定例委員会の開催状況

第1   平成20年日(木)

午前10時00分 午前125

第2 出席者 林委員長、佐藤、吉田、葛西、長谷川、田尾各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、警備局長、

情報通信局長

情報公開・個人情報保護室長

第3  議事の概要

  議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「9月11日付けを始めとする地方警務官等24名の人事案件について発令していただきたい」旨の説明があり、原案どおり決定した。

(2)犯罪被害者等給付金の裁定に対する審査請求事案の審理状況及び裁決について

官房長から、福岡県公安委員会が行った犯罪被害者給付金の裁定(2件)について、それぞれの審査請求人から平成19年9月22日付け及び平成19年12月21日付けで国家公安委員会に対して行われた審査請求に関し、審理の状況について報告があり、いずれの審査請求も棄却する裁決を行った。

(3)「銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案(仮称)」の概要等について

生活安全局長から、「銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案(仮称)」の概要等について説明があり、地方自治法第263条の3第5項の規定に基づき、全国知事会等に対して通知することについて了承した。

(4)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、一部修正の上、その内容を了承した。

 2  報告事項

(1)警察庁長官に対する開示請求の状況等について(行政機関情報公開法関係)

情報公開・個人情報保護室長から、8月29日までの間に警察庁長官に対してなされた行政文書の開示請求の状況及び開示請求に対する決定について報告があった。

(2)栃木県鹿沼市内における車両水没事案に関する対応状況等について

生活安全局長から、8月16日、栃木県鹿沼市内において大雨のため車両が水没し、車両内の女性が死亡した事案に関し、事案の概要、問題点、再発防止策等について報告があった。

吉田委員より、「人間がやることである以上ミスを犯す可能性があるのだから、110番を受ける通信指令室に、通報の発信場所が自動的に分かるシステムが必要ではないのか」旨、質問し、生活安全局長から、「最近は、携帯電話からの通報が多く、場所の特定が難しくなっていることから、各都道府県警察では、携帯電話の持つ位置情報を通知するシステムを整備中である。栃木県警察は既にこのシステムを導入していたが、通報受理担当者が、思い込みから、すでに通報を受けていた類似の現場における事案と同一であると誤認したため、このシステムを活用しなかった」旨の説明があった。

(3)平成20年上半期における主な生活経済事犯の検挙状況について

平成20年上半期における主な生活経済事犯の検挙状況について、資料の配付をもって報告があった。

(4)取調べ適正化施策推進室第4回会議の開催結果について

刑事局長から、8月28日に開催した取調べ適正化施策推進室第4回会議の結果について報告があった。

(5)諸外国における刑事司法制度等に係る調査・研究について

刑事局長から、裁判員裁判の施行等刑事司法制度が大きく変革しつつある中で、海外の大学、研究機関への派遣等を行うことにより、諸外国における刑事司法制度等について、より広く、きめ細かい調査・研究を行うこととする旨の報告があった。

佐藤委員より、「説明にもあったように、刑事司法制度が大きく変わろうとしている時期であり、この時期に行う調査は大きな意味があると思う。国家公安委員会としても関心を持っているので、総合的な調査をしっかりと行ってほしい」旨、発言し、葛西委員より、「私も同じ意見であるが、やり方の工夫も必要であると思う。3年間という期限を設けて調査・研究を行うという説明であったが、3年間何もフィードバックを取らないと、往々にして最初の1、2年間は進捗が緩やかになる可能性がある。そこで、例えば、3年間を3つのフェーズに分け、人事もすぐに替えるわけにはいかないであろうから、最初の1年は現在駐在や留学している者により重点的に調査を進めるべき点を精査させるなどして、それを報告させて問題を絞り、2年目には、人事配置等により優秀な人材を充てて体制を更に強化しつつ、調査・研究を行って2回目の報告をさせ、3年目に最終的な取りまとめをするというように、フェーズを分けて、その都度フィードバックさせ、各年ごとにポイントを絞るのがよいと思う。また、調査・研究の対象国については、限られた人材と時間で実施する以上、あまり広げずに、まずは、英、米、独、仏の4か国を徹底的に調査することに重点を置き、それ以外の国でアタッシェがいるような国には、4か国についての調査との関係で参照すべき事項を調査すればよいのではないか。調査・研究のために、予算措置を講ずることは時間も手間もかかるので、毎年出している海外留学生をアタッシェの調査の補助として活用するなど、既存の制度を活用することが大切だと思う」旨、発言し、刑事局長から、「御指摘も踏まえて工夫したい。調査・研究対象国については、委員の御指摘のとおり、英、米、独、仏が中心であると認識しているが、4か国以外にもアタッシェ等で優秀な人材が派遣されているので、かなりのことができるのではないかと考えている」旨の説明があった。

