定例委員会の開催状況

第1 日 時 平成21年12月10日(木)

午前10時00分 午前11時35分

第2 出席者 中井委員長、吉田、葛西、長谷川、田尾各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、

警備局長、情報通信局長

首席監察官

第3  議事の概要

  議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「1月1日付け地方警務官2名の人事案件について発令していただきたい」旨及び「1月1日付け国家公安委員会犯罪被害給付専門委員1名の任命について発令していただきたい」旨の説明があり、原案どおり決定した。

(2)監察の取扱い事案について

首席監察官から、岩手県警察の警視が、酒気帯び運転をしたとして11月23日に現行犯逮捕された事案等に関し、同県警察は、国家公安委員会の了承が得られれば、12月10日、監督責任として、地方警務官の生活安全部長を本部長注意の措置とする予定である旨の説明があり、原案どおり了承した。

(3)銃砲刀剣類所持等取締法施行令第31条第2項の規定による年少射撃資格の認定のための講習会の開催に関する事務の一部を行わせることができる者の指定等について

生活安全局長から、「銃砲刀剣類所持等取締法施行令第31条第2項の規定による年少射撃資格の認定のための講習会の開催に関する事務の一部を行わせることができる者の指定」に関する国家公安委員会告示案及び改正銃刀法の施行状況について説明があり、同告示案について原案どおり決定した。

田尾委員より、「猶予期間満了前までにダガーナイフを約15,000振回収又は廃棄したとのことであるが、全体ではどれくらい流通していたとみているのか」旨の質問があり、生活安全局長から、「正確な統計はないが、経済産業省が実施した平成19年中のダガーナイフの流通実態調査によれば、ダガーナイフを販売していた事業者は25社、国内向け販売数は3,487振であった。しかし、それ以前に毎年のように販売されていたこともあり、全体の量は不明である」旨の説明があった。

田尾委員より、「銃砲刀剣類の所持者に対する監督の強化等関係の中で住民からの公安委員会に対する申出が20件あったということであるが、これは法律改正の柱の一つであり、うまく機能しているのではないかと思う」旨の発言があり、生活安全局長から、「本制度については、引き続き、工夫して広報していきたい」旨の説明があった。

(4)犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部を改正する命令案に対する意見の募集について

刑事局長から、「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部を改正する命令案」について、平成21年12月中旬から平成22年1月中旬までの間、一般に公表して意見を募集する旨の説明があり、原案どおり決定した。

(5)「道路交通法施行令の一部を改正する政令案」等について

交通局長から、道路交通法の一部を改正する法律の施行に伴い、11月6日から12月5日までの間に実施した「道路交通法施行令の一部を改正する政令案」等に対する意見公募の実施結果及び同政令案等について説明があり、原案どおり決定した。

(6)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

  報告事項

(1)警察庁長官に対する異議申立てに係る決定について(行政機関情報公開法関係)

官房長から、警察庁長官に対してなされた行政機関情報公開法関係の異議申立てに係る決定について報告があった。

(2)「明日の安心と成長のための緊急経済対策」について

官房長から、「明日の安心と成長のための緊急経済対策」の中に盛り込まれた警察庁関係の施策の内容について報告があった。

(3)「刑事に関する共助に関する日本国と欧州連合との間の協定」への署名について

官房長から、12月15日の閣議決定を経て、日本側が「刑事に関する共助に関する日本国と欧州連合との間の協定」に署名する予定である旨の報告があった。

(4)監察の取扱い事案について

首席監察官から、1(2)で説明のあった岩手県警察の警視による酒気帯び運転等事案に関し、同県警察は、12月9日、同警視を懲戒免職処分とした旨、千葉県警察の巡査長が住居侵入等したとして11月18日に現行犯逮捕された事案等に関し、同県警察は、12月9日、同巡査長を懲戒免職処分とするとともに、監督責任として、上司を本部長注意の措置とした旨及び北海道警察の巡査が酒気帯び運転をして物損交通事故を起こしたとして11月28日に現行犯逮捕された事案等に関し、北海道警察は、12月9日、同巡査を懲戒免職処分とするとともに、監督責任として、上司を本部長注意の措置とした旨の報告があった。

吉田委員より、「昨年、懲戒免職処分を受けたのは30人だったと思うが、今年はどれくらいか」旨の質問があり、首席監察官から、「今年、懲戒免職処分を受けたのは、昨日の時点で40人である」旨の説明があり、葛西委員より、「そのうち飲酒上のものはどれくらいか」旨の質問があり、首席監察官から、「飲酒運転上の事案で処分を受けたのは現時点で20人である。そのうち免職処分となったのは16人である。昨年飲酒運転上の事案で処分を受けたのは年間で9人であった」旨の説明があった。

葛西委員より、「これだけ厳しく処分しているにもかかわらず、飲酒するというのは、アルコール依存症なのか」旨の発言があり、首席監察官から、「岩手県警察の警視はアルコール依存だったと思うが、北海道警察の巡査は違う」旨の説明があり、長官から、「公共交通機関が発達していない地域であるなどの事情も考慮して指導教育しているが、まだ、徹底できていない。以前にアルコール依存状態が疑われる職員への対策として通達を出したが、対策の効果がどのくらいあるのか見極めてさらに検討することとしたい」旨の説明があった。

