定例委員会の開催状況

第1 日 時 平成22年2月25日(木)

午前10時00分 午前11時45分

第2 出席者 中井委員長、吉田、葛西、長谷川、田尾、髙木各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、

警備局長、情報通信局長

首席監察官

第3  議事の概要

  議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「3月12日付けを始めとする地方警務官等394名の人事案件について発令していただきたい」旨の説明があり、原案どおり決定した。

(2)警察庁予算監視・効率化チームについて

官房長から、2月25日、国家公安委員会委員長をチームリーダーとする警察庁予算監視・効率化チーム等を設置することとしたい旨の説明があり、原案どおり了承した。

吉田委員より、「大臣政務官は、警察庁予算監視・効率化チームのチームリーダーになれるのか」旨の質問があり、官房長から、「大臣政務官の職務は、大臣を助け、政務を処理することとなっているが、チームの業務は、公安委員会の権限そのものの管理にかかわるようなものであるので、理屈上、チームリーダーにはなれないこととなると思う。各府省の副大臣で構成されるチームリーダー会合には、大臣の命を受けて、政務を処理するという形で、大臣政務官に出席していただくことになると思う」旨の説明があった。

田尾委員より、「1年前に、前政権の時代の行政支出総点検会議の指摘事項を受けて、官房長を室長とする警察庁支出点検担当室を設置したと思う。各省庁横並びで一斉に作ったものだが、1年経過してどんな成果があったのか。今回の予算監視・効率化チームの任務と重複しているのであれば、従前のものは廃止しても良いと思うが、どうか」旨の質問があり、官房長から、「御指摘を踏まえ、報告させていただきたい」旨の説明があった。

委員長より、「それはまだ存在しているのか」旨の質問があり、官房長から、「廃止はしていない。いわゆる無駄撲滅を目的として設置したものである」旨の説明があり、委員長より、「各省庁で成果と任務の違いがどう出ているのかを点検させて、重複がないようにしたい。支出点検担当室についても成果はあったと思うので、その成果を検証してもらい、新しいチームがどういう違いで事務を行うのかはっきりさせるよう内閣に申し上げることとしたい」旨の発言があった。

(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

  報告事項

(1)警察庁長官に対する開示請求の決定等について(行政機関情報公開法関係)

官房長から、警察庁長官に対してなされた行政機関情報公開法関係の開示請求の決定について報告があった。

(2)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(3)「規制改革要望」の再検討について

官房長から、内閣府から依頼のあった「規制改革要望」の再検討の状況について報告があった。

(4)神奈川県警察における不適正な経理処理について

官房長から、2月26日、神奈川県庁が設置した「不適正経理調査部会」が、同部会の上部組織である「神奈川県職員等不祥事防止対策協議会」に対して、県庁及び県警察における不適正な経理処理の調査結果を報告する予定である旨の報告があった。

吉田委員より、「今日の報告を受けて大変気になっている。先般千葉においても同じような問題があり、不適正に経理処理された総額が大きかったが、『預け金』等を着服した事案はなかったという報告であった。ほかにも先般どこかで着服した事案が1件あったと思うが」旨の発言があり、官房長から、「千葉では県庁で、岩手では県警であった。それから神奈川については、多数の金券が確認されているので、金券の最終的な使途を解明し、それによって然るべく処分を考えたい」旨の説明があり、吉田委員より、「どこかの県で不適正な経理処理が発見されると、必ず県警でも確認されるということが何回も繰り返されている感じがある。不適正な経理処理をしないようにその都度指導しているが、これが止まらないのが非常に気になる。将来の展望をどう考えているのか」旨の発言があり、官房長から、「平成19年度予算執行について会計検査院が業者側の帳簿と照らし合わせるという手法を導入してから、不適正な経理処理が明らかになってきた。警察庁も会計監査のときには同様の手法で見ており、警察庁の監査で判明したものもある。いずれにしても、できるだけ早く、警察全体で適正な状態にしたいと思う」旨の説明があり、長官から、「警察庁としては、警察全体を挙げて不適正な経理処理を完全に一掃する決意である」旨の説明があった。

