国家公安委員会委員長記者会見要旨
1 日時 令和7年12月18日(木)11:56~12:08
2 場所 警察庁第4会議室
3 概要 本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。案件については、「技術の進展に伴う危険なドローン飛行への対策に関する報告書」についてなどがございました。以上です。
問 大臣にお尋ねします。ただ今ございましたドローンですけれども、ドローンの飛行の対策に関する有識者検討会で、報告書がまとまったところです。例えば、飛行禁止エリアの拡大等の内容となっております。ドローンをめぐる現状の課題、それから、今回の報告書も踏まえまして、警察として、対策・規制にどう取り組んでいくか、法改正の見通しも含めまして、お考えをお願いします。
答 (大臣)ドローン案件の報告書・現状課題という話と、今後という話でございますが、このドローンの飛行については、「小型無人機等飛行禁止法」に基づき、一定の規制が設けられておりますが、同法の制定当時に比べ、近年、ドローンは、飛躍的にその性能が向上しているほか、利活用の場が広がり、入手が容易となっていることから、ドローンが、テロリストやローン・オフェンダー等に悪用される事案の発生が懸念されるところでございます。
こうした情勢を踏まえ、技術の進展に伴う危険なドローン飛行への対策について検討するため、本年10月に立ち上げられた有識者検討会において、本日、報告書が取りまとめられたところでございます。
本報告書では、現行制度の課題として、小型無人機等の飛行が禁止される、対象施設の周囲おおむね300メートルの、いわゆるイエローゾーンについて、ドローンの飛行速度が向上し、ジャミングガン等の資機材を用いた対処に必要な時間的猶予を確保することが困難となっていること、また、ドローンの映像伝送距離が向上し、遠方から操縦して対象施設を攻撃することが可能となっていることから、警察官が操縦者を発見して措置命令を行うことが現実的ではなくなっていることなどが指摘されました。その対策として、イエローゾーンの範囲を「おおむね千メートル」に拡大すること、イエローゾーンの上空飛行に対する罰則を命令前置の間接罰でなく、直罰とすることなどが示されたものと承知しております。
本報告書で示された対策は、いずれも可及的速やかに講ずるべきものであることから、今後、ドローンの利活用の促進との調和を図る観点に配慮しながら、「小型無人機等飛行禁止法」の改正法案を早急に取りまとめるとともに、重要施設等に対するドローンの危険な飛行への対処能力の更なる向上を図るよう、警察を指導してまいりたいと思っております。
問 大臣にお伺いします。生成AI等を悪用した児童ポルノ被害について、広報啓発の資料が作成されました。被害に遭わないため、そして、加害を防止するために、どのような取組が必要と考えているか、そしてまた、国民へのメッセージがあれば、あわせてお願いします。
答 (大臣)お尋ねの件については、昨今、いわゆる「児童の性的ディープフェイク」による被害が発生し、児童が加害者になる事案も多数みられることから、警察庁では関係府省庁と連携して、この種事案の被害・加害防止のための広報啓発資料を作成し、SNSを利用して発信するなど、対策を強化することとしたものであると承知しております。
今般作成いたしました広報啓発資料では、被害に遭ったときや、困ったときの相談窓口として、警察や教育委員会をはじめ地方自治体等の窓口があること、また、軽い気持ちで他人の画像をAIで加工してSNSに投稿すると、他人を傷つけ、トラブルとなったり、犯罪の加害者になるおそれがあることなどを分かりやすく紹介しております。
このような、いわゆる「児童の性的ディープフェイク」は、新たな類型の性被害であることから、警察においては、今般作成した資料を活用するなどして、平素からこの種事案の未然防止のための広報啓発を強力に推進すること、それから、この種事案を認知した際には、被害者に寄り添いつつ、悪質な事案については、事件化することも含め、適切に対応することが大変重要であると考えております。これらの取組がしっかり行われるよう、警察を指導してまいりたいと思います。
私からのメッセージでございますが、小中高生の皆さんにあっては、安易なAIによる他人の画像加工や、そのSNS投稿が、思わぬ人権侵害につながりかねないということを、よく注意していただきたいと思います。
あわせて、保護者の皆様方におかれても、AIを使うときのルールやモラルについて、お子様等とお話し合いいただくとともに、万が一、お子様等が被害に遭っているとお気付きになったときには、躊躇せず最寄りの警察署に相談していただきたいと思います。