吉田委員より、「この種の研究は国内でもあまり行われていないようなので、権威ある書物として残るような研究をしてほしい。充実した、本格的な調査・研究を期待している。フェーズに分けるという葛西委員の意見には賛成であり、最初は、4か国を幹として調査・研究し、足りない枝葉の部分は、後日の調査・研究で付け加えていけばよいのではないか」旨、発言した。

長谷川委員より、「調査・研究の対象国について、予算的な制約の中でどれかを選択しなければいけないのはそのとおりであるが、調査結果のまとめ方として、パターン化した説明をしてほしいとかねてからお願いしている。刑事司法制度・捜査手法としてどのようなものが行われている国がどのような取調べの可視化を行っているか、捜査手法と可視化と裁判の在り方という要素の組合せに、ある種のパターンがあるのかどうか客観的にデータとして見えるようなまとめ方をしてほしい。英、米、独、仏を個別に深く知るということももちろんだが、全体像の抽出のための一定のサンプルサイズはほしい」旨、発言し、刑事局長から、「学問的な検証に耐えるような多くの国を対象としたパターン化は困難であるように思う。ただし、国内の比較法の研究機関と連携するなどしてある程度の全体像はつかみたい」旨の説明があった。佐藤委員より、「長谷川委員の言われるパターンについては、当面優先的に実施する4か国の調査でもある程度出てくるのではないかと思う」旨、発言し、刑事局長から、「世上、通信傍受といった諸外国で広く認められている捜査手法がないから我が国では可視化が困難だという意見もあるようだが、必ずしもそれだけでなく、現在の刑事司法の中で取調べは現に重要な位置を占めており、その機能が損なわれれば刑事司法自体に支障を生じるということを申し上げている。今回の調査は、諸外国の捜査手法のみならず、起訴に対する国民の考え方等捜査を取り巻く背景事情についても、可能な限り調査したいと考えている」旨の説明があった。

長官から、「まずは調査・研究に着手してみて、今の議論も参考にしながら、具体的なやり方はお任せいただいて、成果が上がるようにしたい」旨の説明があった。

(6)「高齢運転者の支援に関する検討委員会」の開催について

交通局長から、高齢運転者の安全対策を更に充実させるため、今後必要とされる高齢運転者の支援に関する施策を検討することを目的として、部外有識者からなる検討委員会を開催することとし、9月8日に第1回検討委員会を開催する旨の報告があった。

長官から、「高齢運転者については、安全対策上、運転に抑制的な施策も多いが、同時に自動車利用の必要性や支援策にも十分配慮すべきであり、そのような視点からの提言を期待している」旨の説明があった。

(7台湾免許保有者に対する確認の一部免除等について

交通局長から、台湾免許保有者が我が国の運転免許を取得する場合には、他の確認特例国等と同様に運転知識及び運転実技の確認を免除することとし、10月1日から運用開始する予定である旨の報告があった。

(8)天皇皇后両陛下の第28回全国豊かな海づくり大会御臨席等(新潟県)に伴う警衛警備について

警備局長から、天皇皇后両陛下は、9月6日から9日までの間、「第28回全国豊かな海づくり大会」御臨席等のため、新潟県へ行幸啓になる予定であり、これに伴い、所要の警衛警備を実施する旨の報告があった。

(9)アフガニスタンにおける邦人誘拐・殺人事件について

警備局長から、8月26日にアフガニスタンにおいて誘拐され、殺害された邦人誘拐・殺人事件の事案概要、捜査状況について報告があった。

3 その他

(1)刑事局長から、千葉県警察において、試行として、取調べの一部録音・録画を実施した旨の報告があった。

(2)交通局長から、自動車安全運転センター評議員任命の認可について報告があった。

(3)田尾委員より、「大相撲の力士の簡易検査で、尿から大麻の陽性反応が出た旨の報道がなされているが、大麻取締法では自己使用が罰せられず、世間の大麻に対する感覚と法律が乖離しているという感じがしている。薬物の使用を規制していないのは大麻だけと思うが、このことが大麻取締法の趣旨、目的を曖昧にしているのではないか。使用罪がないために、捜査側としてもしっかり見通しを立ててタイミングよく捜査に着手しなければならず、所期の結果が出ない場合には、かえって警察の捜査が当否を問われかねない。そういう意味では、法律の整備も検討すべきではないか」旨、発言し、刑事局長から、「戦後、いわゆるポツダム省令のころには使用が禁止されていた時期もあったようだが、現在は使用について禁止規定がない。今回のような事態を受け、大麻の使用を禁止しなくてよいのかという議論は出てき得ると思う」旨の説明があった。