定例委員会の開催状況

第1 日 時 平成22年4月8日(木)

午前10時00分 午前11時05分

第2 出席者 中井委員長、吉田、葛西、長谷川、田尾、髙木各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、

警備局長、情報通信局長

第3  議事の概要

  議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「5月10日付け地方警務官3名の人事案件について発令していただきたい」旨の説明があり、原案どおり決定した。

(2)犯罪による収益の移転防止に関する法律第17条第1項の規定に基づく意見陳述の実施について

刑事局長から、犯罪による収益の移転防止に関する法律第17条第1項の規定に基づく意見陳述の実施についての説明があり、原案どおり決定した。

(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

  報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)首都圏における痴漢事犯対策強化期間の実施について

生活安全局長から、首都圏における痴漢事犯対策強化期間の実施についての、新年度を迎え、鉄道事業者と警察が協働し、警視庁、埼玉県警察、千葉県警察及び神奈川県警察の4都県において、電車内における痴漢事犯の検挙及び抑止対策の強化に取り組んでいく旨の報告があった。

委員長より、「痴漢被害にあったがその場で声を上げることができず、数日後に被害を訴え出る、というケースもあると思うが、防犯カメラで撮影した画像データは、どの程度の期間保管するのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「現在は試験運用中であるが、本格実施以降は1週間程度保管することになると考えられる。被害者となる女性の中でも、高校生については、被害にあったことについてしばらく悩み、保護者にまず相談し、翌日以降に警察に届け出るケースがある」旨の説明があり、委員長より、「防犯カメラで撮った画像が1週間程度しっかり残っているということを広報するなどすれば、訴える可能性も広がると思う」旨の発言があり、葛西委員より「防犯カメラを付けているというアナウンス効果による抑止力が期待できる。また、痴漢という犯罪には常習性があると思うので、『いつも同じ人物の顔が画像として残っている』という状況があれば、その者の犯罪を疎明しやすくなると思う。そのためには、1週間では足りなくて、1か月ぐらいは保管すべきではないかと思う」旨の発言があり、生活安全局長から、「被害の届出状況等の実態からは、1週間程度保存しておけば、まず捜査上の支障はないものと考えている」旨の説明があった。

(3)常習飲酒運転者に講ずべき安全対策に関する調査研究の結果について

交通局長から、平成20年度及び21年度で警察庁において実施した『常習飲酒運転者に講ずべき安全対策に関する調査研究』の結果について報告があった。

田尾委員より、「飲酒運転をして免許取消しになった者が、再度免許を取得し、さらに飲酒運転で検挙されることが多いという統計的なものはあるのか」旨の発言があり、交通局長から「それはある。検挙される者の中には、アルコール依存症に近い者もいる」旨の説明があり、葛西委員より、「アルコール依存症になってしまった者は周囲が注意していても隠れて酒を飲んでしまう。飲酒の習慣が止まらないとすると、費用をかけて講習を行うことは、税金の無駄遣いかもしれない。また、アルコール依存者について、医者が完治したと診断書を出さなければ免許を与えないのか、それとも、治療の実績があれば良いのか」旨の発言があり、交通局長から、「講習において、呼気検査とスクリーニングテストの結果、点数が高い者に対しては、アルコール依存症の可能性があるので治療するよう、指導を行う。それでもアルコール依存症が疑われる者に対しては、臨時適性検査を行う」旨の説明があり、委員長より、「飲酒運転を行うような者には、もう免許を取得させないなどの厳しい処分を考えるべきではないか」旨の発言があり、長官から、「飲酒運転に対しては、基本は厳罰で臨んでいるので、法に基づいて、きちんと制裁を行ってから、それ以降の指導を行うこととしている」旨の説明があった。

(4)鳩山内閣総理大臣の米国訪問(核セキュリティサミット出席等)に伴う警護警備について

警備局長から、「鳩山内閣総理大臣は、4月12日()から4月14日(水)までの間、核セキュリティサミット出席等のため、米国・ワシントンを訪問する予定であり、所要の警護警備を実施する」旨の報告があった。

3 その他

(1)刑事局長から、名張毒ぶどう酒事件再審請求に係る差戻し決定について、その内容に関する報告があった。

   委員長より、「この事件の発生場所は、私の郷里であり、その意味でも今後の動向に関心がある」旨の発言があり、髙木委員より、「50年近く昔の状況を弁護側が再現し、最高裁判所が今回の判断をしたということだが、その決め手となった新証拠というのは、社会的に十分説得力があることなのか」旨の発言があり、刑事局長から、「この問題は科学論争となっている部分がある。裁判で証拠として認定した毒が、当該ぶどう酒の中に入っていたものであるかどうか、という一点が争点となっており、今回の最高裁判所の判断は、『同じ条件の下でもう一度実験して、それを明確にせよ』というものである」旨の説明があった。