安委員会委員長(代理)記者会見要旨

1 日時 令和7年11月13日(木)11:44~11:52

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。あかま委員長が欠席のため、私が記者会見を代理いたします。案件については、第43回ASEAN警察長官会合の開催結果についてなどがございました。以上です。

 

問  長官にお尋ねします。クマの人身被害が多発していることを受けた緊急的な措置として、本日13日から警察官によるライフル銃を使用した駆除が可能となりますけれども、本日以降、どのような運用をされていくのか、お考えをお聞かせください。

答 (長官)クマによる人身被害が深刻化していることへの追加的・緊急的な対策といたしまして、市町村が鳥獣保護管理法に基づき実施する緊急銃猟に加えまして、警察官が警察官職務執行法に基づきライフル銃を使用してクマを駆除することができる態勢を構築するため、警察庁では、特殊銃に関する国家公安委員会規則の改正、特に被害の大きい岩手県及び秋田県への他の都道府県警察からの応援部隊の派遣、現地の猟友会と連携したクマの特性等に関する教養・訓練の実施、クマの駆除に関する全国警察の担当者会議の開催など、改正規則が施行される本日からクマの駆除の任務を開始することができるよう、鋭意諸準備を進めてきたところでございます。
 クマ駆除に係る態勢といたしまして、岩手県警察及び秋田県警察におきましては、地元県警察が、他の都道府県警察から派遣された応援部隊と合同で、ライフル銃の射撃手を含めた4人1組の現場対応ユニット2組を編成し、防護のための資機材を活用するなどして警察官自らの安全を確保しつつ、地元自治体や猟友会と連携して、クマの駆除に当たることといたしております。
 また、岩手県警察や秋田県警察以外の都道府県警察におきましても、クマによる被害状況等を踏まえ、各都道府県の実情に応じてクマの駆除態勢を構築することといたしております。
 警察といたしましては、今後とも、地元の自治体等と緊密に連携し、通学路の安全確保を始めとした警戒活動、地域安全メール等による地域住民への安全確保の呼びかけのほか、ライフル銃によるクマ駆除の任務を適切に遂行し、地域住民の安全確保を最優先とした、クマによる人身被害を防止するための取組を進めてまいりたいと考えております。

問  長官にお尋ねします。タイ国籍の12歳の少女が、東京都内のマッサージ店で性的サービスをさせられたという事件で、男が逮捕されたところですけれども、いわゆる人身取引に当たる重大な事案ではないかと思いますが、こうした事案が国内で起きたことも含めまして、長官の受け止め、それから、警察の対応、人身取引事案へどう警察が取り組んでいくか、お考えをお願いします。

答 (長官)お尋ねの件につきましては、短期滞在のビザで母親と共に入国したタイ国籍の少女を、都内の個室マッサージ店で働かせていた事案につきまして、警視庁が、11月4日、店の経営者を労働基準法違反の容疑で逮捕したものと承知いたしております。本件は、被害少女の人権を踏みにじる悪質な事案であり、警察として、厳正に対処する必要があるものと認識いたしております。引き続き、警視庁において、事案の全容解明に向けて捜査を推進する必要があると考えております。
 我が国における人身取引事案の状況を見ますと、近年、被害者に占める外国人の割合は減少傾向にあり、令和2年から令和6年までの5年間では、18歳未満の外国籍の被害者の方は1人という状況にございますが、人身取引は重大な人権侵害であることから、今回の事案を踏まえまして、関係機関・団体との連携に加え、関係国の大使館や捜査機関等との情報交換を始めとした国際協力を更に進めていくことが重要であると認識いたしております。
 警察といたしましては、引き続きこれらの取組を強化しつつ、人身取引事犯の取締り、被害者の保護や支援等の取組を進めてまいりたいと考えております。

問  もう一つ長官にお尋ねします。昨日、警視庁が、警視庁の暴力団対策課の警部補を、いわゆるナチュラルというスカウトグループに対して捜査情報を漏えいしたという容疑で逮捕したところ、警察全体を挙げてトクリュウ対策に取り組んでいる中で、トクリュウ捜査に従事している捜査員が、トクリュウ側を利するような行為に出たという、事実であれば大変な重大事案かと認識しておりますが、この事件への長官の受け止め、お考えについて伺います。

答 (長官)お尋ねの件につきましては、11月12日、警視庁におきまして、捜査情報を漏えいした地方公務員法違反容疑で、警視庁暴力団対策課の警部補を逮捕したものと承知しております。
 本年10月に警察庁に「匿名・流動型犯罪グループ情報分析室」を設置するなど、全国警察を挙げて匿名・流動型犯罪グループ対策を推進している中で、現職の警察官が捜査情報の漏えいで逮捕されましたことは、国民の信頼を著しく損なうものであり、言語道断であると考えております。
 今後、警視庁においては、必要な捜査・調査を尽くし、判明した事実関係に即して厳正に対処するとともに、二度とこのような事案が発生することのないよう、再発防止策を徹底する必要があると考えております。
 警察庁といたしましては、これまでも都道府県警察に対して、捜査情報の厳格な管理を指示してきたところでありますが、引き続き、あらゆる機会をとらえて、捜査情報の厳格な管理について指導を徹底するとともに、また何よりも、この全国警察を挙げた匿名・流動型犯罪グループ対策を一層推進してまいりたいと考えております。