定例委員会の開催状況

第1 日 時 平成22年3月18日(木)

午前10時00分 午前11時40分

第2 出席者 中井委員長、吉田、葛西、長谷川、田尾、髙木各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、

警備局長、情報通信局長

総括審議官

第3  議事の概要

  議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「3月31日付けを始めとする地方警務官20名の人事案件について発令していただきたい」旨及び「4月15日付け暴力団対策法審査専門委員11名の任命について発令していただきたい」旨の説明があり、原案どおり決定した。

(2)「国家公安委員会及び警察庁における政策評価に関する基本計画(案)」等について

官房長から、「国家公安委員会及び警察庁における政策評価に関する基本計画(案)」、「平成22年度政策評価の実施に関する計画(案)」、「平成22年度実施評価計画書(案)」及び「総合評価書 G8司法・内務大臣会議等における国際的な枠組みを活用した治安対策の推進(案)」について説明があり、原案どおり決定した。

(3)平成22年度における留置施設の巡察に係る実施要領等について

官房長から、刑事収容施設法の規定に基づいて行う平成22年度における留置施設の巡察に係る実施要領等について説明があり、原案どおり決定した。

(4)平成22年度における被疑者取調べ監督に関する実地点検及び指導に係る実施要領等について

官房長から、取調べ適正化規則の規定に基づいて行う平成22年度における被疑者取調べの監督に関する実地点検及び指導に係る実施要領等について説明があり、原案どおり決定した。

(5)警備業の要件に関する規則等の一部を改正する規則案について

刑事局長から、金融商品取引法等の一部を改正する法律の施行に伴い、改正後の金融商品取引法に規定する「不正の手段により信用格付業の登録を行う罪」等に当たる行為を、警備業の要件に関する規則に定める「暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で国家公安委員会規則で定めるもの」に追加すること等を内容とする規則案に対する意見公募の実施結果及び同規則案について説明があり、原案どおり決定した。

(6)平成22年度国家公安委員会・警察庁交通安全業務計画について

交通局長から、交通安全対策基本法により、交通安全基本計画に基づき毎年度策定することとされている国家公安委員会・警察庁交通安全業務計画について説明があり、原案どおり決定した。

(7)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、一部修正の上、その内容を了承した。

  報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)平成22年警察白書について

総括審議官から、今後取りまとめ予定の平成22年警察白書の概要等について報告があった。

(3)平成22年度会計監査実施計画について

官房長から、平成22年度会計監査実施計画について、重点項目、対象部署、実施時期等の報告があった。

田尾委員より、「これまで捜査費及び旅費についてはしっかり監査が行われていると思うが、契約については、警察庁だけではなく、各都道府県においても独自に監査を行ってきたにもかかわらず、問題点が指摘できていない。今回の会計監査では、契約についても十分留意して監査をやっていただきたい。また、岩手、千葉及び神奈川において契約をめぐる不適正な経理処理があったが、これらの事案を踏まえた再発防止策は、今回の監査の対象にはなっていないのか」旨の発言があり、官房長から、「会計検査院による監査ばかりではなく、警察庁の監査においても契約に係る不適正な経理処理を指摘した例もあるが、御指摘のとおり、不十分な面があったことは否定できないことから、いわゆる『預け金』等の問題を含め、契約関係については、引き続き重点を置いて監査をしていきたいと思う。また、再発防止策については、今回の監査の対象となっている。物品が実際にあるのかどうかを対照して確認することを徹底していくことで、同種の問題の発生を防げるのではないかと思う」旨の説明があった。

田尾委員より、「先般の神奈川県の場合では、職員アンケートを実施した結果、『預け金』があることが判明したが、従来の監査で見つけられなかったのは、書類上の間違いがなかったというばかりではなく、担当者も事実を言わなかったということなのか」旨の発言があり、官房長から、「そうだと思う」旨の説明があり、長官から、「今後、徹底した会計監査を行うこととしたい」旨の説明があった。

