定例委員会の開催状況

第1 日 時 平成22年12月9日(木)

午前10時05分 午前11時25分

第2 出席者 岡崎委員長、葛西、長谷川、田尾、髙木、山本各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、

警備局長、情報通信局長

首席監察官

第3  議事の概要

  議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「1月1日付け国家公安委員会犯罪被害給付専門委員2名の任命について発令していただきたい」旨の説明があり、原案どおり決定した。

(2)採用昇任等基本方針の一部変更(案)について

官房長から、「採用昇任等基本方針の一部変更に係る内閣総理大臣からの協議に対し、異議のない旨回答したい」旨の説明があり、原案どおり決定した。

(3)犯罪被害者等給付金の裁定に対する審査請求事案の審理状況及び裁決について

官房長から、審査請求事案に関し、専門委員による調査・審理の状況について説明があり、同審査請求を棄却する裁決を行った。

(4)オウム真理教犯罪被害者等給付金の裁定に対する審査請求事案の審理状況及び裁決について

官房長から、審査請求事案に関し、専門委員による調査・審理の状況について説明があり、同審査請求を棄却する裁決を行った。

(5)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「大阪府警察の警部補らによる取調べ不適切事案に関し、同府警察は、国家公安委員会の了承が得られれば、12月16日、監督責任として、地方警務官の警察署長を本部長注意の措置とする予定である」旨の説明があり、原案どおり了承した。

(6)刑事に関する共助に関する日本国と欧州連合との間の協定に基づく中央当局の指定について

刑事局長から、「刑事に関する共助に関する日本国と欧州連合との間の協定は、12月3日に公文の交換が行われ、平成23年1月2日に発効することとなった。この協定の発効により、日・EU双方の中央当局に関し、日本については、法務大臣及び国家公安委員会並びにこれらがそれぞれ指定する者、EUについてはEU加盟国の法務省、最高検察庁等の間で捜査共助要請が直接行われることとなるところ、今回、国家公安委員会の指定する者として、国際捜査管理官を中央当局に指定いたしたい」旨の説明があり、原案どおり決定した。

(7)「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令案」等について

交通局長から、「本年10月29日から11月27日までの間実施した、『道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令案』等に対する意見公募の実施結果を一般に公表することとともに、同内閣府令等の改正案について決裁をいただきたい」旨の説明があり、原案どおり決定した。

(8)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会あての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

  報告事項

(1)監察の取扱い事案について

首席監察官から、1(5)で説明のあった大阪府警察の警部補らによる取調べ不適切事案に関し、「同府警察は、12月16日、同警部補らを減給処分等とする予定である」旨及び「埼玉県警察の巡査が、拾得物として受理した現金を横領した事案等に関し、同県警察は、12月10日、同巡査を懲戒免職処分とするとともに、監督責任として、上司ら4名を本部長注意等の措置とする予定である」旨の報告があった。

山本委員より、「大阪府の事案に関して、一般に報道されている中身では、取調べにおける言動だけが強調されているわけであるが、それが適切かどうかということについては、本来、被疑事実や被疑者の属性、あるいは被害者が置かれている状況といったものを、全体から見て判断すべきなのではないかという思いもある。また、捜査の可視化ということが言われている中で、取調べがどこまで許されるかということについては、微妙な問題になり得ることだろうと思うので、その観点から見ると、今日説明のあった処分を、本当にこの段階で行うことが妥当なのかどうかという思いもある。最終的に取調べが可視化された場合でも、その取調べの適否については、最終的には裁判所の判断によって基準が引かれていくことになろうと思うので、あまり早い段階から自制してしまうと、本来処分されるべき犯罪の事案追及が不十分なまま終わるのではないかということが懸念されるのではないかという思いがある」旨の発言があり、葛西委員より、「処分は処分として、第一線の現場が、萎縮しないように措置することが重要である」旨の発言があり、官房長から、「監督対象行為は、それに触れても、それだけで懲戒処分の対象にするものではないが、今回、処分を考えるに当たっては、同人が告訴されており、刑事処分を受ける可能性があることも勘案し、相応の処分を科すこととなった」旨の説明があった。

