定例委員会の開催状況

第1 日 時 平成22年12月24日(金)

午前10時00分 午前11時05分

第2 出席者 岡崎委員長、葛西、長谷川、田尾、髙木、山本各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、

警備局長、情報通信局長

首席監察官

第3  議事の概要

  議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「地方警務官等1名の人事案件について発令していただきたい」旨の説明があり、原案どおり決定した。

(2)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「山形県警察における物品購入等に係る不適切な事務処理事案に係る監督責任について、懲戒審査会の結果を答申する」旨の説明があり、これを受け、国家公安委員会において、元山形県警察本部長2名を減給100分の10、1月とすることを決定した。

(3)監察の取扱い事案について

首席監察官から、1(2)で説明のあった山形県警察における物品購入等に係る不適切な事務処理事案に係る監督責任について、「同県警察は、国家公安委員会の了承が得られれば、12月27日、地方警務官7名を本部長訓戒等の措置とする予定である」旨及び「神奈川県警察における物品購入等に係る不適切な事務処理事案に係る監督責任について、同県警察は、国家公安委員会の了承が得られれば、12月27日、地方警務官23名を本部長訓戒等の措置とする予定である」旨の説明があり、原案どおり了承した。

(4)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

  報告事項

(1)平成23年度税制改正における警察庁関連事項について

官房長から、平成23年度税制改正における警察庁関連事項について報告があった。

(2)平成23年度警察庁予算の査定状況について

官房長から、平成23年度警察庁予算の査定状況について報告があった。

(3)オウム真理教犯罪被害者救済法の施行状況等について

官房長から、オウム真理教犯罪被害者救済法の施行状況等について報告があった。

(4)監察の取扱い事案について

首席監察官から、1(2)及び(3)で説明のあった山形県警察における物品購入等に係る不適切な事務処理事案に関し、「警察庁は、12月27日、監督責任として、元山形県警察本部長等を減給処分等とするほか、山形県警察から管区警察局に出向中の警視を局長訓戒の措置とする予定である」旨及び1(3)で説明のあった神奈川県警察における物品購入等に係る不適切な事務処理事案に関し、「警察庁は、元神奈川県警察本部長の監督責任の内容を出向先の公安調査庁に通知し、処分を一任するとともに、12月27日、監督責任として、警察庁事務官等9名を長官訓戒等の措置とする予定である」旨の報告があった。

また、首席監察官から、「大阪府警察の巡査部長が、平成22年12月6日、銃砲刀剣類所持等取締法違反で通常逮捕された事案に関し、同府警察は、12月24日、同巡査部長を懲戒免職処分とするとともに、監督責任として、上司を本部長訓戒の措置とする予定である」旨及び「和歌山県警察の巡査長が、警察署内で同僚署員から現金を窃取した事案に関し、同県警察は、12月24日、同巡査長を懲戒免職処分とするとともに、監督責任として、上司を本部長注意の措置とする予定である」旨の報告があった。

大阪府警の事案について葛西委員より、本件は、けん銃等を実父から譲り受けたという説明を受けたが、当該実父はどのような者であったのか。また、譲り受けた中のひとつである古式銃とは、どういうものをいうのか」旨の発言があり、首席監察官から、「正業に就いていたと聞いており、暴力団などには全く関係なかったようである。ただ、狩猟などが趣味で、猟銃などは持っていたようである。古式銃については、一種の『仕込み銃』のような古い銃であるということである」旨の説明があった。

田尾委員より、「実父から譲り受けたというのは、実父が死亡することによりもらい受けたということか」旨の発言があり、首席監察官から、「そのとおりである。遺品を整理していたら発見したということである」旨の説明があり、田尾委員より、「この者は、モデルガンの収集をしていたとのことであるが、本人が購入したという可能性はないのか」旨の発言があり、首席監察官から、「それはないということである」旨の説明があった。

葛西委員より、「最近、毎回のように、不祥事案の懲戒免職が報告されているようであるが、今年は発生件数が多いのか」旨の発言があり、首席監察官から、「今年は、去年よりも多い」旨の説明があり、次長から、「処分者全体が、相当多くなってきている。警察改革の不祥事案防止への意識が薄れてきたのかもしれない」旨の説明があり、首席監察官から、「詳しくは、内容を分析して改めて御報告させていただきたい」旨の説明があった。

(5)平成22年(1~11月)の110番通報の概要等について

生活安全局長から、平成22年(1~11月)の110番通報の概要等について報告があった。

(6)秋田市における弁護士殺人事件に対する警察の対応に関する検証結果(秋田県警察)等について

刑事局長から、秋田市における弁護士殺人事件に対する警察の対応に関する検証結果(秋田県警察)等について報告があった。

髙木委員より、「昨日のテレビニュースで、被害者の遺族の方が事件の発生状況等について話しているところが報道されていたが、これだけを見ると、『警察がきちんと対応してないのではないか』との印象を受ける報道振りであった。報道の仕方の問題という面もあるのかもしれないが、実際のところはどうであるのか」旨の発言があり、刑事局長から、「遺族の方が最も強調しておられるのは、『警察官が、被害者にもかかわらず、被害者を取り押さえた。その隙に、犯人が、刃物を持って刺した』という趣旨のことである。秋田県警察では、これまで奥様を含め、関係者から詳しく事情を聞き、それを踏まえて捜査を行い、また、検証をしている。県警の報告書には、警察が拳銃を取り押さえようと被害者の手をつかみ上げたことも記載している。検証結果をよく御遺族にも説明をして、御理解を頂くこととしている」旨の説明があり、長官から、「かなり強い反論のような内容で報道されていたので、誤解を受けないようきちんと説明しないといけない」旨の説明があった。

