定例委員会の開催状況

第1 日 時 平成21年12月24日(木)

午前10時00分 午前11時30分

第2 出席者 中井委員長、吉田、葛西、長谷川、田尾、髙木各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、

警備局長、情報通信局長

首席監察官

第3  議事の概要

  議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「1月1日付けを始めとする地方警務官18名の人事案件について発令していただきたい」旨、「1月18日付け、内閣承認人事7名の人事案件について内閣に承認を依頼していただきたい」旨、「1月18日付け、警視総監の任免について内閣総理大臣に承認を依頼したい」旨及び「1月18日付け、警視総監の任免について東京都公安委員会に同意を求めるよう依頼したい」旨の説明があり、原案どおり決定した。

(2)国家公務員倫理法に関する報告について

官房長から、警視庁の地方警務官が、平成21年中に国家公務員倫理規程に違反する疑いがある行為を行った旨の説明があり、その結果、国家公安委員会において国家公務員倫理法に基づく調査の端緒に係る報告及び調査開始の通知を国家公務員倫理審査会会長に対して行う旨が決定された。

委員長より、「当該職員が国家公務員となった後すべての時期について調査を徹底すべきである」旨の発言があり、官房長から、「今回決裁をいただくのは調査開始の通知であり、引き続き調査は行うこととなる」旨の説明があった。

(3)監察の取扱い事案について

首席監察官から、茨城県警察において、4月24日、逮捕、取調べ中の被疑者が逃走した事案、及び、6月17日、留置中の同人が留置施設内で洗浄剤をえん下した事案に係る監督責任として、同県警察は、国家公安委員会の了承が得られれば、12月25日、地方警務官の警察署長を本部長訓戒の措置とする予定である旨の説明があり、原案どおり了承した。

委員長より、「茨城では、この事件は既に報道されたのか」旨の質問があり、首席監察官から、「報道済みである」旨の説明があった。

葛西委員より、「どうやって洗浄剤を確保したのか」旨の質問があり、首席監察官から、「トイレ清掃をするふりをして、隠し持っていた紙コップに洗浄剤を入れて持っていた」旨の説明があり、長官から、「同種事案の再発防止のために、なお一層引き締めていきたい」旨の説明があった。

(4)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

  報告事項

(1)犯罪対策閣僚会議(第14回)の開催結果について

官房長から、12月22日に開催された犯罪対策閣僚会議(第14回)の内容について報告があった。

(2)平成22年度警察庁予算の査定状況について

官房長から、平成22年度警察庁予算の査定状況について報告があった。

(3)高知県警察における公文書非開示処分取消請求訴訟の第一審判決について

官房長から、12月22日に言い渡された高知県警察における公文書非開示処分取消請求訴訟の第一審判決について報告があった。

(4)市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)の対日審査フォローアップについて

官房長から、12月21日、市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)の対日審査フォローアップが、我が国から国際連合あてに提出された旨の報告があった。

(5)平成21年(1~11月)の110番通報の概要等について

生活安全局長から、平成21年1月から11月までの間における110番通報の概要、平成22年「110番の日」の実施について報告があった。

(6)捜査特別報奨金の支払について

刑事局長から、捜査特別報奨金の支払について報告があった。

委員長及び各委員より、今後の捜査への協力を確保する目的から、発表に当たっては、支払対象者が分からないよう工夫してもらいたい旨の発言があった。

委員長より、「この報奨金は、税金の対象になるのか。そうであれば、一層情報提供を促進するため、税金がかからないように財務当局と相談してはどうか。今回は初めてなので仕方がないが、次回からは税金がかからないように努力していただきたい」旨の発言があった。

(7)「銃器犯罪根絶の集い・福岡大会」の開催について

刑事局長から、1月16日、福岡市において、銃器犯罪の根絶と違法銃器の排除を広く国民に呼び掛けるため、警察庁、福岡県警察本部及び福岡県銃器対策推進本部の共催で、「第15回銃器犯罪根絶の集い・福岡大会」を開催する旨の報告があった。

(8)爆発物の原料となり得る化学物質を販売する事業者に対する管理者対策の強化について

警備局長から、爆発物の原料となり得る化学物質が、薬局等で容易に入手できるという現状を踏まえ、こうした化学物質を販売する事業者に対する管理者対策を強化する旨の報告があった。

(9)鳩山内閣総理大臣のインド訪問に伴う警護警備について

警備局長から、鳩山内閣総理大臣は、12月27日から30日までの間、日印首脳会談等のため、インドを訪問する予定であり、これに伴い、所要の警護警備を実施する旨の報告があった。

