定例委員会の開催状況

第1   平成217日(木)

午前10時00分 午前1115

第2 出席者 中井委員長、佐藤、吉田、葛西、長谷川、田尾各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、

警備局長、情報通信局長

首席監察官

第3  議事の概要

  議題事項

(1)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、一部修正の上、その内容を了承した。

  報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)犯罪被害者等給付金不支給裁定取消請求事件の控訴審判決について

官房長から、兵庫県公安委員会による犯罪被害者等給付金不支給裁定について提起された取消請求訴訟について、9月16日に大阪高等裁判所で出された同訴訟に係る控訴審の判決結果について報告があった。

(3)宮城県警察における住民訴訟の控訴審判決について

官房長から、宮城県警察における捜査報償費返還請求訴訟について、9月10日に仙台高等裁判所で出された同訴訟に係る控訴審の判決結果について報告があった。

(4)監察の取扱い事案について

首席監察官から、埼玉県警察の巡査が青少年にみだらな行為をしたとして8月10日に通常逮捕された事案に関し、同県警察は、9月18日、同巡査を懲戒免職処分とするとともに、監督責任として、上司を本部長注意の措置とする予定である旨の報告があった。

佐藤委員より、「携帯電話機の捜査から相手が警察官であることが分かったのか」旨の質問があり、首席監察官から、「被害者の親が警察に届け出たことから、本件が発覚した。捜査をしたところ、相手が警察官であることが分かったものである」旨の説明があり、葛西委員より、「捕まえる側である警察官がこういうことをすれば、捕まると認識していないのが一番の問題である。捕まえる技術に習熟していないことを意味するのではないか。チャットを通じて知り合ったとのことであるが、チャットで知り合った人間の場合は、どういうバックグランドか分からないとか、そういう人間と長期にわたって一定程度のコンタクトを続けて、相手の素性、本心を見極める調査をしなければ、どんな危険に巻き込まれるか分からないと思うべきではないか。警察官はそういう事件を扱っていて分かるはずではないか」旨の発言があり、首席監察官から、「調べれば、相手の素性はすぐ分かる」旨の説明があり、葛西委員より、「そうであれば、自分は特別で捕まらないと思っていたということか」旨の発言があった。

佐藤委員より、「これは初犯なのか。そういう性癖があるのであれば、他にもあるのではないか」旨の質問があり、首席監察官から、「他に余罪はない」旨の説明があった。

長谷川委員より、「チャットはいつしていたのか。勤務時間中にしていたのか」旨の質問があり、首席監察官から、「勤務時間中ではなく、自分の部屋でチャットをしていた」旨の説明があった。

(5)第45回衆議院議員総選挙の違反取締状況について

刑事局長から、第45回衆議院議員総選挙の違反取締状況について、検挙状況の報告があった。

委員長より、「選挙違反で検挙された出納責任者の選挙区はどこか」旨の質問があり、刑事局長から、「宮城6区と大阪1区である」旨の説明があった。

(6)平成21年8月までの振り込め詐欺の認知・検挙状況等について

刑事局長から、本年8月末までの振り込め詐欺の被害は、昨年同期に比べ、大幅な減少となったこと及び8月の認知件数、被害総額は、月別の統計を取り始めた平成16年7月以降最小となったことの報告があった。