(5)監察の取扱い事案について

首席監察官から、埼玉県警察の巡査長が青少年にわいせつな行為をしたとして、2月2日に通常逮捕された事案等に関し、同県警察は、2月24日、同巡査長を懲戒免職処分とした旨の報告があった。

(6)平成21年中における生活経済事犯の検挙状況について

生活安全局長から、「平成21年中における生活経済事犯の検挙状況をみると、資産形成事犯及び食の安全に係る事犯の検挙事件数がそれぞれ統計開始以降最多となるなどの特徴があった。警察としては、消費者の目線に立って、生活経済事犯への対策の強化を図ってまいりたい」旨の報告があった。

(7)美容外科医師団体等からの指名手配被疑者に関する情報提供の促進について

刑事局長から、警察庁は公開捜査を行っている指名手配被疑者の中から、必要に応じて顔写真等の情報を美容外科手術を行っている医師の団体に提供するなど指名手配被疑者に関する情報提供の促進に向けた取組みを強化する旨の報告があった。

(8)平成21年中の薬物・銃器情勢について

刑事局長から、「平成21年中の薬物情勢については、覚せい剤事犯及び大麻事犯の検挙人員が増加するとともに、覚せい剤の密輸事犯の検挙や3年連続300キロ以上の押収など、国内への流通前の押収に一定の成果がみられた。一方、銃器情勢については、銃器発砲事件数及び死者数は減少した。また、暴力団員等からのけん銃の押収丁数が減少し、潜在するけん銃等銃器の押収の徹底を図る必要がある」旨の報告があった。

(9)平成21年の来日外国人犯罪の検挙状況について

刑事局長から、平成21年の来日外国人犯罪の検挙状況、国籍別・在留資格別・罪種等別の特徴、犯罪インフラ事犯の検挙状況等について報告があった。

葛西委員より、「先ほど偽装認知事犯について報告があったが、偽装認知というのは、DNAを調べれば、すぐに分かるのではないか。DNAを調べていないのか」旨の発言があり、刑事局長から、「認知届の受理時にはDNAによる親子関係の証明を求めていない。日本人男性が日本人女性との間の子供を認知する際、DNAによる証明は求められていないため、外国人女性との場合だけ親子関係の証明を求めるというのはどうかという議論があったと思う。この制度ができるときに、国会でもいろいろ議論され、現在の制度になっている」旨の説明があり、葛西委員より、「偽装認知が問題となっているのが外国人女性との場合が多いのであれば、DNAによる証明を求めた方が良いのではないのか。犯罪の疑いがあり、確かめる方法があるのにそれを求めないのは、効率が悪いと思う。偽装認知の可能性があれば、直ちに科学的で客観的な方法で調べるべきではないのか。国会でも議論があったことは分かったが、これは再度きちんと主張しておくべきことだと思う」旨の発言があり、委員長より、「委員御指摘のとおりだと思う。DNAによる証明を求めるように法務省に申し入れれば良いのではないか」旨の発言があった。

10)平成21年中の交通事故の発生状況について

交通局長から、平成21年中の交通事故の発生状況について、人口10万人当たりの負傷者数は若年層が最も多く、年齢が高くなるにつれ減少するが、死者数は高齢層が多くなっている等の分析結果について報告があった。

