定例委員会の開催状況

第1   平成211日(木)

午前1000 午後000

第2 出席者 中井委員長、佐藤、吉田、葛西、長谷川、田尾各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、

警備局長、情報通信局長

首席監察官

第3  議事の概要

  議題事項

(1)監察の取扱い事案について

首席監察官から、警視庁の巡査部長が収賄等をした事案及び警部補が営利企業に従事等した事案に係る監督責任として、警視庁は、11月6日、当時の上司ら9名を警務部長訓戒等の措置とする予定であるほか、国家公安委員会の了承が得られれば、地方警務官の元神田警察署長を警視総監訓戒の措置とする予定である旨の説明があり、原案どおり了承した。

葛西委員より、「再発防止のために様々な手を講じているとのことだが、本当に実効性があるのか。経験上、事故の再発防止として一見形だけは良いような対策をとったが、実効性が多くの場合なかった例を多数知っている。本件の場合は、その現場にいる直属の上司や周辺にいる者が当該職員を注意深く掌握して指揮することに欠けていたのではないか。これほど長い間に亘って非違行為が継続しているので、監督責任というのはおそらく本当に監督不行届であったという実体的監督責任だと思う。署長については間接かもしれないが、直属の上司が訓戒というのは少し軽いのではないか」旨の発言があり、首席監察官から、「実際目を一番光らせなければいけないのは直属の上司である係長であったと思う。これが緩んでいた部分があったので、課長代理よりも重い措置となっている」旨の説明があった。

委員長より、「警視庁では、神田警察署生活安全課の組織全体を調べたのか。他にはいなかったのか。また、風俗店の出資金の原資についても調べたのか」旨の質問があり、首席監察官から、「組織全体を調べたが、他にはいなかった。また、原資についてもきちんと捜査したが、職員のものであった」旨の説明があり、委員長より、「神田警察署の生活安全課には何人くらいいるのか。同じ課に長く勤務するのか」旨の質問があり、首席監察官から、「10数人である。また、警視庁の場合、大体一番長くても5年というルールを決めている。当該職員2名は、3年から4年くらい生活安全課に所属していた」旨の説明があり、長官から、「警視庁では監察が入り相当な調査を行っているが、通達を出したからと言って安心することなく、今後も個々の職員に対する監督をしっかりしていくことが大事だと思う」旨の説明があった。

(2)「道路交通法施行令の一部を改正する政令案」等に対する意見の募集について

交通局長から、道路交通法の一部を改正する法律の施行に伴い、道路交通法施行令等を改正するに当たり、11月6日から12月5日までの間、その改正案を一般に公表し、意見を募集する旨の説明があり、原案どおり決定した。

(3)オバマ・アメリカ合衆国大統領来日に伴う警護警備及び静穏保持法に基づく外国公館等周辺地域の指定に関する協議について

警備局長から、オバマ・アメリカ合衆国大統領の来日に伴い、11月12日から13日までの間、内閣総理大臣官邸周辺地域等を静穏保持法に基づく地域に指定したい旨の外務大臣から国家公安委員会に対する協議があり、これに同意することとしたい旨の説明があり、原案どおり決定した。

(4)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

  報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)平成22年警察庁月間等について

官房長から、平成22年警察庁月間等について報告があった。

(3)平成21年第3四半期における地方警務官に係る贈与等報告書について

官房長から、「国家公務員倫理法の規定に基づき、地方警務官から平成21年第3四半期における贈与等報告書が国家公安委員会に対して提出され、これを国家公安委員会委員長が受理した。このうち、指定職以上の職員に係るものについて写しを国家公務員倫理審査会へ送付する」旨の報告があった。

(4)殉職事案の発生について

官房長から、福井県警察の巡査部長及び巡査長が、11月2日、大飯郡おおい町内の県道において、パトカーで走行中、案内標識板の支柱に衝突して、巡査長は同日、巡査部長は翌3日、収容先の病院で死亡、殉職した旨の報告があった。

