定例委員会の開催状況

第1   平成20年10日(木)

午前10時00分 午前110

第2 出席者 佐藤委員長、吉田、葛西、長谷川、田尾各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、警備局長、情報通信局長

首席監察官

第3  議事の概要

  議題事項

(1)インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律施行規則の一部を改正する規則案について

生活安全局長から、インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律の一部を改正する法律の施行等に伴い所要の規定の整備を行う「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律施行規則の一部を改正する規則案」及び同案に対する意見公募手続の実施結果の公示等について説明があり、原案どおり決定した。

(2)携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律の一部を改正する法律の施行期日を定める政令案について

刑事局長から、6月18日に公布された「携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律の一部を改正する法律」の施行期日を平成20年12月1日とする政令案の閣議請議について説明があり、原案どおり決定した。

(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 2  報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)平成21年度警察庁Ⅰ種及びⅡ種採用候補者の採用内定について

官房長から、平成21年4月1日採用候補者の状況について報告があった。

吉田委員より、「公務員制度改革が進行中であり、他方、近年外資系企業の人気が高いとも聞く。もっとも、最近の金融不安を見るとこうした状況に変化もあろうが、他省庁も含め、国家公務員Ⅰ種試験の全体の採用状況はどうか」旨、質問し、官房長から、「申込者数は全体としては減少しており、公務員人気が下がっているようにも見られるが、試験区分でみると『法律区分』はそれほど減っていない。学生の面接では、それほど外資系企業の人気が高いという印象はなかったが、ロースクールへの進学希望者が多いという感じはした。出身校別に見ると、当庁のほか、財務省や経済産業省等では従前同様だが、かなり変化が生じている省もあると聞いている」旨の説明があった。

葛西委員より、「ロースクール卒業者も採用対象になるのか」旨、質問し、長官から、「法学部の場合、多くの優秀な学生がロースクールに進んでいる状況にあり、ロースクール卒業者の中からも優秀な人材は採用したい。警察庁に採用後、人事院の行政官国内研究員の制度により司法研修所に行く仕組みもある」旨の説明があり、同委員から、「仕事ができるか否かの決定的な要因は、達成経験の有無にあると考えるが、挫折経験だけを抱えて仕事に就いても、その後の成長は期待できないように思う。ロースクールは、法曹になるための制度なのに司法試験に合格できないロースクール卒業者が多数生じているようである。このような人々をどう評価すべきか、民間企業でも判断が難しいところである」旨、発言した。

(3)市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)の対日審査について

官房長から、10月15日及び16日、ジュネーブの国連欧州本部において行われる市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)の対日審査について、審査の概要、対日審査の流れ等の報告があった。

(4)監察の取扱い事案について

首席監察官から、兵庫県警察の巡査が、保険会社からホールインワン費用保険金を騙し取ったとして9月19日に通常逮捕された事案等に関し、同県警察は、10月9日、同巡査を懲戒免職処分とするとともに、監督責任として、上司を本部長注意の措置とする予定である旨の報告があった。

(5)安全・安心なまちづくり関係功労者表彰等の実施について

生活安全局長から、10月11日の「安全・安心なまちづくりの日」の関連行事として、10月10日、内閣総理大臣官邸において、安全・安心なまちづくり関係功労者表彰を行うとともに、国民の防犯意識高揚のため、「安全・安心なまちづくりワークショップ」、「防犯ボランティアフォーラム2008」を開催する旨の報告があった。

(6)出会い系喫茶の現状等について

生活安全局長から、出会い系喫茶の現状、最近の取締り状況、青少年保護育成条例の改正動向等の報告があった。

(7)「第14回銃器犯罪根絶の集い・愛知大会」の開催について

刑事局長から、銃器犯罪の根絶と違法銃器の排除を広く国民に呼び掛けるため、10月14日、名古屋市において「第14回銃器犯罪根絶の集い・愛知大会」を開催する旨の報告があった。

(8)改正道路交通法の施行後の状況について

交通局長から、平成19年9月19日から施行された改正道路交通法の施行後1年の状況として、飲酒運転に係る交通事故の発生状況、検挙状況、救護義務違反に係る事故の発生状況等の報告があった。

(9)皇太子殿下の第8回全国障害者スポーツ大会御臨場等(大分県)に伴う警衛警備について

警備局長から、皇太子殿下は、10月10日から12日までの間、「第8回全国障害者スポーツ大会」御臨場等のため、大分県へ行啓になる予定であり、これに伴い、所要の警衛警備を実施する旨の報告があった。

