定例委員会の開催状況

第1 日 時 平成22年9月30日(木)

午前10時00分 午前11時40分

第2 出席者 葛西、長谷川、田尾、髙木、山本各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、

警備局長、情報通信局長

首席監察官

第3  議事の概要

  議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「10月8日付けを始めとする地方警務官2名の人事案件について発令していただきたい」旨の説明があり、原案どおり決定した。

(2)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

  報告事項

(1)「平成22年度経済危機対応・地域活性化予備費」の使用について

官房長から、「平成22年度経済危機対応・地域活性化予備費」の使用について報告があった。

(2)政策コンテストに係るパブリックコメントの実施について

官房長から、政策コンテストに係るパブリックコメントの実施について報告があった。

(3)山形県警察における不適正な経理処理等について

官房長から、山形県警察における不適正な経理処理及び警察庁会計監査受監時の不正事案について報告があった。

田尾委員より、「本件について、山形県警察においてはどれくらいの部署で不適正な処理が行われていたのか」旨の発言があり、官房長から、「山形県警察の調査によると、警察本部と警察署と合わせて47所属あるうちの19所属で、うち、警察署が14署ということであった」旨の説明があった。田尾委員より、「今年4月に、21年度会計監査実施結果の報告を受けたときに、山形県警察について言及があり、その際、富山県警察でも同様の事案が判明したことについての報告を受けているが、その後の経過はどうなっているのか」旨の発言があり、官房長から、「関係者の処分の関係がまだ残っており、それが終わった時点で改めて御報告する」旨の説明があった。

(4)第二次犯罪被害者等基本計画(仮称)案骨子案について

官房長から、第二次犯罪被害者等基本計画(仮称)案骨子案について報告があった。

(5)監察の取扱い事案について

首席監察官から、千葉県警察の巡査部長が、勤務中、女性に対してわいせつな行為をしたとして、9月3日に通常逮捕された事案に関し、同県警察は、9月22日、同巡査部長を懲戒免職処分とするとともに、監督責任として、上司3名を本部長訓戒等の措置とした旨及び栃木県警察の巡査長が、酒気帯び運転をして交通事故を起こしながら警察に報告せず逃走したとして9月11日に通常逮捕された事案に関し、同県警察は、10月1日、同巡査長を懲戒免職処分とするとともに、監督責任として、上司を本部長注意の措置とする予定である旨並びに警視庁の巡査長が、同僚のクレジットカード情報を悪用して出会い系サイト利用料を不正に支払ったとして、9月10日に通常逮捕された事案等に関し、警視庁は、10月1日、同巡査長を懲戒免職処分とする予定である旨の報告があった。

(6)平成22年度総合セキュリティ対策会議の運営について

生活安全局長から、「平成22年度の総合セキュリティ対策会議では、分科会を設けて、『不正アクセス対策』、『違法有害情報対策』、『サイバーボランティア育成』の3テーマを中心に検討を行う」旨の報告があった。

(7)インターネット・ホットラインセンターから通報される違法情報に係る捜査の効率化について

生活安全局長から、「インターネット・ホットラインセンターからの通報のあった違法情報について、まず、警視庁が当該情報の書込み等の発信地に関する捜査を行い、次いで、これにより判明した発信地を管轄する都道府県警察が事件の検挙に向けた捜査を行う『全国協働捜査方式』を10月1日から試行実施する。なお、9月30日に『全国サイバー犯罪対策担当課長会議』を開催して周知する」旨の報告があった。

長谷川委員より、「インターネット上のバーチャルな情報世界は、特定の場所と結び付いておらず、場合によっては国際的にもつながっており、その場所で物体、実物としての人間が動いているというものではない。また、各都道府県警察のすべてにこのような事件捜査の専門家がいるわけではないと思うので、都道府県とは関係なく、完全にバーチャル世界だけを扱う部署を設置して、一括して捜査を行うべきではないか」旨の発言があり、生活安全局長から、「将来的な在り方としては、御指摘のようなものがあり得ると思う。ただ、現行の制度の下でも、現在できていないことも多くあるので、それを効率化しながらやっていこうという理念での取組みである。インターネットは全国にまたがり、さらに国境を越えることもあるが、警察庁が指導・調整をしながら共同・合同捜査、国際捜査共助を展開して対処していく。また、こうした取組みを通じて、各都道府県警察の捜査技術・技量の向上も図ることができる。実際の事件検挙を通じて、あるいは専科教養や実戦塾により、レベルの向上を図ってまいりたい」旨の説明があった。

(8)指名手配被疑者捜査強化月間の実施について

刑事局長から、指名手配被疑者捜査強化月間の実施について報告があった。

(9)厚生労働省職員らによる贈収賄事件の検挙について(大阪府警察)