(4)神奈川県警察に係る公文書一部公開決定処分取消請求訴訟の第一審判決について

官房長から、3月17日に言い渡された神奈川県警察に係る公文書一部公開決定処分取消請求訴訟の第一審判決について報告があった。

(5)警察庁長官と韓国警察庁長との会談結果について

官房長から、3月15日に大韓民国・ソウル市で行われた警察庁長官と韓国警察庁長との会談の結果について報告があり、長官から、「今回、日韓両国の警察トップが、犯罪対策について踏み込んで議論したということは有意義だったと思う。今回の会談により、日韓警察の協力関係は、新たな段階に入る礎ができたという感想を持っている。今後は、今回の合意をフォローアップしていくことが大切であると思う。参考ではあるが、韓国では少子化が進み、人口が減少していることもあって、近年外国人労働者を多く受け入れており、日本にあるような外国人集住地区もできている。興味深かったのは、農村部など地方でも外国人居住者の数が増加していることである。日本よりもかなり早いペースで多文化が共存する社会になってきているという印象を受けた。これらの点を踏まえ、日本警察が行っている外国人集住地区対策などについてもお互いの知見を共有しようという話もしたところである」旨の説明があった。

吉田委員より、「韓国では、全ての国民が指紋を登録しているようだが、それによって、犯罪の、特に凶悪犯の検挙率が向上したといったことはあるのか」旨の質問があり、刑事局長から、「韓国における指紋登録は、住民登録上の手続であるが、犯罪捜査にも使えるとのことである。韓国が発表している検挙率は、一般刑法犯で70パーセント台であったと思うが、ここでいう検挙率は日本のものとは随分違うようである。今回、外国法制研究の一環としてその詳細について調査したところ、韓国における検挙率には、日本とは異なり、被疑者が不詳で事件を送致した数も含めていることが分かった。日本と同じ意味での検挙率については、現在調査中である」旨の説明があった。

(6)国際緊急援助隊救助チームのIEC検定「重」認定について

官房長から、国際緊急援助隊救助チームは、3月9日から12日にかけて受検したIEC検定において、「重」の評価が認定された旨の報告があった。

委員長より、「今回の国際緊急援助隊の『重』認定はすばらしいことである。表彰関係はどうなっているのか」旨の発言があり、官房長から、「警察から派遣されているメンバーについては私からの表彰と委員長への表敬を考えている」旨の説明があり、委員長より、「スケジュールが合えば、委員にも立ち会っていただき、表敬を受けたい」旨の発言があった。

(7)平成21年中のストーカー事案及び配偶者からの暴力事案の対応状況について

生活安全局長から、平成21年中のストーカー事案及び配偶者からの暴力事案の対応状況について報告があった。

(8)平成21年中の「インターネット・ホットラインセンター」の運用状況について

生活安全局長から、「インターネット・ホットラインセンター」では、平成21年中、27,751件の違法情報、6,217件の有害情報を受理するとともに、サイト管理者等に削除依頼し、違法情報については88パーセント、有害情報については78パーセントが削除された旨の報告があった。

(9)「資産形成事犯対策ワーキングチーム」の設置について

生活安全局長から、「詐欺的なファンドによる資産形成事犯が後を絶たないことから、警察庁、金融庁及び証券取引等監視委員会を構成員とし、首都圏警察及び関東財務局をオブザーバーとする『資産形成事犯対策ワーキングチーム』を設置することとした。関係機関間での情報共有を密にし、効果的・効率的な取組みを行っていくことで、悪質ファンド等の撲滅及び被害の拡大防止を図ってまいりたい」旨の報告があった。

葛西委員より、「資産形成事犯の対策をとることは大事だと思うが、例えば、世の中の常識を越えるようなうまい話があれば、それは作り話であることなどを知らしめるための広報啓発活動をすることも大事だと思う。振り込め詐欺対策でもやっていたような防犯対策を更に多様化させるなど、被害を防止するためのより良い方策について検討すると良いのではないか。その一方で、戦略的に取締りを強化するのが良いと思う」旨の発言があり、生活安全局長から、「御指摘を踏まえ、事件の摘発検挙を推進する一方で、被害防止のための広報啓発活動、注意喚起等の方法について更に工夫をしていきたい」旨の説明があった。

