国家公安委員会委員長(代理)記者会見要旨
1 日時 令和8年4月2日(木)11:20~11:32
2 場所 警察庁第4会議室
3 概要 本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。あかま委員長が欠席のため、私が記者会見を代理いたします。案件については、警察におけるサイバー戦略についてなどがございました。以上です。
問 長官にお尋ねします。昨年の組織犯罪情勢がまとまったところです。トクリュウの犯罪関与の状況のほか、また、薬物では特に大麻の検挙が過去最多を更新するなど、厳しい情勢かと思います。今回の組対情勢への特徴、それを踏まえた警察の取組についてのお考えをお願いします。
答 (長官)令和7年中の組織犯罪情勢の特徴といたしましては、まず、匿名・流動型犯罪グループが暴力団や来日外国人犯罪グループ等と一定の関係を保ちながら、ニセ警察詐欺、SNS型投資・ロマンス詐欺等の特殊詐欺をはじめとして、強盗、窃盗等の様々な犯罪に関与して資金獲得活動を行っているなど、治安上の脅威となっており、特に、昨年、過去最悪の被害額となる3,241億円を記録した特殊詐欺につきましては、本年に入っても被害の増加傾向が継続し、2月末現在の被害額は対前年比82.8%増の593.8億円となるなど、特殊詐欺対策が治安対策上の最重要課題となっていることが挙げられます。また、薬物事犯でありますが、薬物事犯の検挙人員が3年連続して増加し、年間1万5,000人に迫るなど高い水準で推移し、特に、御指摘のありました大麻事犯の検挙人員は6,832人と過去最多で、うち20歳代以下の若年層が全検挙人員の7割を占めるなど、極めて憂慮すべき状況になっていることが挙げられます。
次に、今後の対策でありますが、まず、匿名・流動型犯罪グループ対策につきましては、匿名性の壁を打破し、中核的人物の検挙と違法なビジネスモデルの解体を図るため、警察庁に昨年10月に設置いたしました「匿名・流動型犯罪グループ情報分析室」において関連情報の一元的な集約・分析を行い、昨日、体制を200名に倍増いたしました「匿流ターゲット取締りチーム」、通称T3を活用して戦略的な取締りを行うとともに、仮装身分捜査の積極的な実施、国際捜査・国際連携の一層の推進等の対策を引き続き推進し、関係機関、事業者とも連携しながら、全国警察を挙げて中核的人物の実態解明・取締りを推進してまいりたいと考えております。
また、薬物事犯対策につきましては、若年層による大麻乱用の拡大が深刻化している状況を踏まえまして、若年層をターゲットとした広報啓発活動、インターネット上における違法・有害情報の排除対策を推進するとともに、大麻をはじめ薬物の密輸・密売に暴力団、匿名・流動型犯罪グループ、さらには、来日外国人犯罪組織が深く関与している状況を踏まえまして、違法行為者に対する徹底した検挙、外国捜査機関を含む関係機関との連携等の対策を講じているところであり、今後も引き続き、薬物乱用の根絶に向けて、総合的な対策を推進してまいりたいと考えております。
問 長官にお尋ねします。警察におけるサイバー戦略が4年ぶりに改定されました。今回改定に至った経緯と、そのねらいについて、長官の御見解をお聞かせください。
答 (長官)現行の「警察におけるサイバー戦略」は、令和4年4月、警察庁サイバー警察局及び現在のサイバー特別捜査部の前身となる関東管区警察局サイバー特別捜査隊の新設と同時に発出したものでございます。
この度、この戦略を改定いたしましたのは、まず、前回の戦略策定後、国家を背景とした組織によるサイバー攻撃の脅威が急速に高まっているほか、サイバー空間の匿名性が悪用され、匿名・流動型犯罪グループによる特殊詐欺等の被害が拡大しているところであり、サイバー事案への対処が国家安全保障及び治安対策上の喫緊の課題となっていること、また、このような情勢を受けまして、昨年5月、サイバー対処能力強化法及び同整備法が成立し、昨年12月には、政府において「サイバーセキュリティ戦略」が閣議決定されたこと、さらには、警察として、このようなサイバー空間の脅威への対処能力の一層の向上を図ることを含め、警察組織の構造改革を推進するため、本日、新たな通達を発出することといたしていることなどを踏まえたものであります。
新戦略では、我が国が直面する厳しく複雑な安全保障環境や、サイバー空間の匿名性が様々な犯罪に悪用されていることなどを十分に踏まえまして、本年10月から施行される改正警察官職務執行法によるアクセス・無害化措置を効果的に実施するとともに、サイバー事案の検挙や未然防止等に係る取組を推進することといたしております。
