定例委員会の開催状況

第1 日 時 平成22年2月4日(木)

午前10時00分 午後0時10分

第2 出席者 吉田、葛西、長谷川、田尾、髙木各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、

警備局長、情報通信局長

首席監察官、国家公安委員会会務官

第3  議事の概要

  議題事項

(1)国家公安委員会が所管する事業分野における個人情報保護に関する指針の制定について

官房長から、国民生活審議会が取りまとめた意見を踏まえ内閣府が策定した「ガイドラインの共通化の考え方」に基づき、「標準的なガイドライン」に準拠した内容に改正する「国家公安委員会が所管する事業分野における個人情報保護に関する指針案」に対する意見公募の実施結果及び同指針案について説明があり、原案どおり決定した。

(2)人事案件について

官房長から、「2月15日付けを始めとする地方警務官等82名の人事案件について発令していただきたい」旨の説明があり、原案どおり決定した。

(3)国家公務員法等の一部を改正する法律案について

官房長から、幹部職員人事の一元管理に関する規定の創設等を内容とする国家公務員法等の一部を改正する法律案について説明があり、原案どおり了承した。

(4)国家公安委員会委員長に対する行政文書開示請求に関する決定について

国家公安委員会会務官から、国家公安委員会委員長に対して1月7日になされた行政文書の開示請求に関し、国家公安委員会においては、開示請求に係る行政文書を保有していないため、不存在につき不開示とする旨の説明があり、原案どおり決定した。

(5)監察の取扱い事案について

首席監察官から、神奈川県警察の巡査が、拾得物として受理した現金を横領した事案に関し、同県警察は、国家公安委員会の了承が得られれば、2月5日、地方警務官の警察署長を本部長注意の措置とする予定である旨の説明があり、原案どおり了承した。

(6)警備業の要件に関する規則等の一部を改正する規則案に対する意見の募集について

刑事局長から、金融商品取引法等の一部を改正する法律の施行に伴い、警備業の要件に関する規則等の一部を改正するに当たり、2月5日から3月6日までの間、その改正案等を一般に公表し、意見を募集する旨の説明があり、原案どおり決定した。

(7)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

  報告事項

(1)警察庁長官に対する開示請求の決定等について(行政機関情報公開法関係)

官房長から、警察庁長官に対してなされた行政機関情報公開法関係の開示請求の決定について報告があった。

(2)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(3)平成21年第4四半期における地方警務官に係る贈与等報告書について

官房長から、「国家公務員倫理法の規定に基づき、地方警務官から平成21年第4四半期における贈与等報告書が国家公安委員会に対して提出がなされ、これを国家公安委員会委員長が受理した。このうち、指定職以上の職員に係るものについて写しを国家公務員倫理審査会へ送付することとしている」旨の報告があった。

(4)平成21年度第3四半期監察の実施状況について

首席監察官から、警察庁が都道府県警察等に対して行った平成21年度第3四半期における監察の実施状況について報告があった。

(5)平成21年中の懲戒処分者数について

首席監察官から、平成21年中の全国警察職員の懲戒処分者数は、合計242人で、前年と比べ、10人(4.0パーセント)減少し、その内訳は、懲戒免職40人、停職48人、減給82人、戒告72人である旨の報告があった。

