定例委員会の開催状況

第1 日 時 平成22年3月25日(木)

午前10時00分 午前11時10分

第2 出席者 中井委員長、吉田、葛西、長谷川、田尾、髙木各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、

警備局長、情報通信局長

首席監察官、国家公安委員会会務官

第3  議事の概要

  議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「4月1日付地方警務官2名の人事案件について発令していただきたい」旨の説明があり、原案どおり決定した。

(2)国家公安委員会に対する審査請求に関する裁決について

国家公安委員会会務官から、岩手県公安委員会からの苦情申出に係る処理結果の通知を処分ととらえ、国家公安委員会に対してなされた審査請求について、同請求を却下する裁決を行い、請求人に送達することとしたい旨の説明があり、原案どおり決定した。

(3)監察の取扱い事案について

首席監察官から、愛知県警察の警部補が、取調べ室で詐欺被害者の女性に対してわいせつな行為をしたとして、2月23日に通常逮捕された事案に関し、同県警察は、国家公安委員会の了承が得られれば、3月26日、監督責任として、地方警務官の警察署長を本部長注意の措置とする予定である旨の説明があり、原案どおり了承した。

(4)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

  報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)警察庁予算監視・効率化チームの外部有識者について

官房長から、2月25日に設置した警察庁予算監視・効率化チームの外部有識者として4名を委嘱することとした旨の報告があった。

(3)契約における実質的な競争性確保に向けた取組状況について

官房長から、契約における実質的な競争性確保に関する緊急実態調査を踏まえた取組状況について報告があった。

(4)監察の取扱い事案について

首席監察官から、1(3)で説明のあった愛知県警察の警部補の事案に関し、同県警察は、3月26日、同警部補を懲戒免職処分とする予定である旨及び福岡県警察の警部が、強制わいせつをしたとして通常逮捕された事案等に関し、同県警察は、3月25日、同警部を懲戒免職処分とするとともに、監督責任として、当時の上司を本部長注意の措置とする予定である旨の報告があった。

(5)平成21年度における総合セキュリティ対策会議の取組状況について

生活安全局長から、総合セキュリティ対策会議では、平成21年度、「インターネット・オークションにおける盗品の流通防止対策」について検討を行った結果を報告書に取りまとめたこと、これまでの総合セキュリティ対策会議の提言により発足した「児童ポルノ流通防止協議会」及び「ファイル共有ソフトを悪用した著作権侵害対策協議会」の取組みについて報告があった。

葛西委員より、「『児童ポルノ流通防止協議会』の取組みに関して、ブロッキングの実施には、通信の秘密に関わる訴訟リスクがあるとのことであるが、どのような意味か、また、誰を訴えるのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「ブロッキングにはいくつかの方法があるが、いずれの場合にも、利用者が児童ポルノサイトを閲覧しようとしていることを認知する必要があり、プロバイダーにとって、そのような情報を得ることが『知得』に当たるほか、当該サイトを閲覧させないようにするために、警告サイトに引き渡すことが『窃用』に当たるとされているから、これらの行為が通信の秘密の侵害に当たるとして、訴訟が提起されるリスクがあり得るとする。ブロッキングをしたプロバイダーは、利用者から訴えられることを危惧している」旨の説明があった。葛西委員より、「元々の行為が違法なインターネットサイトを閲覧しようとしているのに、形式的な論理でもって訴訟を提起されるリスクがある、というのはいかがなものか。児童ポルノサイトにアクセスすること自体を犯罪化することを考えてもよいと思う」旨の発言があり、田尾委員より、「そもそも、今回の議論を見ていると、児童ポルノをめぐる実態や実質を直視せず、非常に細かな議論をしすぎている印象がある。もう少し実質に照らして議論していく方向で良いのではないか。そういう議論を抜きにして緊急避難とか正当行為というのは、議論の方向として間違いである」旨の発言があり、委員長より、「委員御指摘の件に関しては、与党内でも議論してまいりたい。世界的に見ても、日本には数多くの児童ポルノサイトが存在しており、そのような状況は実に情けないことだ」旨の発言があり、長谷川委員より、「ブロッキングを実際に行っている国も少なくない。他の国ではそのような措置を行っているのに、実際に被害者となっている子供を守ることより、『通信の秘密を守ることの方が大事だ』という価値観は間違いである」旨の発言があり、委員長より、「皆さんの御意見を参考にしたい」旨の発言があった。