報告書の内容について、葛西委員より、「装備資機材の着装・活用の徹底に関し、『意識改革の推進』とあるが、もう少し具体性を持った言い方が良いのではないかと思う。本件については、分かりにくい状況の中で、現場の情勢判断を間違えたことから始まっているので、判断能力をより高めるということが大事だと思う。犯人が凶器を持って攻撃してきたときに身をかわしたというのはやむを得ないことであって、まずは判断能力を磨かなければならない。次に基本動作として、出動するときに、『何を持って行くんだ』というところを明確に決めて徹底するということ。そして、制圧するための技能を磨くということである。『意識改革』というと、漠然としているので、『情勢判断の能力を高める』とか、『基本動作を徹底させる』とか、あるいは、『技能を高めていく訓練をする』といった記載にした方が良いのではないかと思う」旨の発言があり、刑事局長から、「御指摘の点についてであるが、これまで、装備資機材の着装・活用については、警察官の意識として受傷事故防止との考え方が強く、自身に受傷の心配がないと判断したときには装備資機材を携行しないこともあった。装備資機材の着装・活用は警察官自身の受傷事故防止のためばかりではなく、被害者を守るためのものでもあり、また、被疑者を瞬時に制圧するために必要なものだという意識を徹底させることがまず必要だという考え方で用いたものである」旨の説明があった。

(7)尖閣映像流出事案に伴う告発事件の送付について(警視庁・沖縄県警察)

刑事局長から、尖閣映像流出事案に伴う告発事件の送付(警視庁・沖縄県警察)について報告があった。

(8)菅内閣総理大臣の三重県訪問(伊勢神宮参拝)に伴う警護警備について

警備局長から、「菅内閣総理大臣は、平成23年1月4日、伊勢神宮参拝のため、三重県を訪問する予定であり、所要の警護警備を実施する」旨の報告があった。

(9)国際テロ対策に係るデータのインターネット上への掲出事案に関する中間的見解等について

警備局長から、国際テロ対策に係るデータのインターネット上への掲出事案に関する中間的見解等について報告があった。

葛西委員より、「『中間的見解等について』の『おわりに』に、『組織の総力を挙げて、事実を究明していく』との記述があるが、これからの先訓として、『情報に対する保秘・セキュリティの程度を高める』ということを記載しておかないと、単に起こったことに対する究明だけになってしまうと思うので、そこは強めて書いた方が良いのではないか」旨の発言があり、警備局長から、「御指摘の点については、警察庁警備局のプロジェクトチームで、現在新たな、更なる強化方策を検討しており、そこでとりまとめて、しっかり対応したいと考えている。また、今後、保秘の程度を強化していくことについては、報告書に盛り込んである」旨の説明があった。

山本委員より、「本件は、このような事態を起こすことによって、現実に国民等の一部に被害を及ぼす結果が生まれているわけであるし、加えて、警察がテロ対策を含めた安全・安心のための活動をしにくくするという結果も生まれており、大きく見ると、警察及び国民の安全・安心に対する攻撃ととらえなければいけないと思う。今回の中間的見解等については、もっと説明責任を果たせとの声が出る可能性はあるものの、このような事件が起き、現に被害を受けている人たちがいることからすれば、これからの警察の対応によって、更に被害が広がることがあってはならないので、一部しかオープンにしないという形はあり得ると思うが、『このような攻撃がある』ということを十分念頭に置き、今後の防衛体制等について十分検討するということが大変大切であると思う。もう一つは、今回の事案が単に警察に対する攻撃ということではなく、市民・国民に対する攻撃であるということを考えると、現に起きている被害者への配慮について、できるだけ配慮しているということが伝わるような工夫をしないと、被害を受けた人たちを放っているというような誤解を与えかねないと思うので、その点について十分配慮してもらいたい」旨の発言があり、警備局長から、「最初の御指摘については、情報セキュリティを更に高めるということで対応してまいりたいと考えている。二点目の御指摘については、現在、警視庁を始め、全国警察において関係者に対する警察措置を順次行っており、現在の取組みや今後の対応について、しっかり広報等の対応を行ってまいりたいと考えている」旨の説明があり、長官から、「警備警察分野だけの問題とはせず、全国一律に情報保全を徹底させ、将来へ備えるということが、最大のポイントである」旨の説明があった。

長谷川委員より、「尖閣の映像が流出した経緯を見ても、あちこちのアクセス可能な場所にアップするなど、ナイーブに過ぎるところがある。日本人は、どちらかというと性善説に基づいて動いていると思われる。性悪説に基づくと、非常にぎすぎすするし、コストもかかるけれども、やはり、こういうことが起こるという意味で、物事を進めるに当たって、性悪説の方に少し傾いた方がいいかもしれない」旨の発言があり、警備局長から、「委員御指摘のとおり、担当所属の情報管理が甘かったという面があるので、そこを改めてまいりたいと考えている」旨の説明があった。

3 その他

(1)警備局長から、ホルムズ海峡におけるタンカー損傷事案について報告があった。