定例委員会の開催状況

第1   平成220日(木)

午前10時00分 午後000

第2 出席者 佐藤、吉田、田尾各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、警備局長、情報通信局長

首席監察官

第3  議事の概要

  議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「8月31日付けを始めとする地方警務官等9名の人事案件について発令していただきたい」旨の説明があり、原案どおり決定した。

(2)監察の取扱い事案について

首席監察官から、埼玉県警察の警部が、部下職員による酒気帯び運転事案等について必要な捜査を行わなかった事案等に関し、同県警察は、国家公安委員会の了承が得られれば、8月21日、監督責任として、地方警務官の前浦和警察署長を本部長訓戒の措置とする予定である旨の説明があり、原案どおり了承した。

(3)「銃砲刀剣類所持等取締法施行令等の一部を改正する政令案」等について

生活安全局長から、銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律の施行に伴い、「銃砲刀剣類所持等取締法施行令等の一部を改正する政令案」に対する意見公募の実施状況並びに同政令案及び「銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令案」について説明があり、原案どおり決定した。

(4)刑事に関する共助に関する日本国と中華人民共和国香港特別行政区との間の協定に基づく公文交換及び中央当局の指定について

刑事局長から、刑事に関する共助に関する日本国と中華人民共和国香港特別行政区との間の協定は、8月25日に公文交換が行われ、9月24日に発効する予定であること、同協定第2条第1項の中央当局として国家公安委員会が国際捜査管理官を指定すること等について説明があり、原案どおり決定した。

吉田委員より、「刑事共助条約等は、相手国が多い方がいいのか。ASEANやEUと締結するという選択もあるが、どのように考えているのか」旨の質問があり、官房長から、「米国、韓国及び中国とは締結しており、EU、フィリピン、ブラジルなどとは交渉中である。ASEANは、EUと同じではないと考えられることから、個別に刑事共助条約を締結しなくてはならないと考えている」旨の説明が、佐藤委員より、「EUの場合は、域内は国境がないような状態で自由に移動が行われているが、ASEANはまだそのような状態ではない。また、域内の警察間の協力がどうなっているのかといった点もあることから、ASEANの場合は、個別に対応していくしかないのではないか」旨の発言があった。

また、吉田委員より、「刑事共助条約は、犯罪人引渡しと連動しているのか。ブラジルのように、憲法で自国民の引渡しを禁止している例もあり、刑事共助条約は締結するが、犯罪人引渡しは難しいということもあると思う」旨の発言があり、官房長から、「刑事共助条約と犯罪人引渡しは連動していない。犯罪人引渡し条約は、自国民の相手国への引渡しの問題等があり、現在は、米国及び韓国の二か国とのみ締結している」旨の説明が、刑事局長から、「韓国に対しては、日本が引渡しを要請することが多い」旨の説明があった。

(5)犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部を改正する命令案について

刑事局長から、国際電信送金において一般的に用いられるスイフトメッセージフォーマットの改訂にあわせて、犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則について所要の改正を行うものである旨の説明があり、原案どおり決定した。

(6)「道路交通法施行令の一部を改正する政令案」等について

交通局長から、道路交通法の一部を改正する法律の一部の施行等に伴い、7月3日から8月1日までの間に実施した「道路交通法施行令の一部を改正する政令案」に対する意見公募の実施結果及び同政令案等について説明があり、原案どおり決定した。

(7)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、一部修正の上、その内容を了承した。

  報告事項

(1)平成22年度警察庁予算概算要求・要望(案)の概要について

官房長から、平成22年度警察庁予算概算要求・要望(案)の概要について報告があった。

(2)監察の取扱い事案について

首席監察官から、1(2)で説明のあった、埼玉県警察の警部が、部下職員による酒気帯び運転事案等について必要な捜査を行わなかった事案等に関し、同県警察は、8月21日、同警部等を懲戒免職処分等とするとともに、監督責任として、当時の上司2名を所属長訓戒等の措置とする予定であること及び警視庁の巡査部長が収賄をしたとして8月10日に通常逮捕された事案の概要等について報告があった。

(3)平成21年上半期のサイバー犯罪の検挙状況等について

生活安全局長から、平成21年上半期のサイバー犯罪の検挙状況等について、資料の配付をもって報告があった。

(4)男女間のトラブルに起因する事案への的確な対応について

刑事局長から、7月以降に連続発生した男女間のトラブルに起因する凶悪事件への対応として、都道府県警察に組織的対応、積極的な事件化及び情報の共有等を指示した旨の報告があった。

吉田委員より、「この対応は、従来の警察にない素早さがあると思う。組織的対応、積極的な事件化、情報の共有といった3項目の指示は適切だと思うが、『積極的な事件化』の指示にある『事案の本質を見極め』であるが、どうやって本質を見極めるのか」旨の質問があり、刑事局長から、「届出者の意思のみにゆだねるのではなく、警察側でよく判断しなさいという趣旨である」旨の説明が、長官から、「事案の本質を見極めるというのは、全体を見るという意味がある。個々の場面を見ると、非常に平穏な感じを受けるが、全体が見れていないということがある。DVがあったり、よりを戻したりそういった中で最終的に事件が起きてしまう。こうしたことから、全体を見ないといけないというのが趣旨である。今後は、この種事案の現場での対応に都道府県間でばらつきがないように努力していくことが大事だと感じる」旨の説明があった。

