定例委員会の開催状況

第1   平成2024日(木)

午前1000分 午前11時45分

第2 出席者 泉委員長、佐藤、吉田、葛西、長谷川、田尾各委員

長官、次長、生活安全局長、交通局長、警備局長、情報通信局長

総括審議官、長官官房審議官(刑事局担当)

第3 議事の概要

1 議題事項

(1)警察捜査における取調べ適正化指針(案)について

長官官房審議官(刑事局担当)から、「警察捜査における取調べ適正化指針(案)」について説明があり、次のような議論を行った後、同指針案について原案どおり了承した。

葛西委員より、「本指針の施策を行うことによって取調べがやりにくくなるという結果にはならないか」旨、質問し、長官官房審議官(刑事局担当)から、「取調べの機能を維持しつつ、問題点を除去していくようにしようとするものである」旨の説明があり、同委員より、「語感の問題だが、不適正の是正という感じの『適正化』よりも『厳正化』という用語の方が前向きな感じでよいのではないか」旨、質問し、長官から、「今回の指針は、昨年11月1日の国家公安委員会決定『警察捜査における取調べの適正化について』を受けて適正化指針としたものである」旨、長官官房審議官(刑事局担当)から、「従来から取調べの適正な実施についてはきちんと指導し、それにそって行われてきたが、その中で志布志事件や富山事件といった問題事例が発生したということを率直に受け止め、改善していくものである」旨、それぞれ説明があった。

委員長より、「国家公安委員会から警察庁に対して指示した投げかけに対する答えということであれば『適正化』ということで、内容については厳正にやってもらうという理解でよいのではないか」旨、発言があり、了承された。

佐藤委員より、「指針にある施策は、逐次、迅速に実施することが重要である」旨、発言した。

吉田委員より、「大切なのは指針に実効性をもたせることである。今後も無罪判決が相次ぐようでは困る。できることは何でもやっていくことが重要であると思う」旨、発言した。

葛西委員より、「実績を上げて、犯罪捜査の効果を上げるということが、最も国民の信頼を高めることになる。むしろ、そこに重点を置くことが大切であると思う」旨、発言した。

委員長より、「指針については、前回と今回の定例会議において、取調べに関する監督を行う仕組みがあること自体が不適正行為の抑止になると認められるが、監督担当者と捜査担当者間で適切な緊張関係を保持できるようその趣旨を徹底すること、適正な取調べの実現に向け効果的な教養を行うこと、取調べに対する苦情について確実な報告や記録等が図られるようにすることなどが確認された。また、指針策定に併せて、捜査幹部に対する捜査指揮に関する教養等を徹底していくこと、さらに、取調べの問題以前のそもそもの問題であるが、客観的な証拠収集等を徹底していくこと等について意見があった。これらを踏まえ、本指針については了承することとするが、警察庁としては、是非、これらの議論をもしっかり受け止め、対処していただきたい。また、改めて申し上げるまでもなく、現場が萎縮しないようにすることも当然である。今後、類似の事案が出てくることがないように、現場にきちんと趣旨を説明し、徹底するようにしてほしい」旨、発言した。

(2)犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令案等について

長官官房審議官(刑事局担当)から、犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部の規定が施行されることに伴う犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令案等の下位法令の整備等について説明があり、原案どおり決定した。

(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、一部修正の上、その内容を了承した。

2 報告事項

(1)国会の状況について

総括審議官から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)監察の取扱い事案について

首席監察官から、神奈川県警察本部の前警備部警備課長である警視による霊感商法容疑団体への関与事案について、これまでの調査状況等の報告があった。

吉田委員及び葛西委員より、「検討の基本的な方向性はよいと思う。今後、厳正に調査を進めて報告をしていただきたい」旨の発言があった。

(3)「インターネット上の安全確保に関する世論調査」の調査結果について

生活安全局長から、警察庁の要望により内閣府が実施した世論調査の結果に関し、「インターネット利用者の半数がインターネット利用に不安を感じている実態、児童が出会い系サイトで被害に遭わないための対策に関する認識、フィルタリングやインターネット・ホットラインセンターが必ずしも十分認知されていない実態、警察に対する国民の要望が明らかになった」旨の報告があった。