3 その他

(1)官房長及び交通局長から、次期通常国会提出予定法律案件名要旨について報告があった。

(2)交通局長から、前回の定例会議において吉田委員より報告の要望があった首都高速5号池袋線におけるタンクローリー横転炎上事故に関し、事故発生状況、首都高速通行止めの状況、安全対策の強化状況、損害賠償の状況等について報告があった。

吉田委員より、「損害賠償の請求金額は相当高額になるのではないかと思う。事故を起こした運転者だけでなく、その属する運送会社についても多大な負担を生じるような恐ろしい事故だったということであり、関係業界の人々にとって大きな教訓となるのではないかと思う」旨、発言し、交通局長から、「本件事故を受けて各所管行政庁では関係業界に対し十分注意をするように通達を発出するなどしている。今までになかった大規模な事故であり、関係事業者も十分認識していると思う」旨の説明があった。

委員長より、「この事故に関しては、国会においても、復旧に要した費用などの直接損害にとどまらず、社会的、経済的損失についても、その額を試算するなどして関係者の注意を喚起すべきであるとの議論があったので、御紹介しておきたい」旨の発言があった。

(3)葛西委員より、警察官の増員に関して、「単に数を増やせばよいというものではなく、警察官の質の向上という意味で、練度を上げる、装備資機材を整備する、警察官が仕事をしやすくなるよう法整備をするなど、本来やるべきことがたくさんある。単に数を増やすというのは、あまりに安易で、分かりやすいといえばその通りだが、それでは一種のポピュリズムである。増員しても治安情勢がよくならないとなると、発想が安易な分、逆に、警察の責任を一方的に難じるという形で跳ね返ってくるのではないか」旨、発言し、官房長から、「御主張の問題意識は十分に理解できるが、欧米諸国と比較しても警察官の絶対数はまだ足りないので増員は必要である。委員御指摘のように、資質を高めるということも必要であり、第一線の警察の執行力の強化に努めており、また、予算の制約はあるが、装備資機材の充実についても努力している。法制上の問題としての職務権限の強化については、検討していく必要はあるが、時間が掛かる難しい問題である」旨の説明があった。葛西委員より、「難しい問題もあるであろうが、餅が膨らんだように、容積が大きくなっても中身は空気しか入っていないという状態になってしまうのでは困る。困難な課題にも正面から取り組んでほしい」旨、発言した。

(4)吉田委員より、「けん銃をめぐる国民の世論は確実に変化しているのではないか。警察官のけん銃使用については、使うべきときに使うのは当然であるというようになってきていると思う。他方、暴力団などの間で銃器が流通している状況において、その摘発のため通信を傍受する必要性についての理解も広がっているのではないか。新聞報道などをみると、警察は通信傍受に消極的になっているともとられかねない論評もあるが、どうなっているのか」旨、質問し、刑事局長から、「通信傍受について、一般論として言うと、薬物事犯のようにしょっちゅう大量に流通し、情報も多いようなものについては、有効に活用されている。他方、銃器事犯のようにブツが動くことが少ない犯罪では事情が異なるが、効率的、効果的な通信傍受の実施のため、実施方法について工夫していきたい」旨の説明があった。

(5)田尾委員より、検視体制の充実に関し、「昨年12月に開催された関係省庁による死因究明に関する検討会のその後の状況はどうか」旨、質問し、刑事局長から、「解剖医の不足に対し、警察庁では本年1月、日本法医学会に対して解剖医の体制充実について要望しており、また、日本法医学会は厚生労働大臣あてに東京都などにしかない監察医制度を全国すべての都道府県に広げるように要望している。内閣官房主催の検討会は、先月にも開催されているが、警察庁及び法務省の見解と医師の養成等に責任を持つ厚生労働省及び文部科学省の見解は必ずしも一致していない」旨の説明があった。

田尾委員より、「平成20年警察白書には、検視体制の強化として、資機材の整備も掲げている。千葉大の先生がCTを活用した死因究明を提唱しているが、整備する資機材にはCTも含まれるのか」旨、質問し、刑事局長から、「CTの活用は有用なものであると考えており、昨年度から予算を付けているが、CTを取り扱うには放射線技師の資格が必要であり、また、患者用のCTを遺体に用いることには抵抗感もあるなどの問題もある。今後は、CTと並行して資格が不要な超音波の活用も考えている」旨の説明があり、また、葛西委員より、「警察において専門家はいるのか」旨、質問し、刑事局長から、「警察本部には刑事経験が長く高度の研修を受けた検視の専門家である刑事調査官やその補助者が配置されているが、一線警察署には、このような専門家が配置されていないので、本部の刑事調査官等によるチェックを強化するという視点から増員の要求をしている」旨の説明があった。