吉田委員より、「今週、岐阜県警察を視察した際、捜査二課広域知能特捜員から振り込め詐欺について話を聞いたので、その中で印象に残ったことを手短に申し述べたい。まず、非常に件数を減らしてきたし、検挙人員も増えてきたという傾向についてであるが、これからは、犯人側も選りすぐりのプロが残って組織化し、守りを強化するため、並大抵の捜査では、今後は検挙をしにくくなることから、彼らの知恵を上回る知恵を絞っていく必要があるという話があった。また、警察というのは、これまでも県境を越えて合同捜査、共同捜査をしてきたが、振り込め詐欺の場合は、カードを使って現金がどこの県で引き出されるか分からないこともあり、都道府県警察間の連絡が密であり、オール・ジャパンでやっているという実感を初めて持ったとのことである。他の事件では、他県警察との競争心のため、情報は自分のところだけで抱え込むこともあったが、振り込め詐欺事件捜査ではそういうことがなく、培われたオール・ジャパンの精神、闘いを継続したいということを話していた。これは力強いメッセージじゃないかと思う。従来警察はアナログ思考であったが、若い犯罪者たちはITを使うデジタル思考である。警察が振り込め詐欺事件に最初に取り組んだときは、正直に言えば、犯人には敵わないと思っていた。新しい犯罪には経験値があまりなかったため、こういう分野に警察は弱かったが、かなりシニアの捜査官でも色々勉強する機会が増えたこともあり、自信が付いてきたのではないか」旨の発言があり、刑事局長から、「これまで振り込め詐欺の検挙が進まなかったのは、都道府県間の情報共有のあり方に原因の一つがあった。例えば、犯人が千葉県から静岡県のおばあさんに電話をかけ、おばあさんが静岡県で振り込み、引き出しは北海道といったことがあり、捜査が進展しなかった。今は、まず被害が認知されたら、様々な情報をシステムに入力し、全国でその情報を見ている。例えば、北海道で引き出された場合、振り込め詐欺を認知した県警はすぐに北海道と連絡を取り合い、警察庁も中に入って、合同捜査、共同捜査を持ちかけるような状況になっている。それから、振り込め詐欺の前の段階に関して、自分の口座を他人に売る口座詐欺や携帯電話を売る携帯詐欺というのは岐阜でもかなりあり、他県の被害に結び付くものでも情報を取って、事件を捜査している。そういう意味では、全国が、色んな情報を共有しながら、連携して動いているというのが現在の姿であると思う。そのために、全国にいる司令塔は一年間に5~6回東京に集まり、情報交換や打ち合わせをしている。それから、プロが残っているとのことについては、おそらくそういう実態があると思う。最近特に目立つのは中国人の組織犯罪である。日本の暴力団と一緒に警察官を名乗り、口座が偽造されたため、口座をすぐ変えなければいけないので、銀行の職員を派遣するから、カードと暗証番号を渡しなさいという手口を使っている。この手口は結構多発しており、この春から未遂を含めると、3,000件以上になる。みんな抵抗力が付いているため、あまり被害に遭わないが、犯人は相当頻繁にアプローチしている。現場でも多数捕まえているが、なかなか止まらない状況である。したがって、外国人の組織犯罪と暴力団が、割と一体となった骨太のグループがまだ残っているというのが現実ではないか」旨の説明があり、長官から、「これから将来脅威になる犯罪に対して全国一丸となってやっていく上で、こうした捜査は、おそらく日本の警察にとって一つのいい経験となる。各県の捜査官が、経験を共有することにより、将来いい影響を与えるのではないか」旨の説明があった。

(7)「平成21年秋の全国交通安全運動」の実施について

交通局長から、9月21日から30日までの10日間、「高齢者の交通事故防止」を重点とする秋の全国交通安全運動を実施する旨の報告があった。

佐藤委員より、「交通安全運動の3つの重点の中で、『飲酒運転の根絶』が一番下に記載されているが、一番上に記載すべきではないか。末端の組織に行けば、記載どおりの優先順位のように受け止めてしまうのではないか」旨の発言があり、交通局長から、「これは、7月1日に開催された交通対策本部で決められたものであるが、その記載順は、重点の軽重を示すものではない。警察としては、飲酒運転を原因とする死亡事故が増えていることから、取締りとしては飲酒運転の根絶にも力を入れていきたい」旨の説明があり、委員長より、「飲酒を原因とする交通事故は何パーセントあるのか」旨の質問があり、交通局長から、「飲酒を原因とする交通事故はそんなに多くはない。この8月までで酒酔いによる死亡事故の構成率は1.4%であった」旨の説明があり、葛西委員より、「順番が重点を示していると理解する必要はないと思う。また、決めたことは決めたことでした方がいいのではないか」旨の発言があり、長官から、「一線にも重点をよく理解させることとしたい」旨の説明があった。

(8)鳩山内閣総理大臣の米国訪問(第64回国連総会及びピッツバーグ・サミット出席)に伴う警護警備について

警備局長から、鳩山内閣総理大臣は、9月21日から26日までの間、第64回国連総会及びピッツバーグ・サミット(第3回金融サミット)出席のため、米国(ニューヨーク及びペンシルベニア州ピッツバーグ)を訪問する予定であり、所要の警護警備を実施する旨の報告があった。

委員長より、内容等について質問があり、警備局長から説明があった。

(9)発信地表示システムと位置情報通知システムの統合化について

情報通信局長から、固定電話からの発信地表示システムと、携帯電話・IP電話からの位置情報通知システムの統合を図ることとし、9月中に3箇所で実証試験を行い、10月より順次、統合を実施していく予定である旨の報告があった。

委員長より、「このシステムにより、電話を110番にかけた場合、発信地や位置情報は瞬時に表示されるのか」旨の質問があり、情報通信局長から、「発信地や位置情報は瞬時に表示できるようになっている」旨の説明があった。

3 その他

(1)官房長から、事務次官等の記者会見に係る新政権の方針を受けて、警察庁長官がこれまで行ってきた在庁記者との懇談会を今後どうするのか検討する必要がある旨の説明があり、委員長及び各委員において協議した。