国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 令和8年9月3日(木)10:51~10:58

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。案件については、運転技能検査の見直しに関する有識者検討会の報告書等についてなどがございました。以上です。

 

問  大臣にお伺いいたします。運転技能検査の見直しに関する有識者検討会の報告書が取りまとめられました。報告書の概要と、これを踏まえた警察の今後の対応について、大臣のお考えをお聞かせください。

答 (大臣)まず概要でございますが、運転技能検査というものは、高齢運転者による痛ましい交通事故の発生等を受けて、加齢に伴う身体機能の低下等によって、安全運転が期待できないほどに運転技能が低下した高齢運転者への対策として、令和4年5月から導入された制度でございます。75歳以上の高齢運転者のうち、一定の違反歴を有する者を対象に、免許更新時に実車により検査を行い、さらに、これに合格しなければ、運転免許証が更新されないこととなるものでございます。
 警察庁において実施した運転技能検査の合格者についての追跡調査の結果、運転技能検査合格者10万人当たりの交通事故件数は、検査対象でない75歳以上の高齢運転者の交通事故件数の約2.8倍となっております。運転技能検査合格者が起こした交通事故における法令違反では、安全不確認が多いことなどが明らかになったこと、こうしたことを踏まえて、警察庁では、本年7月から8月にかけて、学識経験者等を構成員とする有識者検討会を3回開催いたしました。運転技能検査の内容の充実に係る方向性等について幅広い観点から議論を行っていただいたものと承知しております。
 有識者検討会が今般とりまとめた報告書では、運転技能検査の内容や実施方法に関して、まず、アクセル・ブレーキのペダル操作の正確性を確認するため、運転技能検査の課題に「方向変換」を追加すべきである、また、運転技能検査の減点項目に「安全不確認」を追加すべきである、さらには、運転技能検査の減点項目とされております「一時不停止」のうち、危険性が高いものの減点点数を引き上げるべきであるといった方向性が示されたものと承知しております。
 近年、交通死亡事故件数全体に占める高齢運転者による死亡事故件数の割合は増加傾向にあります。高齢運転者による交通事故防止対策の強化は急務であることから、本報告書を踏まえて、速やかに道路交通法施行規則の改正等を行い、運転技能検査の充実を図るよう、警察庁を指導してまいりたいと考えております。

問  長官にお尋ねします。匿名・流動型犯罪グループ等の端末から通信内容を把握して、被害防止につなげるといった新たな手法について、このほど有識者検討会の提言骨子が昨日公表されたところです。憲法の権利等にも配慮しながら、令状に基づいて実施すべきだという内容ですけれども、今回の提言骨子の概要、それから、これは非常に適正・慎重な運用が求められる措置かと思いますが、今後、警察としてどのように対応していくのか、お考えをお願いします。

答 (長官)「匿名・流動型犯罪グループによる犯罪被害対策のための技術的措置に関する有識者検討会」におきましては、8月10日の設置以降、精力的に御議論が進められ、昨日9月2日の第3回会議で、提言の骨子が取りまとめられたところであります。
 この提言の骨子では、匿名・流動型犯罪グループによる犯罪被害は、正に異常事態と呼ぶべき深刻な情勢となっている一方で、犯罪捜査により実行犯を検挙しても、上位の指示役や次の犯行の標的を速やかに特定することは困難であり、新たな実行犯が補充されて犯行が継続されるという現状に鑑み、今後の対策の在り方として、従前の刑事手続だけでなく、犯罪者グループの端末から、犯罪に悪用される通信アプリ等の通信内容等を迅速に把握し、被害防止に活用する手法、すなわち「遠隔解析」を導入することが必要であるといった基本的な認識が示された上で、通信の秘密やプライバシーの保護、適正手続の観点から、新たな制度の在り方として、警察官職務執行法において、被害の発生・拡大を防止すべき警察の責務や、遠隔解析の制度について定めること、遠隔解析には厳格な要件を定めつつ、事前に裁判所の許可状の取得を義務付けること、遠隔解析の実施者は、専門的な知識・能力を持つ警察官として、警察庁長官が指名する者に限ること、不要な情報の消去や、事後通知等の手続を設けること、遠隔解析の実施後、公安委員会に報告し、監督を受けることなどの方向性が示されたところであります。
 匿名・流動型犯罪グループは、秘匿性の高い通信アプリにより、非対面かつ匿名で実行犯の募集や犯行の指示等を行っており、警察では、これまでも「仮装身分捜査」等、新たな捜査手法の導入を行ってきたところでありますが、特殊詐欺の被害額は、過去最悪であった令和7年から、本年に入っても増加傾向で推移するなど、被害の拡大に歯止めが掛かっておらず、極めて危機的な状況にあります。このような状況を踏まえまして、警察といたしましては、日々、トクリュウによる犯罪の脅威にさらされている国民の皆様の被害を防止するとの観点から、新たな法制度、新たな手法の導入が不可欠であると認識いたしております。
 警察庁といたしましては、引き続き、有識者検討会におきまして具体的な制度の在り方等について御議論いただき、最終的な提言をとりまとめていただくことといたしております。その内容を踏まえながら、新たな法制度の導入に向けた検討を加速し、治安対策上の最重要課題であるトクリュウ対策を一層強化してまいりたいと考えております。