定例委員会の開催状況

第1   平成20年1016日(木)

午前10時00分 午前105

第2 出席者 佐藤、吉田、葛西、長谷川、田尾各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、警備局長、情報通信局長

国家公安委員会会務官、情報公開・個人情報保護室長

第3  議事の概要

  議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「10月24日付けを始めとする地方警務官等14名の人事案件について発令していただきたい」旨の説明があり、原案どおり決定した。

(2)「銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案」について

生活安全局長から、所持の禁止の対象となる剣の範囲を拡大するとともに、銃砲刀剣類の所持許可の要件の厳格化、実包等の所持に関する規制の強化、銃砲刀剣類の所持者に対する監督の強化等の措置を講ずる「銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案」について説明があり、原案どおり決定した。

(3)犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部を改正する命令案について

刑事局長から、電子記録債権法等が施行されることに伴い所要の改正を行う「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部を改正する命令案」について説明があり、原案どおり決定した。

(4)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 2  報告事項

(1)警察庁長官に対する開示請求の状況等について(行政機関情報公開法関係)

情報公開・個人情報保護室長から、10月10日までの間に警察庁長官に対してなされた行政文書の開示請求の状況及び開示請求に対する決定について報告があった。

(2)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(3)全国殉職警察職員・警察協力殉難者慰霊祭の開催について

官房長から、10月30日、グランドアーク半蔵門において全国殉職警察職員・警察協力殉難者慰霊祭が開催される旨及び今回新たに合祀されるのは、殉職警察職員7柱、警察協力殉難者7柱である旨の報告があった。

(4)国家公安委員会委員の英国及びフランスへの出張結果について

国家公安委員会会務官から、佐藤国家公安委員会委員が、10月3日から12日までの間、英国及びフランスに出張し、資金情報機関(FIU)との意見交換等を行った旨の報告があった。

佐藤委員より、「英国は国際金融の中心であり、FIUの取扱件数も多く、また、組織犯罪対策としての情報の収集・処理の手法も進んでいるので、今後、英国FIUとの協力関係を深めていくことには意味があると思う」旨、発言した。

(5)子どもや女性を守るための匿名通報モデル事業の運用状況について

生活安全局長から、平成19年10月1日に運用が開始された子どもや女性を守るための匿名通報モデル事業の運用開始後1年間の状況について報告があった。

(6)中国産冷凍いんげんに対する薬物混入容疑事案の発生について

刑事局長から、東京都八王子市内及び千葉県柏市内において発生した中国産冷凍いんげんに対する薬物混入容疑事案の事案概要、捜査状況等について報告があった。

(7)「構造改革特区の第13次提案等に対する政府の対応方針」について

交通局長から、構造改革特区の第13次提案における要望を踏まえ、終末期の在宅患者の居宅に対する緊急の遠距離訪問診療に使用する自動車を緊急自動車の指定対象として追加することにつき、「構造改革特区の第13次提案等に対する政府の対応方針」の別表3「今後検討を進める規制改革事項」に盛り込むこととした旨の報告があった。

(8)創価学会徳島文化会館等に対する爆発物使用建造物損壊事件について

警備局長から、10月13日に徳島市において発生した創価学会徳島文化会館及び徳島県日中友好協会が入居する三木国際交流センタービルに対する爆発物使用建造物損壊事件について、事案の概要、捜査状況等について報告があった。

(9)平成20年度原子力総合防災訓練について

警備局長から、10月21日及び22日、福島県に所在する東京電力株式会社福島第一原子力発電所において、原子力災害対策特別措置法に基づいて原子力総合防災訓練が実施される予定であり、警察庁及び福島県警察もこれに参加し、情報収集訓練、警察広域緊急援助隊の派遣訓練等を実施する旨の報告があった。

佐藤委員より、「9月1日に実施された総合防災訓練の時には国家公安委員の緊急輸送訓練と臨時会議の開催訓練が行われた。今回、国家公安委員の参集訓練をする必要はないのか」旨、質問し、警備局長から、「9月1日の訓練は、警察として全国的規模での対応を必要とする事態を想定するものだが、今回の想定は、局所的な事態で警察の対応も交通規制、広報等限定的なものであるので、国家公安委員会の訓練は必要ないと考えられる」旨の説明があった。

