国家公安委員会委員長記者会見要旨
1 日時 令和8年2月12日(木)11:11~11:23
2 場所 警察庁第4会議室
3 概要 本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。案件については、令和7年の犯罪情勢についてなどがございました。以上でございます。
問 大臣にお尋ねします。ただ今ございました犯罪情勢ですが、昨年の分、まとまりましたが、刑法犯認知件数は4年連続で増加して、コロナ前の2019年を上回った数字になっております。特に詐欺等の財産犯の増加等がみられておりますけれども、この情勢への大臣の受け止め、それから、警察としてどのように対応していくか、お考えをお願いします。
答 (大臣)犯罪情勢のとりまとめ、その受け止めということで、御承知のとおり、今お話がありました令和7年の刑法犯認知件数の総数については、約77万件でございました。戦後最少だった令和3年から4年連続で増加ということで、この数字は新型コロナウイルス感染症の感染拡大前である令和元年の水準を上回っている状況でございます。
それら犯罪情勢の特徴ということを申し上げれば、知能犯や風俗犯が大きく増加をしている。そのうち特に詐欺の増加が顕著であるということ。これを含む財産犯の被害額は5千億円に迫り、過去最多でございました前年の被害額を更に大きく上回ったという特徴がございます。さらには窃盗犯も令和元年の水準に近づきつつあり、特に万引きが増加したほか、「空き家」を狙った侵入窃盗が急増していることも特徴でございます。さらにサイバー事案による被害や、ストーカー等人身安全関連事案の相談等の件数は依然として高い水準にあることといったことが特徴として挙げられます。
こういった状況を踏まえれば、私といたしましては、我が国の犯罪情勢は厳しい状況であると考えております。このことが、国民のいわゆる体感治安に悪影響を与えているという認識であります。
また、犯罪の手口の傾向でございますけれども、SNS等による犯罪実行者の募集や、インターネットバンキングや生成AIの悪用等、インターネット上で提供される技術やサービスが犯罪インフラとして悪用される実態がみられ、喫緊の課題であると認識しております。
こうした犯罪情勢を的確に捉えることがまず必要であり、その上で、治安上の課題となっている多様な犯罪に関与している匿名・流動型犯罪グループの戦略的かつ集中的な実態解明・取締りの推進といったことを含め、総合的な犯罪対策を強力に推し進めることを通じて、「世界一安全な日本」を実現することで、国民の期待と信頼に応えてまいりたいと思っております。
問 長官にお伺いいたします。昨年の特殊詐欺とSNS型投資・ロマンス詐欺の被害総額が3千億円を超えました。政府を中心に様々な対策が講じられた中で、被害拡大の勢いに歯止めがかからない状況ですけれども、昨年の被害額についての受け止めと、特徴を踏まえた今後の対策についてお聞かせください。
答 (長官)令和7年中の特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の被害状況をみますと、被害額は前年比約63%増の約3,241億円となり、過去最悪を記録したほか、コロナ禍が収束した令和5年以降、特殊詐欺の被害額は約3倍、SNS型投資・ロマンス詐欺の被害額は約4倍となり、1日当たりの被害額が約9億円となるなど、極めて危機的な状況にあり、このことが、国民の皆様の体感治安を悪化させる大きな要因の一つとなっているものと認識いたしております。
このような急速な被害拡大の背景といたしまして、大きく4点挙げることができるのではないかと考えております。1点目は、これらの詐欺事件を実行している匿名・流動型犯罪グループにおいて、コロナ禍以降の非対面型の生活様式の定着や、通信、金融、AIに関する新たな技術・サービスの進展を悪用し、その匿名性を最大限に利用した「違法なビジネスモデル」への転換を急速に進めたこと。2点目として、匿名・流動型犯罪グループが、国外の犯罪組織と「違法なネットワーク」を構築し、東南アジアに大規模な詐欺拠点を設け、国際電話番号を用いて、国境や言語の壁を越えた犯行形態が拡大していること。3点目は、投資への関心の高まりにつけ込んだ投資詐欺、警察に対する信頼性を悪用したニセ警察詐欺等、より多くの金を騙し取ることができる手口に移行し、固定電話のみならず、携帯電話の利用者もターゲットとすることで、従来の詐欺対策の重点であった高齢者に加え、若い世代に被害者層を急拡大させていること。4点目は、警察や金融機関等による被害抑止対策に対抗し、職員による声掛けの機会のないインターネットバンキングや暗号資産、金地金等を購入させた上で騙し取る手段にシフトしていることであります。