葛西委員より、「アンケート調査の結果は、実態や施策に対する国民の認識度を掌握し、推進すべき施策の必要性や施策の進ちょく度合いの尺度として使うべきものであり、行政が自らの行う施策の指針を示すものとして受け止めてはならない。警察に対する要望のうち、予防に関するものが多いという調査結果から、取締りが重要でないという結論を導くべきではない。インターネット犯罪に対する取締は強化するという方向で考えるべきである」旨、発言し、生活安全局長から、「体制強化等取締りの強化は当然必要だと考えている。ただ、インターネットをめぐる犯罪は膨大にあり、ある程度数を減らさないと取締りが追いつかない。そのような観点から、関係業界・団体にできることは何でもやってもらいたいと思う」旨の説明があった。

(4)平成19年における通信傍受に関する国会への報告について

長官官房審議官(刑事局長担当)から、「通信傍受法第29条の規定に基づき、平成19年中の通信傍受の実施状況について国会に報告することとしたい」旨の報告があった。

(5)平成19年中の捜査本部設置事件の捜査状況について

長官官房審議官(刑事局担当)から、「平成19年中の捜査本部設置事件の捜査状況は、設置件数101件、解決件数94件で、前年に比べ、設置件数は6件、解決件数は5件、それぞれ増加した。解決率は93.1%で、前年に比べ、0.6ポイント低下した」旨の報告があった。

吉田委員より、「捜査特別報奨金の懸賞広告によって事件解決に結びついた事件はあるか」旨、質問し、長官官房審議官(刑事局担当)から、「現在までのところ、残念ながら、公的懸賞金によって検挙・解決に至った事件はないが、懸賞広告により、全国から多くの情報が提供されるようになっており、今後、成果が期待される」旨の説明があった。

(6)平成19年中における死体取扱状況について

長官官房審議官(刑事局担当)から、平成19年中の死体取扱数は15万4,579体で、前年に比べ、3.6%増加したことなど平成19年中における死体取扱数、死体解剖数等について報告があった。

(7)第13回アジア・太平洋薬物取締会議(ADEC-13)の開催について

長官官房審議官(刑事局担当)から、「1月29日から2月1日までの間、東京都内において、29か国、2地域、2国際機関から約120名の参加を得て、第13回アジア・太平洋薬物取締会議を開催する」旨の報告があった。

(8)皇太子同妃両殿下の第63回国民体育大会冬季大会御臨場等(長野県)に伴う警衛警備について

警備局長から、「皇太子同妃両殿下は、1月25日から26日までの間、第63回国民体育大会冬季大会御臨場等のため、長野県へ行啓になる。本行啓に関し、関係警察で警衛警備を実施する」旨の報告があった。

(9)福田総理大臣のダボス会議出席等に伴う警護警備について

警備局長から、「福田総理大臣は、1月25日から27日までの間、ダボス会議出席等のため、スイスを訪問する予定である。本訪問に伴い、警視庁では、警護警備を実施することとしている」旨の報告があった。

吉田委員より、「ダボス会議は反グローバリズム団体の攻撃対象になっているのではないか。幹部警察官を同行させれば、日本でのサミット警備の参考になるのではないか」旨、質問し、警備局長から、「従来、ダボス会議では、粛々としたデモは行われているが、過激な反グローバリズム団体の対象とはなっていないようである。他の国際会議などで、反グローバリズム団体が過激な行動をとるような情勢があるときには参考にするようにしている」旨の説明があった。

3 その他

(1)長官官房審議官(刑事局担当)から、栃木県警察の機動捜査隊員が、1月14日、コンビニのトイレ内にけん銃等を置き忘れた事案に関し、ポーチ、ショルダー等私服捜査員のけん銃携帯用装備品の全国における配分・使用状況等について報告があった。

葛西委員より、「けん銃の置き忘れは、厳正な規律の問題であり、装備品によって防ぐ話ではない。いろいろな状況に応じて、いろいろな装備品があってよい。絶対忘れてはいけないものを忘れるという心がけの問題である」旨、発言があった。

(2)交通局長から、平成18年8月25日に福岡県において発生した幼児3人死亡事故の控訴について報告があった。