定例委員会の開催状況

第1 日 時 平成22年5月6日(木)

午前10時00分 午前11時25分

第2 出席者 中井委員長、吉田、長谷川、田尾、髙木各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、

警備局長、情報通信局長

首席監察官

第3  議事の概要

  議題事項

(1)監察の取扱い事案について

首席監察官から、福井県警察における物品購入等に係る不適切な事務処理等事案における監督責任について、福井県警察警務部長等に係る懲戒審査会の結果を答申するとともに、前福井県警察本部長については減給処分100分の10 1月とする。また、福井県警察は、国家公安委員会の了承が得られれば地方警務官6名を本部長訓戒等とするほか、警察署の元会計課長及び元係長を戒告処分とするなど計129名について処分等を行う予定である旨の説明があり、これを受け、国家公安委員会において、福井県警察警務部長等を戒告処分とすることが決定された。

 吉田委員より、「会計担当者を重く処分するということか」旨の発言があり、首席監察官から、「元会計課長は、預け金の手口を警察署に持ち込んで部下の係長に教え、かつ、この2人でビール券を購入するなど、その行為責任を特に悪質とみて戒告処分としたい」旨の説明があり、長官から、「不適切経理防止についてはこれまで指示を繰り返してきており、今後、一律ということではないが、警察署会計課長クラスの処分が重くなることもあり得る」旨の説明があった。

(2)日本国憲法の改正手続に関する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令案について

生活安全局長から、日本国憲法の改正手続に関する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令案について説明があり、原案どおり了承した。

(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、内容を一部修正の上、その内容を了承した。

  報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

 (2)新たな情報通信技術戦略(案)について

官房長から、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部において策定する新たな情報通信技術戦略の案について報告があった。

吉田委員より、「高度道路交通システムに関する記述があるが、その内容はどのようなものか」旨の発言があり、官房長から、「高度道路交通システム関係の施策には、事故削減のための安全運転支援システムのほか、自動車単体の様々な安全装置、道路管理者の行う施策等様々なものがあり、それらの技術全部を含む」旨の説明があり、交通局長から、「例えば、旧運輸省の所管では、前方向にレーダー等を用いて衝突を防いだりする『先進安全車』の技術、また、旧建設省の所管では、無線システムを用いた安全システムなどがあり、関係省庁の所掌する様々なものを含めたものである」旨の説明があった。長谷川委員より、「この報告は、IT戦略本部が取りまとめる内容についてのものであるが、警察でも、IT技術の活用に関して、警察自身として20~30年後を見据えたときに何が一番大事かという観点から独自に検討し、意見を反映させていただきたいと思う」旨の発言があり、委員長より、「警察に限った問題ではないが、例えば、警察でも警察庁と都道府県警察との間のコンピュータによる情報交換がまだ十分でないとか、あるいは統計をデータベース化する際に入力に時間がかかるなど、せっかくの技術がうまく使われていないという問題もあるところ、IT戦略の政策をうまく活用することを考えていただきたい」旨の発言があった。

(3)監察の取扱い事案について

首席監察官から、奈良県警察の巡査長が、酒気帯び運転をしたとして、4月15日に通常逮捕された事案に関し、同県警察は、4月30日、同巡査長を懲戒免職処分としたほか、国家公安委員会の了承が得られれば、5月6日、監督責任として、地方警務官の警察署長を本部長注意の措置とする予定である旨、警視庁の一般職員が、3月26日に女性にわいせつな行為をして現行犯逮捕された事案等に関し、警視庁は、5月7日、同一般職員を懲戒免職処分とするとともに、監督責任として、上司を警視総監注意の措置とする予定である旨の報告があった。

吉田委員より、「本年は、昨年と比べて懲戒事案の発生状況はどうか」旨の発言があり、首席監察官から、「懲戒事案は、本年は大変多くなっている。本年4月末の懲戒免職者数は10人で、昨年同時期に比べ5人減少しているが、懲戒処分者数全体で見ると、本年は、123人であり、前年同時期の66人に比べ、2倍近くに増加している。また、逮捕者数についても、本年4月末で24人と、昨年同時期に比べ6人増加している。事案の特徴としては、わいせつ事案が目立っている」旨の説明があった。

(4)首都圏における痴漢事犯対策強化期間の実施結果について

生活安全局長から、4月15日から同月21日までの間、警視庁、埼玉県警察、千葉県警察及び神奈川県警察において、痴漢事犯の検挙及び抑止の強化に取り組んだ結果について報告があった。

 (5)建設業界からの反社会的勢力排除について

刑事局長から、社団法人日本建設業団体連合会は、政府が示す「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」(19年6月犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ)及び「公共事業等からの暴力団排除の取組について」(21年12月4日暴力団取締り等総合対策ワーキングチーム決定)を踏まえ、22年4月21日、会員(7団体・52社)に「暴力団排除条項の参考例(ひな型)」を示して、その導入を求めたことについて報告があった。

 3 その他

 (1)官房長から、平成22年4月15日に言い渡された愛媛県警察における損害賠償命令請求訴訟の控訴審判決について、愛媛県警察は上告をせず、判決が確定したことについて報告があった

(2)官房長から、中井国家公安委員会委員長の豪州訪問について報告があった。

    委員長より、「マクレランド連邦法務大臣と会談したところ、豪州では、最近テロ対策のための新しい組織が作られているとのことであった。日本はAPECの開催を控えているので、警察庁には、このような組織と情報交換を始めとする協力を継続的にお願いしたい。また、シドニーを視察したところ、現地では捜査の録音・録画については幅広くやっている、その代わり通信傍受等の捜査手法を行うことが不可欠であるとのことであったので、私から先方に、『一度、当方の高度化研究会にその分野の専門家を派遣して、現実、現状を話してほしい』と頼んだ。次に、死因究明について、メルボルンを視察したところ、届出がなされた死者の半分ぐらいは解剖するということであり、現地では、大学と解剖の施設とが一体となって病理学も盛んにやっており、学生も勉強しているとのことであった。また、マクレランド連邦法務大臣と会談をした際に、シー・シェパードによる日本の調査捕鯨船に対する破壊行為に関し、その代表に対して日本の海上保安庁が逮捕状をとったこと、警察としては、海上保安庁からの要請があればインターポール経由で国際捜査協力の手続に乗せていくことについて申し上げ、『海の上での暴力行為、日本の船舶に対する破壊行為というものを許すわけにはいかない』として、捜査への協力をお願いしたところ、マクレランド大臣も、『それは賛成だ。捕鯨問題については、また違う立場での議論があるであろう』旨のことを言っていた」旨の発言があった。

(3)刑事局長から、観光立国推進のための外客誘致を巡る動向についての報告があった。

(4)刑事局長から、平成14年4月大阪市平野区内で発生した母子殺人・現住建造物等放火事件に関して、平成22年4月27日、最高裁判所において死刑判決を破棄し審理を大阪地方裁判所に差し戻すとの判決があった旨の報告があった。

 (5)刑事局長から、5月6日早朝、谷中の都立谷中霊園にある鳩山一郎夫妻の墓が、何者かによりスプレーで黄色のペンキ様の塗料を吹き付けられたとみられる事案が発生し、器物毀棄容疑事件として捜査を開始した旨の報告があった。