匿名・流動型犯罪グループによるこのような「違法なビジネスモデル」に対抗し、詐欺被害の防止を図るためには、警察と関係機関・団体がこれまで以上に緊密に連携し、検挙・抑止の両面で対策を強化する必要があり、「国民を詐欺から守るための総合対策2.0」に記載されている取組を加速化するとともに、これまでの対策の延長線上ではない、新たな対策が不可欠であると認識いたしております。
具体的には、検挙の面では、匿名・流動型犯罪グループによる匿名性の壁を打破し、中核的人物と違法なビジネスモデルの解体を図るため、「匿流取締りターゲットチーム」、略称T3の更なる増強、仮装身分捜査の積極的な実施、架空名義口座を用いた新たな措置の早期導入に加えまして、諸外国の事例を参考に、匿名性を打破するために効果的と考えられる手法についての検討の加速、国際捜査・国際連携の一層の推進等を図るとともに、抑止の面では、犯人と接点を持ってしまうと誰しもが騙されて被害に遭う可能性があることを前提に、激増する国際電話からの犯行を抑止するため、固定電話での国際電話の利用休止を抜本的に促進するための更に効果的な対策の検討、スマホへの国際電話を遮断するなどの機能を有する詐欺対策アプリの「警察庁推奨アプリ」としての普及促進、金融機関と連携した詐欺被害の早期認知と迅速な口座凍結等の対策に関係機関・団体と緊密に連携して取り組む必要があると考えております。
今後とも、これらの対策を強力に推進し、特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の撲滅に向けて、関係機関・団体とも緊密に連携しながら、全国警察を挙げてしっかりと対策を講じてまいりたいと考えております。
問 長官にお尋ねします。先般、衆議院議員総選挙がありました。警護警備をなされたわけですけれども、今回の実施状況がまとまったところです。課題の一つであるローン・オフェンダー対策も含めまして、今回の警護警備をどのように振り返られるか。みえた課題等もありましたならば、あわせてお考えをお願いします。
答 (長官)今回の衆議院議員総選挙に当たりまして、警察といたしましては、選挙運動に伴う警護において、要人等に対する襲撃事件を二度と起こさせないという強い決意の下、全国で延べ約6万人の警察官を動員するとともに、警察庁に「LO脅威情報統合センター」を設置するなど、必要な態勢を構築し、組織の総合力を発揮して要人警護とローン・オフェンダー等対策に当たったところであります。
まず、今回の対策の実施結果についてでありますが、今回の総選挙では、総理を始めとする警護対象者が参加する屋内外での演説等が全国約1,600箇所で行われたところでありますが、主催者と連携した手荷物検査や金属探知検査の実施により、約250件の危険物を発見し、演説会場に現れた要注意者等に職務質問等を行い、警護対象者への接近を阻止したほか、SNSにおいて危険な投稿をした対象者を特定して、必要な措置を講じたところでありまして、要人警護と聴衆の安全確保、それから、ローン・オフェンダー等による違法行為の未然防止という所期の目的を達成することができたと考えております。
警察と緊密に連携し、各演説会場において対応に当たっていただいた主催者等の皆様、各演説会場における手荷物検査や金属探知検査、交通規制等に御理解と御協力をいただきました国民の皆様に、改めて感謝を申し上げたいと思います。
次に今回の対策を通じて得られた教訓としては、例えばということでありますが、一部の演説会場やその周辺において、見込みを大きく上回る数の聴衆が参集する状況がみられたところでありますが、速やかに主催者と連携し、聴衆エリアや手荷物検査・金属探知検査ブースを増設したほか、警察の予備の部隊や装備資機材を活用し、必要な雑踏対策や交通対策を講じるなど、臨機応変に対応に当たったところであり、このような対応を通じまして、警察と主催者が、緊密に連携し、刻々と変化する現場の状況を迅速に把握・共有した上で、柔軟に対応することの重要性を改めて認識したことが挙げられます。
警察といたしましては、警護に満点はなく、不断の見直しが必要であるとの認識の下、今回の衆議院議員総選挙における対策の実施結果について、今後更に確認を進め、必要な見直しを行うなど、引き続き、緊張感を持って要人警護とローン・オフェンダー等対策に万全を期してまいりたいと考えております。