問 長官にお尋ねします。今年最後の定例会見ということですけれども、今年1年の振り返りをお願いしたいと思います。例えば、トクリュウ対策への取組の強化を図られたという動きがあったかと思います。一方で、大川原化工機をめぐる捜査、それから、神奈川のストーカー事案の対応をめぐる問題等、警察の信頼が問われるような事案が相次いだところです。今年1年を振り返りまして、来年の展望も含め、お考えをお願いします。
答 (長官)まず、本年は、4月から半年にわたって開催されました大阪・関西万博、それから、7月に行われました第27回参議院議員通常選挙におきまして、全国警察を挙げて警備対策や要人警護に取り組みました。大きな事件・事故もなく、所期の目的を達成することができたと考えております。これは、国民の皆様の御理解と御協力なくしては実現できなかったものであり、改めて関係したすべての皆様に心から感謝申し上げたいと思います。
次に、警察にとって、本年の治安対策上の最重要課題は、今、御指摘ありました、匿名・流動型犯罪グループであります。このグループは、近年、治安上の課題となっている犯罪の多くに関与し、多額の犯罪収益を得ているという実態があります。このグループの中核的人物の検挙と違法なビジネスモデルの解体に向けて、全国警察を挙げて取り組んでまいったところであります。
その結果、先般、警視庁等において、昨年8月以降に関東一円で連続発生した強盗等の事件の指示役を検挙したところでありますが、他方で、本年は、警察官を騙った特殊詐欺、SNSを悪用した投資詐欺やロマンス詐欺の被害が急増し、詐欺全体の被害額は、過去最悪となった昨年の被害額3,000億円を既に上回るなど、まさに危機的な状況にあり、警察が取締り等をしっかりやるのは当然でありますが、関係省庁や通信事業者、金融機関等と連携し、対策の更なる強化が必要であると考えております。
警察といたしましては、検挙・抑止の両面で取組を強化することが重要であると考えておりますが、まず、検挙面では、本年10月に警察庁に設置した「匿名・流動型犯罪グループ情報分析室」、それから、警視庁に全国警察の捜査員を集めて新設した「匿流ターゲット取締りチーム」、略称T3の更なる体制強化と効果的な運用、サイバー空間における匿名性を打破するためのサイバー特捜部の活用、東南アジア諸国等とのオペレーションレベルでの国際協力連携の強化、本年の通常国会において成立いたしました悪質ホストクラブ対策としての改正風営適正化法や、金属盗対策新法の効果的な運用を図りながら、中核的人物の実態解明・取締りと違法なビジネスモデルの解体を推進してまいりたいと考えております。
次に、抑止面では、詐欺被害の拡大に歯止めをかけるため、新たな手口に関する広報啓発を適時的確に推進することに加えまして、犯罪者グループが被害者に接触することを防ぐため、「みんとめ」のキャッチフレーズで行っている国際電話の利用停止の更なる呼び掛け、「警察庁推奨アプリ」の早期認定と利用促進を図るとともに、詐欺被害の拡大を防止するため、金融機関との一層の連携強化等の諸対策を強力に推進していきたいと思っております。
他方、御指摘いただきましたように、本年は、警視庁公安部による外為法違反捜査、神奈川県川崎市内におけるストーカー事案への対応について検証が行われ、佐賀県警察の科学捜査研究所における不適切なDNA型鑑定に関して警察庁の特別監察が実施されているほか、警視庁暴力団対策課の警部補が捜査情報の漏えいで逮捕されるなど、警察活動に対する国民の信頼を損なう事案が相次いで発生しております。また、本年の全国の懲戒処分者数につきましても、過去10年で最多となる水準で推移しているところでありまして、警察組織全体の規律の緩みが懸念されるところであります。私といたしましても大変重く受け止めているところであります。
警察の活動は、国民の信頼の上に成り立つものであることから、全国警察が強い危機感を持ち、今一度、誇りと使命感をもって国家と国民に奉仕するという、警察の在るべき姿、原点に立ち戻るよう、改めて指導を徹底し、信頼回復に努めてまいりたいと思っております。
そのほかにも、警察を取り巻く喫緊の課題として、今月30日から施行されます、「紛失防止タグ」の悪用を規制するなどの改正ストーカー規制法の確実な運用、来年4月に始まる自転車の交通反則通告制度の円滑な導入に向けて、本年も諸準備を進めているところであります。国民の安全・安心の確保に向けて、これらの治安上の課題にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。