(5)会計検査院の平成20年度決算検査報告について

官房長から、会計検査院の平成20年度決算検査報告について報告があった。

(6)日EU刑事共助条約の交渉状況について

官房長から、日EU刑事共助条約の交渉状況について報告があった。

佐藤委員より、日EU刑事共助条約の今後の交渉に関し、前回の会議に欠席していたのでまず自分から発言したいとして、「公安委員会としては、捜査当局にとっての実益は何かという見地から判断すべきだと思う。この10年間で、日本からヨーロッパに対して共助を依頼したのは36件であり、そんなに需要があるとも思えないし、むしろ、ヨーロッパから日本へ頼むことが多く、そうであれば、こちら側が条件を付けても良いくらいではないかとすら思う。EUはまずアメリカと条約を結んだが、それには、今回日本が求められているような死刑の存否に係る条件が付いていない。その米国の次に結ぶのが日本ということになるのだが、いずれあり得る中国との条約で、中国が死刑に関する規定について頑張って、日本の目から見て、日本が今回結ぼうとしている条約よりも良い内容の条約ができる可能性もあるのではないか。ヨーロッパは経済的に中国を重視しているので、中国に対してより妥協的になる可能性も否定できないと個人的には思う。また、日本の捜査当局の立場からは交渉を急ぐ理由もないと思う。いずれにせよ、死刑という日本の法律上の制度に係ることなので、公安委員会としては、外務省に言うべきことは言っておくべきだと思う」旨の発言があり、長谷川委員より、「条約があれば、ルクセンブルクから銀行口座情報を入手できるという利益もある」旨の発言があり、葛西委員より、「国と国との条約であることから、対称性がなくてはならない。現実に、どうしても緊急に条約がないと困るという事態でなく、本当に協力が必要な事案があれば、今までも条約はないが、ヨーロッパから協力を求めてきている。公安委員会としては、今申し上げたことを指摘していくべきではないか。緊急かつ重要な実利はないと考える。また、EUとの刑事共助条約は、主要国の中ではアメリカの次に日本が入っているが、アメリカと同じ条件で良いのではないか。もう少し交渉を徹底して、また、特にEUが中国とはどういう対応になるか見極めるのも重要ではないか」旨の発言があり、吉田委員より、「相互主義等を考えると、公安委員会としては、筋を曲げてまで結論を出すべきではないと思う」旨の発言があり、田尾委員より、「リスボン条約がまもなく発効するようであるから、EUの新しい体制の下で、あらためて問題を提起し、交渉を継続すべきだと思う。また、その選択肢として死刑に関する罪を条約の対象から外し、同罪の捜査共助については従来どおりのやり方を継続することも実務的には考えられるのではないか」旨の発言があり、委員長より、「この条約について、中国の問題、アメリカの問題の指摘があったが、犯人はヨーロッパにも行くのであり、何かを作っていかないと、犯罪捜査や犯人逮捕ということに大きな穴が開いてしまうと感じている。以前EUの会議に出席した際、フランスで日本人が人肉を食べたという事件に関し、帰国した犯人が悠々と歩いている国だとヨーロッパの国会議員から日本が名指しで非難されたことがあり、フランスが日本に証拠を提出しなかったからであると反論をしたことがある。日本としては、証拠がなければ、どうすることもできない。外交当局がどのように交渉してきたのかチェックし、交渉の余地があるのかどうか等について確認したい」旨の発言があった。

(7)監察の取扱い事案について

首席監察官から、岩手県警察の事務職員が事務消耗品の代金名目で金員を騙し取ったとして、10月14日に通常逮捕された事案等に関し、同県警察は、11月4日、同事務職員を懲戒免職処分とした旨及び兵庫県警察の巡査が、勤務中に女性の下着を窃取するなどしたとして10月20日に通常逮捕された事案に関し、同県警察は、11月6日、同巡査を懲戒免職処分とするとともに、監督責任として、上司を本部長注意の措置とする予定である旨の報告があった。

(8)日本航空に対する威力業務妨害事件について(警視庁)

刑事局長から、9月2日、日本航空インターナショナルに対する威力業務妨害事件について、捜査状況等の報告があった。

(9)天皇陛下御在位20年慶祝行事等に伴う警衛警備について

警備局長から、「11月12日、天皇陛下御在位20年慶祝行事が都内において開催される予定である。また、天皇皇后両陛下は、11月16日から20日までの間、京都御所茶会御臨席等のため、大阪府及び京都府へ行幸啓になる予定であり、これらに伴い、所要の警備を実施する」旨の報告があった。

3 その他

(1)刑事局長から、平成19年3月26日、千葉市内で発覚した殺人並びに死体遺棄事件について、捜査状況等の報告があった。