3 その他

(1)刑事局長から、「振り込め詐欺撲滅のための取締活動及び予防活動の強化推進期間」の推進事項の一つとして昨日15日に実施した「ATM集中警戒日」の被害状況について報告があった。

吉田委員より、「集中警戒日のような大がかりな取組みは、今後も引き続き行っていくのか」旨、質問し、刑事局長から、「今回と同様の警察官の大量動員をしばしば行うことは困難であるが、金融機関には引き続きATM周辺での声掛け等の対策を継続してもらう。また、ATM周辺で携帯電話の使用を不可能にさせる措置なども進みつつある。ATM周辺の対策は即効性があるが、根本的な対策として、犯行の道具となっている匿名口座、匿名携帯電話等の供給の遮断や通話履歴の保存期間の延長など捜査の支障となっている問題の解消や振り込め詐欺事件の検挙の徹底等の諸対策も並行的に進めていきたい」旨の説明があった。

吉田委員より、「振り込め詐欺にも、オレオレ詐欺とか還付金詐欺などいろいろあるようだが、これらの被害の推移はどのようになっているのか」旨、質問し、刑事局長から、「今年の前半は、還付金詐欺も増え、オレオレ詐欺も再び増加傾向を示したが、対策を講じ始めてから全体としてかなり減少しており、特に還付金詐欺はかなり抑えられている」旨の説明があった。

次長から、「被害の実態をみると、振り込め詐欺の電話を受けてから2時間以内に約6割の者が振り込んでいる。親族を助けようとする気持ちでいっぱいになり、なかなか冷静な判断ができない。被害防止のための相談システムや具体的な広報が必要だと考えている。今回の強化期間の実施により、振り込め詐欺に対する国民の意識も相当喚起されていると思うが、強化期間後も諸対策を講じていきたい。先日、世田谷区内の無人ATMの警戒状況を視察したが、ボランティアの方々がビラを配るなど被害防止活動は盛り上がっていると思う。少し時間は掛かるかもしれないが、こうした啓発活動の成果が高齢者にも浸透していくことを期待している」旨の発言があり、吉田委員より、「被害者は善良な高齢者が少なくないと思われるが、警察の取組みだけでは、振り込め詐欺の被害防止はなかなか難しい。ボランティアの協力は不可欠で、官民一体で取り組んでほしい」旨、発言した。

佐藤委員より、「通話履歴の保存期間の延長はどうなったのか」旨、質問し、刑事局長から、「引き続き協議中である」旨、長官から、「民間事業者にとってはコストの問題もあるので、引き続き地道に取り組んでいく」旨の説明があった。葛西委員より、「企業にインセンティブが必要なのであろうか。駅などでの防犯カメラの設置は、今やごく普通に行われるようになった」旨、発言し、次長から、「先般、愛知県に出張し、名古屋銀行の取り組みについて伺ったが、同行では、独自に、不審な口座を発見するシステムを開発・運用しており、感心した。企業にとってコスト要因でもあるが、安全安心に貢献する企業という評価も得られるのであり、企業の社会的評価の向上にもつながるのではないかと考える」旨の説明があった。

長官から、「警察としては、被害を防止するための啓発活動を行っているが、オレオレ詐欺とか還付金詐欺などの用語は犯行手口に着目したものであり、犯人側もいろいろと手口を変えているので、『○○という電話が掛かってきたら要注意』という風には単純化できない。その結果、なかなか被害者層、特に高齢者の方々に浸透しない。一つの思いつきであるが、例えば、突然、自分の身内等を名乗って、いろいろな理由でお金が要るという電話が掛かってきたら、何も言わずに一旦電話を切るように被害者層に働きかけてはどうかと思う。電話を切ることにより、冷静になって考えたり、身内や近所の人に相談したりする時間もできる。電話を切らずに話し続けていると結局だまされてしまって、その結果、ATM周辺で警戒している警察官や銀行員が制止しても、聞く耳を持たず振り込んでしまうことになる。お金に関する電話が掛かってきたら、一旦電話を切るということを、もっと分かりやすくPRしていく必要があるのではないかと思う」旨の発言があった。