(6)新たな消費者基本計画について

生活安全局長から、消費者政策会議が案を策定し、閣議決定される新たな消費者基本計画について報告があった。

(7)DNA型データベースの記録の誤りに基づく捜査着手事案について(神奈川県警察)

刑事局長から、DNA型データベースの記録の誤りに基づく捜査着手事案について、事案概要等の報告があった。

田尾委員より、「こうした誤りは、DNA型のデータベースの信頼性を損なう重大なものであるので、その再発防止が重要なのは当然であるが、今後、DNA型のデータベースの活用を広げようとしているところであるので、その方向性に水を差さないよう、しっかり検証していただきたい。ところで、このようなDNA型鑑定用資料の保管・管理に関しては、各都道府県警察がそれぞれ独自の方法で行っているのか」旨の発言があり、刑事局長から、「基本的にどのようなやり方で行うかについては各都道府県警察に任せている部分が多い。使用するDNA採取キットや、鑑定の作業工程についても、各都道府県警察で違いがある。これを機会に、警察庁として、もう少し統一的な取扱いのマニュアル、基準を各都道府県警察に対して示していきたいと考えている。特に、採取キットについては、誤りの発生するリスクの低いものへ、早急に全国的に統一させる方針である」旨の説明があった。

3 その他

(1)官房長から、行政事業レビューの実施について報告があった。

(2)刑事局長から、3月7日に警視庁城東警察署で発生した行政解剖対象死体取り違え事案について、事案概要等の報告があった。

(3)警備局長から、平成7年3月30日に発生した「警察庁長官狙撃事件」については、このまま被疑者が検挙されない場合には、3月30日に時効を迎えることとなり、警視庁においては、同日、事件を東京地方検察庁に送致するとともに、捜査の概要を公表する予定である旨の報告があった。

   吉田委員より、「この事件から警察が得た教訓はどのようなものか。また、その改善策は講じられたのか」、委員長より、「國松元長官への説明は行ったのか」旨の質問があり、警備局長から、「捜査結果のまとめとともに、教訓や改善策についても、現在警視庁において鋭意まとめており、合わせて公表する予定である。これらについても、追って報告させていただきたい。また、國松元長官に対しては説明済みである」旨の説明があった。

葛西委員より、「この事件では、國松元長官の判断によりSPを付けていなかったことが、犯人の犯罪の実行をしやすくし、発生直後における犯人の検挙を困難にした一因となったのではないか」旨の発言があり、警備局長から、「制度上、SPを付けるか否かは警察庁長官が判断することになっており、その最終的な判断は長官が行ったものではあるが、結果として当時の警備当局の情勢への対応が十分でなかったということになる」旨の説明があり、葛西委員より、「警察庁長官や警察本部長のように組織の先頭に立って犯罪と戦う立場の者は、常に相手からの攻撃を受ける可能性があるのであり、常に、組織的に護衛、防護すべきである。それが行われていなかったというのは、警察側の危機管理意識が欠落していたのではないか、と感じる。例えば、移動の際には勤務中・休日を問わず公用車を利用する必要があると思うし、そうしたことをあらかじめルール化しておけば良いと思う」旨の発言があり、委員長より、「議員にもSPを辞退する者がいたと聞いたので、『それは困る』と人を介して申し上げたことがある。また、一方で強い希望があり、必要と認めてSPを付けた場合もある。そもそも、国家の重要人物に対する警護の大半を警視庁のみに委ねている状況がよいのかということや、防衛大臣の警護を、自衛隊でなく警察が行うべきものなのかといった問題意識も持っている。現行制度の枠内でもできることがあると思うので、是非、委員の皆さんにも一度御議論いただきたい」旨の発言があった。