(6)平成21年度全国警察逮捕術大会及びけん銃射撃競技大会の開催について

官房長から、平成21年度全国警察逮捕術大会及びけん銃射撃競技大会が2月16日に警視庁術科センターで開催される旨の報告があった。

(7)神奈川県警察における不適正な経理処理について

官房長から、神奈川県警察において判明した不適正な経理処理について報告があった。

(8)福井県警察における不適正な経理処理に係る調査結果について

官房長から、福井県警察における不適正な経理処理に係る調査結果について報告があった。

(9)千葉県警察における不適正な経理処理に係る国費等の調査結果について

官房長から、千葉県警察における不適正な経理処理に係る国費等の調査結果について報告があった。

吉田委員より、(7)、(8)及び本件に関し、「不適正な経理処理について、毎回『預け金』という手口が報告されているが、これまでに一斉に検査したことはあるのか」旨の質問があり、官房長から、「会計検査院が、役所の帳簿と物品購入の契約先業者の売り掛け台帳を照らし合わせるという手法で検査を始めたことをきっかけとして、警察においても同様の手法で調査し、不適正な経理処理が複数の県警で判明した」旨の説明があり、吉田委員より、「今回報告を受けた以外の県でも不適正があるのか」旨の質問があり、官房長から、「まだ可能性はあると思う。神奈川や千葉の事案は、昨年の岩手の事案と並んで金額的にも大きく深刻である。報告されている不適正経理処理の手口には、会計上の便法である『前年度納入』や『翌年度納入』、それよりも質の悪い『差替え』、最も悪質な『預け金』という手口がある。担当者が『預け金』を着服して刑事事件になることもある。態様によって悪質性はいろいろ違うが、態様により処分を検討していきたいと思う」旨の説明があった。

田尾委員より、「神奈川県の場合は、『預け金』の金額が非常に多いし、他の県と違い、相当の部署で行われていたようだが、この差は何によるものか」旨の発言があり、官房長から、「県庁も含めた県の会計職員が従来からやっていた慣例のようなものがあるのではないかと思う。神奈川県警察の場合、特に問題なのは108所属のうち金券に換えている所属が80にも及んだことであり、他の県と比べても深刻だと思う」旨の説明があった。

髙木委員より、「警察官はこれらのことは良くないことだと広く認識しているのか」旨の質問があり、官房長から、「そうである。元々は便法を利かせ、現場のニーズに機動的に対応しようとしたのが慣行化されたのではないかと思う。しかし、特に『預け金』の場合は、何にでも使えるので、個人犯罪を誘発する危険性がある。いずれにしても、規定どおりに手続をするように徹底していきたいと思う」旨の説明があった。

葛西委員より、「効率的な経理事務と非違事案の発生する余地の除去という両方の要請を満たす知恵を出さないと大変だと思う」旨の発言があり、長官から、「難しいと思うが、財政当局が両方の要請を満たすような新しい手続を考えてくれればと思う」旨の説明があった。

10)アフガニスタン警察研修の実施について

官房長から、外務省及び独立行政法人国際協力機構(JICA)と協力し、2月16日から26日までの間、アフガニスタンの警察官20名を受け入れ、アフガニスタン警察研修の第2回目を開催する旨の報告があった。

11)監察の取扱い事案について

首席監察官から、1(5)で説明のあった、神奈川県警察の巡査が、拾得物として受理した現金を横領した事案に関し、同県警察は、2月5日、同巡査を懲戒免職処分とするとともに、監督責任として、上司ら5名を本部長訓戒等の措置とする予定である旨の報告があった。

12)児童ポルノ排除対策ワーキングチーム(第1回)の開催について

生活安全局長から、2月4日、都内において、「児童ポルノ排除対策ワーキングチーム」の第1回会合が開催される予定であり、警察庁からは、ワーキングチーム構成員として生活安全局長が出席する旨の報告があった。

13)凶悪・重大犯罪の公訴時効の在り方等に関する法制審議会部会における審議について

刑事局長から、公訴時効の在り方等に関し、法制審議会部会の中で、要綱骨子(案)が示された旨の報告があった。

髙木委員より、「公訴時効廃止等を施行前の事件にも適用するとの考え方については、報道によるといろいろ意見が出ているようだが、どのような議論が行われたのか」旨の質問があり、刑事局長から、「その点については意見が分かれているところである。国が例えば15年とあらかじめ約束をして、その下で犯意が生じて起こった犯罪の時効を後から延ばすのは、国の在り方からして問題であり、憲法に触れるのではないかという意見がある一方、例えば、昔発生した事件の犯人を今捕まえた場合、昔の手続で裁判しないのと同じで、その時点での時効制度を適用するという原則で問題ないという意見が多数ある。また、今苦しんでいる人の心情を考えるべきだとの意見がある。時効制度を廃止しても、これから25年先に初めて効果が出てくるというのは、国民の声との関係でやはりすべきではなく新法を適用すべきであるとの意見もある」旨の説明があり、葛西委員より、「常識的には時効成立前の事件であれば、新法が適用されてもおかしくはないような気がする。被害者の側に立つべきもので犯罪者の側に立つべきではないと思う」旨の発言があった。