刑事局長から、大阪府警察が検挙した厚生労働省職員らによる贈収賄事件について報告があった。

10)中小企業大臣会合の開催に伴う警備について

警備局長から、「10月2日から3日までの間、岐阜県岐阜市において2010年APEC中小企業大臣会合が開催される。これに伴い、所要の警備を実施する」旨の報告があった。

11)皇太子殿下の第34回全国育樹祭御臨場等に伴う警衛警備について

警備局長から、「皇太子殿下は、10月2日から3日までの間、第34回全国育樹祭御臨場等のため、群馬県へ行啓になる予定であり、これに伴い、所要の警衛警備を実施する」旨の報告があった。

12)天皇皇后両陛下の平城遷都1300年記念祝典御臨席等に伴う警衛警備について

警備局長から、「天皇皇后両陛下は、10月7日から10日までの間、平城遷都1300年記念祝典御臨席等のため、奈良県へ行幸啓になる予定であり、これに伴い、所要の警衛警備を実施する」旨の報告があった。

13)菅内閣総理大臣のベルギー訪問(ASEM第8回首脳会合出席等)に伴う警護警備について

警備局長から、「菅内閣総理大臣は、10月3日から5日までの間、ASEM第8回首脳会合出席等のため、ベルギーを訪問する予定で調整中であり、これに伴い、所要の警護警備を実施する」旨の報告があった。

3 その他

(1)生活安全局長から、「高知の県立坂本龍馬記念館における、坂本龍馬が保有していたものと同型のけん銃の展示が銃刀法に抵触する恐れがあるとして、8月27日以降その展示を見合わせていた件について、その管理の方法に関して高知県及び高知県警察における協議が行われた結果、同記念館の職員を高知県の職員として委嘱するなどして、現行法の下で所要の条件を整備し、本日から同記念館における展示を再開した」旨の報告があった。

(2)警備局長から、「9月22日から23日までの間、奈良で開催された観光大臣会合について、中国代表がレセプション、共同会見等を欠席するなどのことはあったが、警備上の問題はなく終了した」旨の報告があった。

(3)警備局長から、尖閣諸島問題をめぐる情勢について報告があった。

(4)髙木委員より、「大阪地検特捜部検事の不適正な捜査について報道されているところ、本件が警察に影響を及ぼしたり、警察として何か対応が必要となることはあるのか」旨の発言があり、刑事局長から、「現時点では、最高検が捜査をしている状況にあり、捜査結果あるいは今回の事案の検証結果が出た時点で、我々としても生かすべき教訓事項が出てくる可能性があるであろうと考えている。また、当該検事が担当していた既に無罪となっている事件そのものについても、無理な取調べがあったのではなかったかという議論があるところ、取調べの問題に関しても警察サイドでは取調べの監督制度を導入したり、様々な指示を行うなど相当な努力をしており、それを引き続き徹底していくべきものと考えている。なお、警察で同様の事件が起こっていないか調査したところ、証拠品の改ざんというのは警察庁が把握している限りではここ10年で1件もなかった。一方で、捜査書類への記載誤りを勝手に書き直したり、実際にはそこまで言ってないのに供述調書に書き足したという事案は数件あった。これらはいずれもきちんと処分、処理されてきているところである」旨の説明があった。

   山本委員より、「本件は検察庁の問題であり、直接警察とは関わらないが、同じような問題が起きないようにしっかりやっていただきたい。ただ、いわゆる供述の録取という観点からは、取調べの可視化の問題とつながるところであるが、現時点における可視化の検討についてどのようになっているのか」旨の発言があり、刑事局長から、「お尋ねの点については、委員長主催の研究会が2月に発足して、これまで7回ほど、議論をしていただいている。この中で、『可視化を全面的にすべきである』という議論や、『全面可視化はいろいろ問題が大きいので、可視化をこれ以上進めるためには、治安水準を落とさないために、何か手当が必要だ』といった様々な議論が続いている状況である。例えば、冤罪の被害者の方からヒアリングを行ったり、並行して諸外国の制度調査を行っているので、そうした内容の報告が、これから研究会の方に出される予定になっている。したがって研究会としての方向というのは出ている状況ではなく、そういった基礎的な各種問題点等を把握して、議論をこれからやっていくという状況にある。なお、警察としては、直ちに全面的な可視化になると治安維持の面から問題なしとしないと考えており、諸外国で、可視化を行っている国は、日本にはない様々な捜査手法を持った上で可視化を行っているので、それらの中で、日本に適用できるものがあるのかどうかについて、きちんと研究をしていくべきであると考えている」旨の説明があった。