定例委員会の開催状況

第1 日 時 平成20年27(木)

午前10時00分 午前11時45

第2 出席者 佐藤、吉田、葛西、長谷川、田尾各委員

長官、次長、官房長、警備局長、情報通信局長

長官官房審議官(刑事局担当)、長官官房審議官(交通局担当)、

首席監察官、生活安全企画課長、情報公開・個人情報保護室長

第3  議事の概要

  議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「4月17日付けを始めとする地方警務官3名の人事案件について発令していただきたい」旨及び「4月15日付け暴力団対策法審査専門委員11名の任命について発令していただきたい」旨の説明があり、原案どおり決定した。

(2)平成20年度における留置施設の巡察に係る実施要領等について

官房長から、平成20年度における留置施設の巡察に係る実施要領等について説明があり、原案どおり決定した。

(3)警察庁旅費取扱規則の一部を改正する内閣府令案について

官房長から、一般職の職員の給与に関する法律の一部の改正により専門スタッフ職俸給表が新設されたことに伴う警察庁旅費取扱規則の一部を改正する内閣府令案について説明があり、原案どおり決定した。

(4)被疑者取調べ適正化のための監督に関する規則案について

長官官房審議官(刑事局担当)から、警察捜査における取調べ適正化指針を実施するため、被疑者取調べの監督に関し必要な事項を定める「被疑者取調べ適正化のための監督に関する規則」の制定について説明があり、次のような議論を行った後、原案どおり決定した。

田尾委員より、「本規則案第10条第2項に、『取調べ調査官は、・・・・・・警察署長等に対し、・・・・・・警察職員を出頭させ、説明をさせるよう求めることができる。』とあるが、『出頭』という用語には違和感がある。行政組織内部の調査であり、『説明をさせる』とすれば足りるのではないか」旨、葛西委員より、「監督対象行為に厳しい姿勢で臨むということを部外に示したいがためにあえて強い言葉を用いているのではないか。印象で用語を選択するというのでは、一種のポピュリズムではないか」旨、佐藤委員より、「法律の条文であれば、『説明させ』で読めることを重ねて書くということはないのが普通であろうが、国家公安委員会規則の性格上、警察組織の異なる部門にわたる事務が円滑に行われるよう手続きを明確にするためにわざわざ詳しく書いてあるということか」と質問し、長官官房審議官(刑事局担当)から、「取調べ調査官は、捜査部門と指揮命令系統が異なる管理部門の者であり、また、警察本部の取調べ監督業務担当課に属する者が警察署長の指揮下にいる警察職員を呼び出すことにもなるので、取調べ調査官の調査権限という形で明確かつ詳細に規定する必要があると考えたものである」旨、官房長から、「『出頭』という言葉に特段の意味を込めたわけではない。警察署長等が指揮下の職員を出頭させるという言い方は、現場として違和感のない当然のことだが、第三者的な立場にある取調べ調査官によるチェックの在り方を明確に示すという観点から、詳細に規定したものである」旨、説明があった。

佐藤委員より、「本規則案第12条に『警察庁長官は、国家公安委員会の定めるところにより、・・・・・・必要な指導を行わせることができる』との規定があるが、『国家公安委員会の定め』としてどのようなものを想定しているのか」と質問し、長官官房審議官(刑事局担当)から、「警察庁が行う指導等について、その実施要領等をご決定いただくといった趣旨である」旨、説明があった。

これに関連し、田尾委員より、「取調べ適正化指針に掲げられた施策については、できるものから順次実施していくということであろうが、今回の規則のほか、今後どのようなスケジュールで進めるのか」旨、質問し、長官官房審議官(刑事局担当)から、「本日の報告事項で説明する自民党や公明党の取りまとめた中間提言等も踏まえ、犯罪捜査規範の改正等の準備を進めている」旨の説明があった。

(5)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、一部修正の上、その内容を了承した。

  報告事項

(1)警察庁長官に対する開示請求の状況等について(行政機関情報公開法関係)

情報公開・個人情報保護室長から、3月21日までの間に警察庁長官に対してなされた行政文書の開示請求の状況及び異議申立てに対する決定について報告があった。

(2)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(3)監察の取扱い事案について

首席監察官から、警視庁の警部補が、マッサージ店経営者に無料でマッサージを強要するなどして、3月7日に通常逮捕された事案等に関し、警視庁は、3月28日、同警部補を懲戒免職処分とするとともに、監督責任として、上司3名を警務部長訓戒等の措置とする予定である旨、愛知県警察の警部補が、平成19年8月、知人と共謀の上、女性から現金を騙し取ったとして、3月11日に通常逮捕された事案等に関し、同県警察は、3月31日、同警部補を懲戒免職処分とするとともに、監督責任として、上司2名を本部長注意等の措置とする予定である旨及び和歌山県警察の警部補が、3月4日、酒気帯び運転をして物損交通事故を起こした事案に関し、同県警察は、3月21日、同警部補を懲戒免職処分とした旨の報告があった。

