定例委員会の開催状況

第1 日 時 平成22年4月15日(木)

午前10時00分 午前11時20分

第2 出席者 中井委員長、吉田、葛西、長谷川、田尾、髙木各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、

警備局長、情報通信局長

生活安全企画課長

第3  議事の概要

  議題事項

(1)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

  報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)警察庁予算監視・効率化チーム第1回会合について

官房長から、警察庁予算監視・効率化チーム第1回会合についての報告がなされた。

葛西委員より、「予算の執行については、会計検査院がきちんとやっているのだから、これに加えて、このようなものを置いて常時監視するというのは、行政的に見ると無駄であり、経費の有効な執行を妨げるものなのではないか。さらに、『事前審査』というのがあるとのことだが、本来、予算編成というものは、各省庁において予算を要求する段階で内容を精査して要求を行い、それを財務省が査定し、予算案ができて、それが国会で審議され、議決されるものである。それについて、さらにその有効性、必要性の審査をするということには疑問を感じる」旨の発言があり、官房長から、「この制度は、一つは予算執行の事後のチェックだけではなくて、正にリアルタイムでいろんなチェックをしていこうというもので、意味がないというものではないと思う。また、事前審査は、予算が議決された後も、経済状況などの状況の変化によって、予算編成時に見積もった単価を見直さなければいけなくなる場合もあるなど、行政にとって意味がないことはないと思う」旨の説明があり、委員長から、「このチェックは毎年やるのではなく、今年度の予算について行うものである。それは、昨年の政権交代の前後の補正予算及び本年度予算があるわけだが、これらを編成時に十分にチェック・査定できたかというと、政権交代後の慌ただしさの中で、時間に追われてできなかった面がある。大半は見込みで予算を作ったという部分があることは否めない。今の予算の執行時に、無駄の有無について改めてきちんとチェックし、それを次年度以降の予算の編成に生かしていこうという目的で行おうというものである。このチェック作業を、毎年度やっていたのでは葛西委員御指摘のとおりの弊害が出る。我々もそこは十分わきまえてやっていきたいと考えているので、御理解を頂きたい」旨の発言があった。

(3)「未公開株等投資詐欺被害対策について」(消費者委員会提言)に ついて                                        

生活安全局長から、「未公開株等投資詐欺被害対策について」(消費者委員会提言)について報告があった。

(4)タイ王国における邦人記者死亡事案について

刑事局長から、4月10日にタイ王国において発生した邦人記者死亡事案について報告があった。

委員長より、「検視等の拠点が、被害者の住居を管轄する警察署に置かれたということだが、警察署が実際に現地国との連絡を行ったりするものではない。これからもこのような海外での事件の発生は増加すると考えられるが、例えば、被害者の住居が、県庁所在地から何時間もかかる場合も考えられるので、捜査拠点の在り方について検討すべきではないか」旨の発言があり、長官から、「今後、検討していく」旨の説明があった。髙木委員より、「報道によれば、誰が銃を撃ったかは分からない、衝突の中でお互いが応戦しあっている中で発生したということであるが、真相解明のために、タイ警察側と折衝するに当たっては、警察庁から現地に行くのか、あるいは現地の大使館員が調査を行うのか」旨の発言があり、刑事局長から、「現時点では、在タイ王国日本大使館員が、タイの当局と連携して情報収集に当たっている。日本から現地の捜査状況を確認するために現地入りする必要性も今後は出てくると思う」旨の説明があった。

委員長より、「犯罪被害者等給付金について、海外で犯罪被害にあった方には適用がないということであるが、警察からはどのような支援ができるのか」旨の発言があり、官房長から「犯罪被害者救援基金により対応することとなっている」旨の説明があり、委員長より、「やはり国民感情からみれば、こういうときにも適用して支援するのが当然ではないかと思うので、犯罪の立証や、犯人が不明であるなど困難な面があるとは思うが、法改正を含め、適用ができる方法を検討してほしい」旨の発言があった。

(5)高齢運転者等専用駐車区間制度の施行について  

交通局長から、本年4月19日(月)に、道路交通法の一部を改正する法律が施行され、高齢運転者等専用駐車区間制度が開始されることから、これに関する各都道府県警察における施行準備状況について報告があった。

(6)皇太子殿下の第一次大極殿完成記念式典御臨席等に伴う警衛警備について        

警備局長から、「皇太子殿下は、4月22日から同月23日までの間、第一次大極殿完成記念式典御臨席等のため、奈良県へ行啓になる予定であり、これに伴い、所要の警衛警備を実施する旨報告があった。

3 その他

(1)生活安全局長から、男女間トラブルに起因する相談事案への対応について報告があり、葛西委員より、「男女間のトラブルに起因する事案への対応策を通達するとのことであるが、その際には、第一線の警察官が、その運用や対応について迷いを生じないよう、明確な指針として、『ここまではやりなさい』ということを具体的に示すべきである。具体的な内容がないままに抽象的な指示のみを行ったのでは、何か起こったときに『警察庁としてはちゃんと指示を出したのに、現場サイドの判断が悪かったのだ』というための、警察庁のいわば責任回避、現場転嫁のための文書だと現場では受け取りかねないが、そのようなものになってはならない。それでは現場の士気を下げてしまうからである。組織というものは、全体が信頼で結ばれているときには前に向かって強い力を発揮するが、相互不信に陥って監視体制を相互に強めるという形になると、非効率が生まれてくる原因になる。効率的な組織、適正な執行を行うために一番大事なことというのは、相互に信頼をして前に向かって進むことであると思う。警察のように部隊を統率している組織は、そういう信頼関係で前に進むということがとても大切だと思うので、上の者の姿勢をきちんと示してやる、ということが大切なのではないかと思う」旨の発言があり、生活安全企画課長から、「男女間のトラブルが重大事件に発展していかないよう、警察としても警察庁と都道府県警察が一体となって対策を講じていこうとしており、都道府県の担当者と検討会を実施するなどして検討に取り組んでいる」旨の説明があった。