11)第4次出入国管理基本計画(案)について

警備局長から、法務大臣が策定した第4次出入国管理基本計画(案)の概要及び今後の予定について報告があった。

葛西委員より、「出入国管理基本計画の基本ポイントの中で『持続的に発展するとともに、アジア地域の活力を取り込んでいくとの観点から、積極的な外国人の受入れ施策を推進していく』とあるのは良いことだと思うが、マイナス面もあると思う。積極的に外国人を受け入れている米国、英国、ドイツ、フランスといった国では既に問題となっており、入国時等様々なところで言語能力あるいはその国の文化に対する理解度を試すなどいろいろ行っている。この基本計画(案)においてそのことについて一言も触れられていないのはおかしいと思う」旨の発言があり、警備局長から、「御指摘の点については、基本計画(案)で触れられているポイント制導入の検討の部分が該当すると思うが、諸外国の制度も調査しながら、受け入れる外国人の語学能力あるいはいろいろな職務経験等をポイント化し、優遇する制度の導入が検討されている」旨の説明があり、葛西委員より、「それは是非実施していただきたい。最近、米国人の学者と意見交換をしたが、米国では、英語教育を義務化できていないため、他国からの移住者が米国の治安に悪影響を及ぼしているという話であった。また、英国では、生まれた子供に付けられた名前で一番多かったのは移住者の子供によく付けられる名前であるということであり、白人人口が、毎年約40万人ずつ海外に移住するため、減少しているという話を聞いた。その事実の真偽は確認していないが、外国人を積極的に受け入れている国であっても、入国時に条件を付して、外国人の入国を抑えようとしているのではないか。外国人を積極的に活用するという施策を実施すると同時に受入れを抑えようとしている国が既にあることを、治安を預かる立場から主張すべきであると思う」旨の発言があり、警備局長から、「そういう観点から、入国時及び入国後の不法滞在者の対策をとりたいと思う」旨の説明があり、長官から、「欧州でも、移住者家族の2世、3世の問題がある。同化させようとしてもなかなか難しいということである。日本では、定住者、永住者等の資格で既に30万人のブラジル人が来ているが、親は日本語があまりできず、一方、子供は母国語に難があるので、親子のコミュニケーションが難しくなって、そしてドロップアウトする少年が出るということが現実に起きている。移住者家族の問題や単純労働者についていろいろ考えなければいけないと思う」旨の説明があった。

委員長より、「警察の所管外かもしれないが、基本計画(案)にある難民の受入れに関する項目について、難民を受け入れないことを前提とした国というのは恥ずかしいと思う。難民を受け入れるためのルールを作り、早期に受け入れた方が良い。難民を受け入れないことを前提としたルールにする考え方は駄目だと思う」旨の発言があった。

髙木委員より、「この計画は何年くらい先までを想定しているのか」旨の発言があり、警備局長から、「今後5年程度である」旨の説明があり、髙木委員より、「おそらく2、3年の間は、失業率はそう下がらないと思っている。労働市場がデフレ型になっている中で、積極的に外国人を受け入れるという方針についてはいろいろと言われているが、雇用市場の関係、とりわけ単純労働者についてはどういう議論になっているのか」旨の発言があり、警備局長から、「基本的には、専門的知識や技術技能を有する外国人、高度人材を受け入れる。そこで先ほど説明したポイント制度を導入し、資格、言語能力等いろいろな能力をポイント化して高いポイントを持った外国人を受け入れようということである。単純労働者については特に触れられていない」旨の説明があった。

髙木委員より、「企業で雇用される外国人に係る在留資格の見直しについては、単純労働者とされないようにして、安く使える外国人を受け入れたいというのが意図ではないか。また、人口減少について、15年後20年後の話とここ数年の話につき、それぞれどういう認識に基づいて、こういう計画が立てられているのか。未だに中国経済は発展していると言われているが、安易に広げたら、供給圧力はおそらく数百万、1千万人を超えることが想定されると思う。それを前提にして議論されていないのではないか。犯罪にも大きく関係してくるのではないかと思う」旨の発言があり、警備局長から、「研修・技能実習制度を悪用し、外国人を安く雇用している例もあるが、昨年の入管法の改正により、そういう雇用主にも労働関係法令が適用されることとなり、また、いわゆるブローカー的な者に対して厳しく取締りを行っている。したがって、高度な知識経験ある外国人を受け入れ、高度な知識経験がない、今まで研修・技能実習制度で受け入れてきた外国人については人権を保護しつつきっちり規制をしていくという二段構えで考えている」旨の説明があり、長官から、「少子化対策としての面が多少あると思う。これは、国家百年の計にかかわることなので、将来のためにいろいろな議論をした方が良いと思う」旨の説明があった。

3 その他

(1)官房長から、平成16年1月に東京都足立区内で発生した女性監禁殺人事件に関し、警察の捜査懈怠等により被害者の殺害という結果が生じたとして被害者の両親が提起していた民事訴訟について、平成22年2月24日、東京高等裁判所において、捜査権限不行使の違法性等を認め、東京都に慰謝料の支払を命ずる判決が出された旨の報告があった。