佐藤委員より、「現場での対応に関しては、類似の先例を承知して対応できるかどうかで説得力も違ってくるのではないか。様々な事例を集めて、全国的に情報を共有するような仕組みを作ることが大事だと思う」旨の発言があり、長官から、「東京都にある相談センターでは、事案の全体を知っていて経験のある職員が、相談者に対して、的確に指導、支援を行っている」旨の説明が、生活安全局長から、「各県では様々な事案を取り扱っているが、相談を受けた職員が全ての事例を知っているとは限らない。警察で扱った事例を対応に当たる職員が共有するためのシステムや組織的な対応の在り方を考えていくことが必要ではないかと思う。相談を受けた職員が、事案対処のプロであるべきであり、そのプロの感覚に基づいてアドバイス、指導できるようにするのが理想だと思う」旨の説明があった。

(5)第45回衆議院議員総選挙の違反取締りについて

刑事局長から、第45回衆議院議員総選挙の違反取締りについて、検挙状況・警告状況等の報告があった。

(6)国の行政機関に対するアンケート調査結果について

刑事局長から、「このたび、国の行政機関を対象にアンケート調査を実施したところ、国の行政機関による不当要求対策が進みつつある一方、依然として、暴力団等が不当な介入等を行っている実態が明らかになった。警察としては、今後とも関係省庁等と緊密に連携して、積極的な暴力団排除条項の導入等、あらゆる分野からの暴力団排除を強化するよう働きかけていく」旨の報告があった。

(7)平成21年上半期の暴力団情勢について

刑事局長から、平成21年上半期の暴力団情勢について、資料の配付をもって報告があった。

(8)平成21年上半期の薬物・銃器情勢について

刑事局長から、「平成21年上半期の薬物情勢については、覚せい剤事犯の検挙人員はやや減少傾向であるが、大麻事犯の検挙人員が増加傾向で推移している。また、覚せい剤の密輸事犯の検挙や押収量が大幅に増加するなど、国内への流通前の押収に一定の成果が見られた。最近の芸能人による薬物事件に関しては、著名な芸能人によるこの種事犯は社会的影響が大きく、特に青少年に与える悪影響が懸念されるところであり、この機に芸能界において自発的な再発防止策の取組みがなされるように警察として促したい」旨の報告があった。

吉田委員より、「これまでも芸能人の薬物事件はあったが、今回ほど関心が集中したことはなかった。飲酒運転防止については、福岡県で飲酒運転により子供3人を死亡させた事故を端に発して、キャンペーンが始まったのと同様に、今回も薬物乱用防止キャンペーンのきっかけになるのではないか。積極的に取り組んだ方がいいと思う」旨の発言があった。

(9)平成21年上半期における来日外国人犯罪の検挙状況について

刑事局長から、平成21年上半期における来日外国人犯罪の検挙状況について、資料の配付をもって報告があった。

10)お盆時期における高速道路の渋滞状況等について

交通局長から、「お盆時期の高速道路においては、10キロメートル以上の渋滞発生回数が前年の約1.6倍、最大渋滞長が69キロメートルを記録するなど交通量が増加し、また、渋滞で停止中の車両に後続車両が追突し複数名が死傷する事故なども発生した。こうした中でも、一般道を含む全交通事故死者数は前年同期より減少している」旨の報告があった。

11)平成21年度警察庁総合防災訓練について

警備局長から、警察庁及び都道府県警察では、9月1日の「防災の日」を中心とした「防災週間」に、関係機関と連携の下、総合防災訓練を実施することとしている旨の報告があった。

12)全教「教育研究全国集会2009」をめぐる動向と警察措置について

警備局長から、8月21日から23日までの間、東京都千代田区内において開催される全教(全日本教職員組合)の「教育研究全国集会2009」に対して、右翼が会場周辺において各種抗議活動を行うおそれがあることから、所要の警戒警備を実施する旨の報告があった。

3 その他

(1)首席監察官から、警察庁が奈良県警察に対して行った随時監察の実施結果について報告があった。

(2)官房長から、人事院が8月11日に国会及び内閣に対して行った平成21年人事院勧告等の主な内容について報告があった。

(3)生活安全局長から、財団法人都市防犯研究センターの平成21年度末での解散に向けて、同財団の存続期間を平成22年3月31日までとするための定款変更認可申請に対して認可を行った旨の報告があった。

(4)交通局長から、自動車安全運転センター法の規定に基づき、評議員任命(再任)についての認可申請に対して認可を行った旨の報告があった。

(5)警備局長から、政府におけるサイバーテロ対策の概要について報告があった。

 佐藤委員より、「政府におけるサイバーテロ対策の体制は完成していると考えて良いのか。また、実際に発動されたことはあるのか」旨の質問があり、警備局長から、「政府における体制は一応整っている。また、これまでに発動されたことはない」旨の説明があった。