葛西委員より、「一方で、通達で指示したとしても、『この人はもしかしたら人を殺すかもしれない』ということまでは判断できないのではないか。例えば、DV被害を受けている者に対し、『安全な場所に、一晩泊まりなさい』といった指導を行ったとして、その上で『いや、私はやはり家に帰ります』と当事者が主張した場合には、それを強制的に『あなたはここから出てはいけません』という指導・命令まではできないのであり、また宮城県と同じケースが発生し得ると思う」旨の発言があり、長谷川委員より、「それはある程度何とかなると思う。その人が本当に相手方を殺害するかどうかまでは、はっきりとは分からないが、当該男女の当事者間で、双方の性格がどういうタイプで、これまでに行われてきた暴力的な経緯ということについて、どの程度のことがどのくらい起こってきたのかということを、基本項目をリスト化したものを用意しておいて、それを基に聞き取り、チェックしていけば、『このケースで、これだけチェックが入る人はおかしい、あるいは、逆に表面的には異常に見えるけれども、この程度しかチェックが入らない人は大丈夫ではないか』という判断をする目安は、少なくとも私はできると思う。現時点でそうしたマニュアルそのものがあるわけではないが、一つの精神疾患であるか否かを判断するためのチェックリストのようなものは、何年にもわたるこれまでの研究から存在している。私自身も殺人事件について多く調査しているが、男女間トラブルとストーカーは非常に似ている。引き離したりするとストーカー行為が続いて、最終的にはどこまでも追いかけて殺害したりするということがある。ストーカータイプのような、所有欲が強くて、『何をしたってこの女は自分の物だ』と思っているような人というのは、性格類型として、かなり共通したところがあると思うので、細かい、標準化した共通項目というものを作ってみると良いのではないかと思う。そうすれば、現場の警察官に対しても、それに基づくチェックを行って、例えば20項目中15項目にチェックがつくような場合には、本気でやらなければいけないとか、逆に5項目程度だったらまあいいでしょうというような、かなり客観的な評価ができると思う。未然防止といってもやれることには限りがあるので、『警察ができる範囲はここまでですよ』というべき。最近の風潮として、未然防止についても全部警察が何とかしてくれという社会的な圧力があまりにも強すぎるような気がするので、どの程度まで警察としてはできるか、ということを考えるべきであると思う」旨の発言があり、長官から、「参考にさせていただきたい。警察が最後まで全部責任を負うというよりも、関係機関とも更なる連携をすること。また、被害者になりうる女性の意識をもっと改革して行くことも必要だと考えている」旨の説明があり、長谷川委員より「女性が相談にきたときに、長官がおっしゃることをもっとちゃんと伝えた方が良いと思う。私の経験では、日本の若い女性は、自分からはっきり断るとか、嫌なものは嫌とはっきり言うのが苦手で、『嫌なときは断ってもいいんだ』という意識が薄いと思う。特に男女間トラブルの場合、相手に好感を持っていることもあって、はっきり断るということが、とても関係を悪くするのではないかと思っている人が多いので、そうしたこともアドバイスしてあげたらいいと思う」旨の発言があり、委員長より、「生活安全局は、長谷川先生から先ほどのリストなどについてお伺いして、それを加味し現場の目安となるようにしてほしい」旨の発言があった。

吉田委員より、「私が直感的に思ったのは、男女間のトラブルの形は、本当に千差万別であり、それらを個別具体的に警察が対応するというのは大変なことで、そう簡単にできる話ではないなという感じを受けた」旨の発言があり、長官から「若い世代のカップルにおいては、DVが非常に多い。そういう意味では犠牲者が出るケースが昔より多いので、努力はしなければいけない。もちろん最終的に警察がすべて責任を負うということではないが、ある程度まではきちっと対応する必要がある」旨の説明があった。

(2)委員長より、「公訴時効の廃止について、国会で質問があったところである。私としては、これを検討するには、特に証拠物件の保管について、保管場所の確保も含めてどうするのかを考えるべきであると思うので、保管場所の現状、特に公訴時効が本当に廃止になったときにどのように対応するかについて、予算措置も含めて検討してほしい」旨の発言があった。

(3)吉田委員より、「今週、沖縄に出張したが、現地では、普天間基地の問題で、県外移設への期待感の裏返しで、時期が守られなかったりするなど内容次第では相当な反発が予想され、失望感が沖縄に広がると、その反動が怖いと心配していた。また、6月23日の沖縄戦の追悼の日に、例年総理大臣が現地入りしているが、今年の場合、状況が不安である。今、沖縄は大変緊迫した情勢にあるということを肌で感じてきた」旨の発言があり、警備局長から、「この件に関してはまたあらためて報告する」旨の説明があった。