田尾委員より、「公訴時効延長の改正が行われた5年前にもその問題が議論され、そのときは多数を占めるに至らず新法を適用しないこととなった。今回は、大きな転換を図るものであり、個人的には賛成であるが、被害者の声、世論の高まりが背景にあるのか」旨の発言があり、刑事局長から、「そのとおりである」旨の説明があった。

髙木委員より、「『被害者の声』というが、本当に被害者の声が代表されているのか。被害者の声は、多様ではないのか」旨の発言があり、刑事局長から、「それに関しては、部会の中でも同様の意見があった。議論のプロセスについて説明すると、6の被害者団体を対象にヒアリングを行った。その中には、被害者の苦しむ期間が長くなるという趣旨で時効制度の廃止又は延長に賛成しないという団体も1つあった。また、委員御指摘のように被害者もいろいろなのでこれを望む人だけではないという声もあった。さらに、パブリックコメントを行った結果、特に殺人を中心とする凶悪事件については、9割の人が時効制度の廃止又は延長を支持している。したがって、これらの意見を踏まえながら議論は進んでいる」旨の説明があった。

葛西委員より、「これまで被疑者の権利は守られてきたが、それに比べ、被害者の声は無視されてきたと思う。刑罰はある意味復讐的要素もあり、時効をなくしてほしいという声が多いのは自然だと思うし、理解できる。殺人事件の被害者の声は意外に無視されているような感じがする。本当は、他の罪種についてももっと時効を延長しても良いのではないかと思うが、いろいろな意見があると思う」旨の発言があった。

14)睡眠導入剤等使用による殺人等事件について(鳥取県警察・埼玉県警察)

刑事局長から、平成21年10月6日に鳥取県鳥取市内で発生した強盗殺人事件及び同年8月5日に埼玉県富士見市内で発生した殺人事件について、捜査状況等の報告があった。

15)福岡県副知事らによる福岡県後期高齢者医療広域連合設立をめぐる贈収賄事件の検挙について(福岡県警察)

刑事局長から、福岡県副知事らによる福岡県後期高齢者医療広域連合設立をめぐる贈収賄事件の検挙について、捜査状況等の報告があった。

16)講習予備検査制度導入後6ヶ月の結果について

交通局長から、平成19年改正道路交通法の施行により、平成21年6月1日から導入された講習予備検査の施行後6か月の実施状況や、講習予備検査の結果「記憶力・判断力が低くなっている」と判定され、信号無視や一時不停止等の特定の交通違反を行った者のうち、免許証の更新を行った者に対して実施する臨時適性検査の実施状況及び処分状況(平成21年12月末現在)等について報告があった。

17)全教「第27回定期大会」をめぐる動向と警察措置について

警備局長から、2月13日及び14日、都内において開催される全教(全日本教職員組合)の「第27回定期大会」に対して、右翼は、全教批判の街頭宣伝活動等に取り組むものとみられることから、所要の警戒警備を実施する旨の報告があった。

18)P2P観測システムの運用について

情報通信局長から、多数の違法ファイルが流通するファイル共有ネットワークの実態を把握するため、1月1日、P2P観測システムの運用を開始した旨の報告があった。

3 その他

(1)官房長から、委員長が行う記者会見への出席の基準について説明があり、その内容を了承した。

葛西委員より、「記者会見に出席できる者の範囲は他省庁ではどうなっているのか」旨の質問があり、官房長から、「従来どおりとしているところもあれば、外務省のように範囲を広げているところもある」旨の説明があり、葛西委員より、「変更しないで従来どおりとすることもできるのか」旨の質問があり、また、吉田委員より、「警察庁記者クラブはどう考えているのか」旨の質問があり、官房長から、「警察庁の記者クラブは、記者会見は原則的にオープンという立場である。警察庁は治安機関であり、庁舎管理及びセキュリティの観点から、出席できる者の範囲を制限する必要があると考える」旨の説明があった。

田尾委員より、「記者会見は、国家公安委員会の主催というスタンスで基準を決めれば良いのではないか」旨の発言があり、官房長から、「他省庁では、記者クラブ主催というのが多いが、警察庁では国家公安委員会の主催だと説明している」旨の説明があった。