委員長より、「葛西委員、企業ではどうなっているのか」旨の質問があり、葛西委員より、「トラブルを起こすのはアルコール依存症で普段から注意している者である場合が多いが、その絶対数としてはそんなに多くないと思う。処分に関しては、警察ではほとんどの場合、懲戒免職処分にしているが、企業の場合では、勤務中か非番時の飲酒かなど、飲酒の態様、程度、危険の度合い等により、出勤停止くらいの処分になることが結構あると思う」旨の発言があり、委員長より、「それぞれの都道府県警察においても、なお一層十分気を付けるようにお願いしたい」旨の発言があった。

(5)児童ポルノ排除対策ワーキングチームの設置について

生活安全局長から、児童ポルノを排除するための総合的な対策を検討・推進する目的で、12月15日開催予定の第14回犯罪対策閣僚会議において、同会議の下に「児童ポルノ排除対策ワーキングチーム」を設置することについて申し合わせを行う予定である旨の報告があった。

吉田委員より、「『児童』というのは、小学生くらいで被害者ばかりだと思っていたが、昨日確認したら、18歳未満の者だと気付いた。援助交際をしている17歳くらいの女の子の場合は、金儲けのために写真とかを出すこともあるのではないか。大分イメージが変わってくることと、私と同じように誤解している人もいるかもしれないので、『児童ポルノ』について発表するときは、『18歳未満の子どもが対象である』等と説明してはどうか」旨の発言があり、葛西委員より、「確かにイメージ的には齟齬があると思う。英語ではどう表現しているのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「英語では『children』で、これは『児童』と訳され、18歳未満の者であるとされている。現実には、本年上半期では、小学生以下の子は約16パーセント、中学生は約50パーセント、高校生は約30パーセントが児童ポルノの被害に遭っている。日本では、児童は18歳未満となっているが、やはり高校生でも一方的に被害に遭っていることが多いことと、児童は成人と比べて、判断力が劣ることなどを勘案して、児童を保護する目的でこのような定義になっているものと思う。確かに誤解を生じるかもしれないので、『児童』というのは18歳未満であるということを折りに触れて説明することとしたい」旨の説明があった。

委員長より、「日本が国際社会から批判を受けたことから、国会においても、昨年から今年にかけて各党それぞれで協議を行った。15、16歳の女の子の写真を持っていたらどうなるのかという話と単純所持の問題をどうするかというのが主な議論であった。国際的潮流であった『単純所持は違法である』とする当時の与党案は成立寸前だったが、国会が解散になってしまった。私も国会でこの問題について超党派で対応してほしいと言っているが、特段の動きはない。開催される犯罪対策閣僚会議では、警察主導でワーキングチームを作り、取締りや実態調査を行う旨の発言をする予定である」旨の発言があった。

(6)新たな人身取引対策行動計画(仮称)の策定について

生活安全局長から、内閣官房を中心に策定した新たな人身取引対策行動計画(仮称)の案についての意見募集手続が終了したことを受けての修正案の内容等について報告があった。

(7)法務省東京入国管理局統括審査官らによる贈収賄事件の検挙について

刑事局長から、法務省東京入国管理局統括審査官らによる贈収賄事件の検挙について報告があった。

(8)「非公式」(しゅう)(きん)(ぺい)・中華人民共和国国家副主席来日に伴う警護警備について

警備局長から、習近平・中華人民共和国国家副主席は、12月14日から16日までの間に来日し、鳩山内閣総理大臣との会見等を行う予定であり、これに伴い、所要の警護警備を実施する旨の報告があった。

(9)鳩山内閣総理大臣のデンマーク訪問(国連気候変動枠組条約第15回締約国会議首脳級会合出席)に伴う警護警備について

警備局長から、鳩山内閣総理大臣は、12月17日から19日までの間、国連気候変動枠組条約第15回締約国会議首脳級会合出席等のため、デンマークを訪問する予定であり、これに伴い、所要の警護警備を実施する旨の報告があった。

3 その他

(1)委員長及び警備局長から、2018年及び2022年ワールドカップサッカー大会の日本招致並びに東アジア女子サッカー選手権2010決勝大会等について説明があった。

(2)刑事局長から、栃木県警察において、昭和54年栃木県足利市発生幼女殺害事件の遺留品に対する鑑定を実施した結果について報告があった。

 委員長より、「鑑定を実施してもDNA型が検出されなかったことに鑑みて、都道府県警察が抱えている未解決事件の証拠物品についてDNA鑑定を実施すれば、何らかの痕跡がつかめるものもあるかもしれないので、昨日説明を受けた際に、DNA鑑定を早く実施して保存した方が良いと申し上げたところである。劣化するらしいので、できる限り、未解決事件の証拠物品のDNA鑑定を実施するように全国警察に通知願いたい」旨の発言があり、刑事局長から、「近年DNA鑑定の技術はかなり向上しており、証拠物品については新しい方法で再度DNA鑑定を行うこととしているが、御指摘のとおり全国に徹底するように再度通知したい」旨の説明があった。