定例委員会の開催状況

第1   平成21112日(木)

午前1000 午前1145

第2 出席者 中井委員長、佐藤、吉田、葛西、長谷川、田尾各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、

警備局長、情報通信局長

長官官房審議官(警備局担当)、首席監察官

第3  議事の概要

  議題事項

(1)監察の取扱い事案について

首席監察官から、岩手県警察における物品購入等に係る不適切な事務処理等事案に関し、警察庁長官は、監督責任により、岩手県警察本部長等を懲戒手続きに付する必要があると認め、本日、国家公安委員会に申し立てを行う旨の説明があり、その結果、国家公安委員会において懲戒審査会に審査を要求する旨が決定された。

葛西委員より、「今回の事案についての本部長の監督責任は、本部長の本来なすべき仕事の範囲や事案防止の期待可能性がなかったことなどを考慮すると、せいぜい訓戒くらいではないか。過去の類似事案で香川県警察本部長は減給ということだが、警察の処分体系がバランスを欠いている。別件だが、県警幹部の霊感商法事案でも本部長は長官訓戒であるし、だらしない捜査指揮が問題となった県警本部長に何のお咎めもない。警察の規律の体系には正当性や合理性が求められ、多くの人が信頼することが必要である。また、処分を受けた幹部のその後の人事処遇についても課題がある」旨の発言があり、長官から、「組織内で広く慣行的に行われた不正経理問題については、期待可能性などを考慮する個別行為の監督責任とは別に考え、組織全体を管理する最高責任者としての責任を問うという考え方で処分してきている。また、香川や岩手では知事等が減給となっている」旨の説明があった。

委員長より、「香川県では、同じ県にいる知事部局と警察とで同様の処分を行ったものと理解できる。やはり、預け金は業者と役所の癒着や税金の使い方に甘さを生むものであるし、岩手では少し限度を超えている」旨の発言があり、葛西委員より、「全体のバランス、知事部局との横並びの中で減給しかないということであれば仕方がない」旨の発言があった。

委員長より、「国家公安委員会の役割として、警察という特殊な組織の中で処分体系がどうあるべきか、一度御議論いただいてはどうか」旨の発言があり、長官から、「監督責任の在り方について最近見直したところだが、不断の見直しが必要であり、今後研究し、より適正なものにしていきたい」旨の説明があり、葛西委員より、「処分はケースバイケースでやらざるを得ないので、処分体系全部の見直しは難しいだろう」旨の発言があった。

(2)「銃砲刀剣類所持等取締法施行規則等の一部を改正する内閣府令案」等について

生活安全局長から、銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律の施行に伴い、「銃砲刀剣類所持等取締法施行規則等の一部を改正する内閣府令案」等に対する意見公募の実施結果並びに同内閣府令案及び「銃砲刀剣類所持等取締法施行令第1条の2第2号の銃砲の範囲を定める命令の一部を改正する命令案」等について説明があり、原案どおり決定した。

(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、一部修正の上、その内容を了承した。

  報告事項

(1)警察庁長官に対する開示請求の決定等について(行政機関情報公開法関係)

官房長から、警察庁長官に対してなされた行政機関情報公開法関係の開示請求に対する決定について報告があった。

(2)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(3)監察の取扱い事案について

首席監察官から、警視庁の巡査が、青少年にみだらな行為をしたとして10月20日に通常逮捕された事案に関し、警視庁は、11月16日、同巡査を懲戒免職処分とするとともに、監督責任として、上司を所属長注意の措置とする予定である旨の報告があった。

(4)新たな人身取引対策行動計画(仮称)の策定について

生活安全局長から、内閣官房を中心に策定した新たな人身取引対策行動計画(仮称)の案の内容及び同案について意見募集手続が行われること等の報告があった。

(5)市川市福栄における英国人女性殺人並びに死体遺棄事件について(千葉県警察)

刑事局長から、平成19年3月26日に千葉県市川市所在のマンションにおいて発覚した英国人女性殺人並びに死体遺棄事件について、捜査状況等の報告があった。

佐藤委員より、「懸賞金の配分について公表するのか」旨の発言があり、刑事局長より、「支払った人数は公表するが、誰にいくら支払ったかについては公表しないこととなっている」旨の説明があった。

吉田委員より、「本件は国際的反響を呼んでいたこともあり、英国の女性の死体を遺棄した犯人の逮捕というのは大変な快挙だったと思う。犯人を逮捕した警察官にも、当然、高い表彰がなされるべきだと思う」旨の発言があり、刑事局長から、「警察官が職務質問をして見つけたのではなく、110番通報があって、被疑者を確認して任意同行してきたという経緯であるので、高い表彰にはならないのではないか」旨の説明があり、田尾委員より、「整形外科等について手配や捜査をしなかったのがおかしいのではないかとも言われており、これはなかなか難しいのではないか」旨の発言があった。

(6)広島県山県郡北広島町における女子大学生被害にかかる死体遺棄等事件について(島根・広島県警察)