10)鳩山内閣総理大臣の伊勢神宮参拝に伴う警護警備について

警備局長から、鳩山内閣総理大臣は、1月4日、伊勢神宮参拝のため、三重県を訪問する予定であり、これに伴い、所要の警護警備を実施する旨の報告があった。

11)電子申請等関係システムの見直しの方向性について

情報通信局長から、警察庁の電子申請等関係システムについて、オンライン手続のうち利用の低調なものを本年度末で停止する方向で必要とされる作業を進めたい旨の報告があった。

3 その他

(1)生活安全局長から、12月17日の定例会議において決定した「次期通常国会提出予定法律案件名要旨について」に関し、検討中の1法案については、その後の状況を踏まえ、次期通常国会に提出しない旨の報告があった。

(2)吉田委員より、「付審判事件の裁判費用の公費負担については、決着がついたのか」旨の質問があり、官房長から、「2つの県警が関係しているが、それぞれ知事部局と協議中である。年明けにも現在の状況について報告することとしたい」旨の説明があった。

(3)吉田委員より、「本日が今年最後の定例会議になるので、私なりに今年1年の警察活動を見た感想を3つくらいのポイントから述べたい。1番目は、政治的中立という問題についてである。前政権のときであるが、公務員制度の改革の中で政治的中立性に絡むような問題があり、厳しい折衝があった。これは警察がうまく乗り切ったと思っている。それから、政権交代があった。新しい政権は『政』と『官』の問題について大変意見のある政党である。この『政』の力が強くなり過ぎてしまうと、政治的中立性に絡む問題が出てくると思ったが、新しい委員長も内閣官房もこの点について良く御理解をしていただいた形であり、今のところはうまくいっていると思っている。しかし、来年以降、新政権の公務員制度に関する話も出てくると思うので、政治的中立性の問題は引き続き来年に持ち越されたという面があると思う。2番目の警察への信頼ということについて言えば、各局とも、必要とされる職責を果たしたと思う。特に難事件と思われたもののうち、今年一番印象的だったのが、英国人女性の死体遺棄事件の犯人の逮捕である。また、芸能人による覚せい剤事件を契機として、覚せい剤問題が国民の間に深く知られたというのも成果だと思う。年初にあった中央大学の教授殺人事件が解決できたのも成果として言えるのではないかと思う。他方、島根県立大学の女子大学生被害に係る死体遺棄等事件の問題とか、世田谷一家4人強盗殺人事件等の問題は宿題として依然残っているが、一応各局とも合格点ではないかと思っている。ただ、残念なのは、警察職員の不祥事である。これは予想が全く外れてしまった。しかも、懲戒免職処分が去年よりも大幅に増えてしまった。この分野だけは合格点とは言えないという感じがする。特に、情けない事件が多いと思う。6月に、愛媛県警察の警察官がひったくりをして高校生に捕まり、高校生に『お巡りさんがひったくりをやるようじゃ世も末だ』と言わしめた事件、福岡県において、飲酒運転をした車両が追突して子ども3人が死亡した日のちょうど2年後となる8月25日に、福岡県警察の中堅の警察官が、酒酔い運転で事故を起こして逮捕され、また、兵庫県警察の警察官が公然わいせつ事件の事情聴取のため、被害者方に臨場した際に下着を盗み出したという事件もあった。不祥事の問題というのは、本当に、今からでも襟を正していかなければならない問題だと思っている。3番目は、裁判員裁判制度と捜査の適正についてである。この制度がスタートして、裁判員の中には捜査の適正について疑義があるとされるケースが出るのではないかと心配していたが、裁判員裁判制度は順調に進み、警察が批判を浴びるような捜査を行ったということは、本制度発足以来ないようである。ただ、これも来年以降、引き続き、捜査の適正という大きな問題として横たわっていると思う。以上の3つは来年に持ち越されたという感じだと思う。来年は、空前の警備が必要なAPECもあるので、今年以上に、心してやっていただきたいと思う」旨の発言があった。

(4)委員長より、「各委員の適切な判断、指導の下に、何とか役割を果たすことができた。心から感謝申し上げたい。また、死因究明制度あるいは捜査の近代化等の勉強会に向けて、警察からも多大な御協力を頂いていることに対して感謝を申し上げる。本年はまだ何日か残っているので、気を緩めることなく、この年末を乗り切って、良い年を迎えていただくことをお願いしたい」旨の発言があった。