田尾委員より、「2年前、国家公安委員会規則で監督対象行為を定めた際に、『こういったことを行ってはいけない』という類型について、しっかり考えた上で作り、啓発、教養をしてきたと思うが、今回の事案は、明らかにこの一線を踏み外しており、『相手の挑発に乗ってしまったために冷静を欠いた』ということでは済まされないと思う」旨の発言があり、刑事局長から、「相手が挑発的な態度を取ったことは事実のようであるが、委員御指摘のように、このようなことをしてよいということにはならない。言動として、一線を越えていると思われ、一般的な『きつい取調べ』といったものとは質が違うと考えている」旨の説明があり、長官から、「取調べ全般について、捜査員を萎縮させるようなことがないよう、我々としても考えながらやっていかなければならないが、本件は、ほかの捜査員も、『自分たちはきちんとやっているのに、これはひどい』と思っていると思う」旨の説明があり、葛西委員より、「現場に対して指示をするときには、『進め、止まれ、退け』といった、極めてシンプルなものが現場に伝わりやすいのであり、複雑な指示は、『やるな』という指示に捉えられがちであるので、捜査力が弱くなるということに結びつくおそれがあるのではないかと心配している。やはり、相手との相対関係についても見るべきであるという、山本委員の御意見には賛成である」旨の発言があった。

田尾委員より、「取調べは、通常、補助者がいて、取調べ官と被疑者が一対一で行うものだと思うが、本件では、二人がかりで行っているような形になっており、それが、このような取調べにつながっていったのではないか。過去に問題になったケースを見ると、複数の場合高圧的になりがちなのではないかとの感じがあり、取調べの方法として何か考える必要があるのではないか」旨の発言があり、刑事局長から、「もともとの基本は、主たる調べ官が一人いて、もう一人補助者が付く二人体制が基本ということだったと思う。補助者はメモを取ったり、連絡をしたりする者であるが、補助者も、調べ官と協力して取調べを行うという形である。二人いることによって抑制が働くという面もあると思うが、現実には、警察署では二人そろわないため、一対一の取調べの形になることが多い」旨の説明があり、葛西委員より、「交渉事においては、一本調子では駄目で、二人が組み、硬軟相まって効果が出るものであるし、必ずしも一対一であれば高圧的な取調べにならないというものではないと思う」旨の発言があった。

長谷川委員より、「取調べで行ってはいけないことについては列挙してあるが、一方で、効果的な取調べの方法といったものについては、現場に示しているのか」旨の発言があり、刑事局長から、「虚偽自白を生まないための取調べについての資料を、現場に提供している」旨の説明があり、長谷川委員より、「そうしたことが大事である。どういったものが良いやり方かというのを指示しないまま、禁止事項だけを提示するのは、良くないと思う」旨の発言があった。

(2)外為法違反事件(無承認輸出)被疑者の逮捕について

警備局長から、外為法違反事件(無承認輸出)被疑者の逮捕について報告があった。

(3)国際テロ対策に係るデータのインターネット上への掲出事件への対応について

警備局長から、国際テロ対策に係るデータのインターネット上への掲出事件へのこれまでの対応状況について報告があった。

各公安委員より、「本件に対する捜査及び調査の徹底、個人情報が掲出された者に対する保護その他の警察措置及び情報保全の徹底・強化の3点につきしっかりやっていただきたい」旨の発言があり、委員長より、「これら3点について国家公安委員会の総意としての指示とする」旨の発言があった。

3 その他

(1)官房長から、警察関係の補助金がひも付き補助金の一括交付金化の検討対象となっていることに関して、政府内における直近の議論の状況と当庁の対応状況について報告があった。

(2)刑事局長から、秋田弁護士殺人事件に関し、日弁連会長からの申入れが行われたことについて報告があった。

(3)刑事局長から、「本年11月18日、山口組淡海一家総長らによる恐喝事件の共犯として、京都府警察が逮捕した山口組若頭については、昨日、逮捕事実である恐喝罪で起訴された」旨の報告があった。