刑事局長から、11月6日、島根県立大学に通う女子大学生の死体の一部が広島県内の山中で発見された死体遺棄等事件について、捜査状況等の報告があった。

(7)外交ルートに基づく中国からの国外逃亡被疑者の身柄引渡しについて

刑事局長から、平成11年12月9日、神奈川県横浜市において発生した強盗事件に関し、平成21年11月12日、中国へ逃亡していた被疑者の身柄の引渡しを受けた旨の報告があった。

(8)シートベルトの着用状況について

交通局長から、10月1日から14日までの間、警察庁と社団法人日本自動車連盟が合同で実施した、全国におけるシートベルトの着用状況の調査結果について報告があった。

(9)米軍関係者私有車両による死亡ひき逃げ事件の発生について

交通局長から、11月7日に沖縄県中頭郡読谷村楚辺の旧米軍読谷補助飛行場の外周道路付近における死亡ひき逃げ事件について、捜査状況等の報告があった。

田尾委員より、「報道によると、犯人と思しき者が米軍に身柄拘束されているとのことだが、被疑者の身柄引渡しの見通しはどうなっているのか」旨の質問があり、交通局長から、「現在被疑者を特定するための捜査をしている段階であり、捜査の経緯をみて第一義的には、沖縄県警察が検討すべきものと考えている」旨の説明があった。

10)2010年APEC(アジア太平洋経済協力)警備対策委員会の設置について

警備局長から、2010年APEC首脳会議等に係る警備の万全を期することを目的として、警察庁に、次長を委員長とし、庁内各局部長等を委員とする「2010年APEC警備対策委員会」を設置することについて報告があった。

11)鳩山内閣総理大臣のシンガポール訪問(APEC首脳会議出席等)に伴う警護警備について

警備局長から、鳩山内閣総理大臣は、11月13日から16日までの間、APEC首脳会議出席等のため、シンガポールを訪問する予定であり、これに伴い、所要の警護警備を実施する旨の報告があった。

12)皇太子殿下の第12回全国農業担い手サミット御臨席等(埼玉県)に伴う警衛警備について

警備局長から、皇太子殿下は、11月17日、第12回全国農業担い手サミット御臨席等のため、埼玉県へ行啓になる予定であり、これに伴い、所要の警衛警備を実施する旨の報告があった。

3 その他

(1)委員長より、「アフガニスタン・パキスタンに対する支援策に関する閣僚委員会」の開催結果について説明があった。

(2)委員長より、日EU刑事共助条約の今後の交渉に関し、「議論のあった点について外務省欧州局長から説明を受けた。EUと米国との条約で死刑に関する規定が入っていないことについて、外務省欧州局長から、『米国では、検察官の求刑よりも重い判決が出ることがないので、検察官が被告を死刑にしないとの約束が信用できるからである』との説明があった。それから、EUは、中国と刑事共助条約を結ぶ場合、日本とは違う話を中国にするのではないかという懸念があると話したところ、『中国は、既にスペイン等との間で犯罪人引渡条約を結んでおり、死刑に関する規定も入っている。今後EUと条約を結ぶこととなった場合でも、日本と同じような条約になるだろう』との説明があった。日時も迫っているので、私としては現在の案を認めていただいて、進めていきたいと思う」旨の発言があり、佐藤委員より、「私の認識では、公安委員会の意見を委員長が外務省に伝えたところで、この件についての公安委員会の役割は終わりではないかと思っている」旨の発言があり、吉田委員より、「公安委員会と警察庁の判断では賛成しがたいという意思表示をした上で、上の方で異なる結論が出るのであれば、それはそれとせざるを得ないのではないか」旨の発言があり、葛西委員より、「非対称性を認めた条約は、本当にメリットがあれば別であるが、ないよりはましだという効果しかないのであれば、むしろ主権の尊厳を守るというのが我々の見解である。我々の意見にもかかわらず、内閣としてそれをやられるというのであれば、我々の意見とは違うということを残しておいた方が良い」旨の発言があり、田尾委員より、「我々としては論点を整理した上で議論し、最終的には政治判断をされるべきということを認識している」旨の発言があり、委員長より、「もう一度外務省には、委員長を除く公安委員会で強い反対意見があったと申し伝えながら、進めていきたい」旨の発言があった。

(3)刑事局長から、鳥取県警察において11月2日に逮捕した詐欺事件被疑者の関係者が複数人死亡している事案について、捜査状況等の報告があった。

(4)警備局長から、オバマ・アメリカ合衆国大統領は、11月13日に来日し、東京都内で鳩山内閣総理大臣との日米首脳会談等を行い、11月14日に離日する旨の報告があった。

(5)情報通信局長から、平成21年度補正予算により整備する「地域警察デジタル無線システム」のうち、「データ通信・表示部分」の機能概要がまとまったので、機能の概要、今後必要となる取組み等について報告があった。