また、こうした取組を推進する主体である都道府県警察の多くは、現在、複数の部をまたいでサイバー警察事務を執行しておりますが、サイバー空間をめぐる脅威に的確に対応するためには、警察の限られた人的・物的リソースを効果的かつ効率的に活用する必要があります。
そこで、新戦略ではこの点を踏まえまして、都道府県警察に対して、サイバー警察事務を集約した一元化組織の整備について検討を指示したところであります。
警察といたしましては、この新戦略に基づきまして、警察庁及び都道府県警察が一体となって、サイバー事案への対処能力の一層の向上を図り、サイバー空間をめぐる脅威に的確に対応してまいりたいと考えております。
問 長官にお尋ねします。今一部出ましたけれども、警察組織の構造改革、それから、警察官等の人材確保に向けた新たな指針がまとまったところです。内容は多岐にわたっていますけれども、例えば、都道府県警同士の連携の強化等も盛り込まれているところです。今回の新たな指針の特徴、今後、改革やその運営の見直しをどう進めていくか、お考えをお願いします。
答 (長官)今回、将来を見据えた「警察組織の構造改革」と「優秀な警察官の確保」に関する指針を策定し、通達として発出することといたしましたが、これは、まず、匿名・流動型犯罪グループ、サイバー事案、ローン・オフェンダー、対日有害活動への対応等、現下の重要な治安課題が著しく専門化・高度化・広域化・国際化し、国家安全保障との境界も相対化しており、治安課題への警察庁のより積極的な関与・対処や、都道府県警察の枠を超えたリソースの集約が必要となっている一方で、少子高齢化、人口減少、地方の過疎化と都市部への人口集中等、社会構造が変化している中で、都道府県警察が将来にわたって治安課題に的確に対処することができる組織であり続けるためには、都道府県警察における本部と警察署の役割分担等の見直しや、業務の更なる高度化・効率化・合理化が不可欠であり、警察組織の構造改革を進める必要があること、さらに、警察官の採用に関しましては、採用試験の受験者数が著しく減少する一方で、現在の警察官の年齢構成を踏まえますと今後退職者数は増加傾向が続くことが見込まれるなど、極めて厳しい採用情勢の中、将来にわたって警察の人的基盤を維持するためには、優秀な警察官の確保に万全を期す必要があることを踏まえたものであります。
今後は、この指針に基づきまして、警察庁においては、長官である私を本部長とする推進体制を、また、都道府県警察においても、この警察庁の体制を参考とした推進体制を構築した上で検討を進めていくこととしております。まず、この構造改革につきましては、指針で定めた4点を「4本柱の構造改革」として推進していくことといたしておりますが、例えば、匿名・流動型犯罪グループ対策等、重要な治安課題について、警察庁の積極的関与による対応の高度化に加えまして、警察用航空機のブロック運航や都道府県警察に設置される科学捜査研究所の機能集約の検討を進めるほか、警察本部と警察署の役割分担や警察署の運用の見直し等につきまして、警察庁から施策の方向性を提示し、都道府県警察では、それを踏まえつつ、各都道府県警察の実情に応じて、組織の構造改革を進めることといたしております。
また、優秀な警察官の確保につきましては、指針で定めた3点を「3本柱の人材確保」として推進していくことといたしておりまして、例えば、SNSによる若い世代への情報発信の強化、多くの民間企業が活用している適性検査の導入等につきまして、緊急対策として、可能なものから順次実施するとともに、志望者の関心が高い警察学校につきまして、スマートフォンの使用制限や髪型の制限の緩和等、運営の在り方の見直しを速やかに行うとともに、警察学校における教養の広域連携や施設の集約等につきまして、警察庁と都道府県警察が、中・長期的な視点を持ちつつ、一体となって進めていくことといたしております。
この指針に基づく取組につきましては、目の前にある重要な治安課題への的確な対応と、将来を見据えた警察組織の構造改革及び人的基盤の強化という、いわば時間軸の異なる対策を、両者のバランスに配意しながら進めていく必要があり、現在及び将来の警察幹部が、将来を見据えた施策の必要性について認識を共有し、息の長い取組として進めていく必要があるほか、施策によっては、関係機関・団体、自治体等のほか、国民の皆様に御理解、御支援をいただく必要があり、慎重な検討を要するものもあると認識いたしておりますが、警察が将来にわたって様々な治安課題に対して的確に対処することができる組織で在り続けるためには、このような検討は、避けては通れない、必要不可欠なものであると認識しており、粘り強く、丁寧に進めていく必要があると思っております。
今後は、この指針を、いわば「警察組織の構造改革の処方箋」といたしまして、警察庁及び都道府県警察が緊密に連携し、一つ一つ着実に取り組んでまいりたいと考えております。