委員長より、「今回のワーキングチームに国税庁は入っていないのか」旨の質問があり、生活安全局長から、「今回の枠組みは、具体的な被害事例や相談事例を持ち寄り、被害の拡大防止等のための具体的対策を検討するものであることから、とりあえずこの枠組みで検討を始めたいと考えている。今後この枠組みでは不十分な点があれば、ワーキングチームの構成員についても柔軟に検討したい」旨の説明があり、委員長より、「国税庁も関連情報を持っていると思われるため、別の枠組みでも良いので、連携をとれる仕組みを考えた方が良いのではないか」旨の発言があった。

10)消費者安全の確保に関する基本的な方針について

生活安全局長から、内閣総理大臣が、消費者安全法の規定に基づいて策定する「消費者安全の確保に関する基本的な方針」について報告があった。

11)暴力排除活動関係者宅に対するけん銃発砲事件の発生について

刑事局長から、暴力排除活動関係者宅に対するけん銃発砲事件の発生について、事案概要等の報告があった。

葛西委員より、「被害者宅に警察官による24時間の固定警戒を実施するということだが、例えば、極左暴力集団等が同時多発的に複数の場所を攻撃する場合、警察はどう対処するのか」旨の発言があり、長官から、「警備当局では、いろいろな脅威を想定して、できるだけ幅広く情報を収集している。事前の情報があればそれに応じた対策を講ずることができると思う。突発的に発生した場合は、各都道府県において、直ちに警備を実施することとなる」旨の説明があった。

委員長より、「今回のような事件があると、すぐに恐怖心が一般国民に広がっていくこととなるので、これに対してどう対応するのかということを課題として考えていただきたい。また、今回の事件は徹底的に捜査して、早期に解決できるように頑張っていただきたい」旨の発言があり、刑事局長から、「暴力団の威嚇には絶対に屈しないことを示すためにも、徹底的に取締りを行っていきたい」旨の説明があった。

12)天皇皇后両陛下の第14回国際内分泌学会議オープニングセレモニー御臨席等(京都府)に伴う警衛警備について

警備局長から、天皇皇后両陛下は、3月25日から28日までの間、第14回国際内分泌学会議オープニングセレモニー御臨席等のため、京都府へ行幸啓になる予定であり、これに伴い、所要の警衛警備を実施する旨の報告があった。

13)情報技術解析平成21年報(インターネット観測結果等)について

情報通信局長から、平成21年におけるインターネットに接続されている全国の警察の観測拠点におけるサイバー攻撃等の検知状況及びその主な特徴等について報告があった。

3 その他

(1)生活安全局長から、前回の定例会議において吉田委員より質問があった青色防犯パトロール車両が青色回転灯を点灯して走行できる地域について報告があった。

 吉田委員より、「この件については了解したが、一般論として、今後の日本にとって防犯ボランティアの活動は大変重要だと思う。一つには財政上の制約がある中、コスト節約の面からも大事だと思うし、有名なケネディ大統領の就任演説の中に出てくる『国家が国民に何ができるかよりも、国民が国家に何ができるかを考えよ』という精神にも合致していると思うので、今後ともいろいろな面で拡充していく必要があると思う。その際、特に防犯活動というのは官民共働プロジェクト的な要素があるが、民間側は、いろいろな規制や手続を要求されてしまうと、『面倒だ』という感じを抱きがちだ。やはり長く活動してもらいたいので、民間の文化も反映したやり方を考えていくことも必要ではないかと思う」旨の発言があった。

(2)髙木委員より、「沖縄県名護市で発生した米軍人によると思われるひき逃げ事件について報道されているが、捜査状況はどうなっているのか」旨の質問があり、交通局長から、事案概要等について説明があり、委員長より、「沖縄県警察に、全容解明に向け捜査を尽くすよう伝えていただきたい」旨の発言があった。