(4)平成20年度地域安全安心ステーション推進事業実施地区の選定等について

生活安全企画課長から、地域安全安心ステーション推進事業実施地区を新たに169地区選定し、既に選定した地区と併せて、平成20年度は計600地区において事業を実施すること、地域安全安心ステーション推進事業に関するアンケート調査結果をとりまとめたこと等の報告があった。

(5)銃砲に関する地域住民の不安にこたえるための施策等の推進について

生活安全企画課長から、銃砲行政に関する国民の不安にこたえ、その信頼を回復するため、各都道府県警察に対し、猟銃用火薬類等の厳格な監督取締り及びインターネット等を利用した猟銃等の通信販売を行う事業者等に対する指導の強化を指示する予定である旨の報告があった。

(6)平成19年度総合セキュリティ対策会議報告書について

生活安全企画課長から、総合セキュリティ対策会議では、平成19年度、Winny等ファイル共有ソフトを用いた著作権侵害問題とその対応策について検討を行い、議論の結果を報告書として取りまとめた旨の報告があった。

(7)自由民主党「新時代の捜査のあり方プロジェクトチーム」における取調べに関する中間提言等について

長官官房審議官(刑事局担当)から、自由民主党が取りまとめた「真に信頼される捜査の確立に向けて-取調べに関する中間提言 -」及び公明党が取りまとめた「あるべき取調べの適正化についての提言」の内容等について説明の上、警察庁としても、これらの提言を重く受け止め真摯に検討しており、検察庁が本年3月に公表した取調べの一部の録音・録画は任意性等を判断するために有効な手段になり得るものと評価する等の検証結果をも踏まえ、裁判員裁判への対応をより確実に行っていく観点から、一層効果的・効率的に自白の任意性を立証する方策を検討するため、平成20年度中に取調べの一部録音・録画を試行することを検討しており、近く、国家公安委員会にお諮りしたい旨の報告があった。

(8)土浦市荒川沖東地内JR常磐線荒川沖駅改札付近における殺傷事件について(茨城県警察)

長官官房審議官(刑事局担当)から、3月23日に発生した刃物使用殺傷事件に関し、事案概要、捜査経過、警察庁の対応等について報告があった。

吉田委員より、「今回の事件については、いろいろと批判も出ているが、茨城県警察に対して捜査体制や捜査方法等について検証を指示したということなので、その結果を待つこととし、ここでは別の観点から意見を述べたい。今回の事件に加え、岡山駅で少年が男性を線路に突き落として死亡させた事案など、最近、『人を殺したかったので殺した』といった動機不明で、一見通常の人間としか思えない人による凶悪事件が続いている。この種の事件では、公判段階で心神喪失や心神耗弱が認定され、刑が減刑又は免除されるというものも少なくない。一般市民の立場からみれば、これほど恐ろしいことはないと思う。警察としてはどのような対応が考えられるか」旨、質問し、長官から、「委員ご指摘のような事案については、大阪府の池田小学校における殺人事件後、『心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律』が制定され、これに基づいて、裁判官と精神科の医師の合議による審判によって処遇が決定される制度ができている。一般論として言えば、事後的な手続きとして、病状の改善やこれに伴う同様の行為の再発防止を図るための仕組みは手当てされている。警察業務と直接の関わりがあるものではなく、警察捜査の段階で充実した被疑者の取調べを行うことが、場合によっては、この法律による処遇の決定に資することもあるというのがせいぜいではないかと思う」旨、説明があった。

(9)第51回国連麻薬委員会の開催結果について

長官官房審議官(刑事局担当)から、3月10日から14日までの間、ウィーンにおいて開催された第51回国連麻薬委員会の結果の概要について報告があった。

3 その他

(1)官房長から、国家公務員制度改革に関し、国家公務員制度改革基本法案の検討状況等について報告があった。

佐藤委員より、「この件に関しては、国家公安委員会としてももう少し勉強し、議論を深めたいので、後日、改めて説明してほしい」旨、発言した。