定例委員会の開催状況

第1 日 時 平成23年1月20日(木)

午前10時00分 午前10時50分

第2 出席者 葛西、長谷川、田尾、髙木、山本各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、

警備局長、情報通信局長

第3  議事の概要

  議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「2月8日付けを始めとする地方警務官等38名の人事案件について発令していただきたい」旨の説明があり、原案どおり決定した。

(2)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

  報告事項

(1)犯罪被害者等給付金不支給裁定取消請求事件の最高裁決定について

官房長から、兵庫県公安委員会による犯罪被害者等給付金不支給裁定について提起された取消請求訴訟に係る最高裁決定について報告があった。

(2)最近における資産形成(利殖勧誘)事犯の検挙状況等について

生活安全局長から、最近における資産形成(利殖勧誘)事犯の検挙状況等について報告があった。

(3)平成22年の振り込め詐欺認知・検挙状況等について

刑事局長から、「平成22年の振り込め詐欺認知・検挙状況について、振り込め詐欺全体の被害は、前年と比べて減少となったが、オレオレ詐欺については増加となった」旨の報告があった。

山本委員より、「本件及び2(2)において報告のあった利殖勧誘に関する事件に関し、それらの検挙については効果があったということであるが、大きな被害が出た後に摘発をしているということに関して思うところがある。もっと早い段階で対策が講じられれば、被害が大きくなる前に摘発することができるのではないか。どこまで可能かということはあるだろうが、警察は被害についての情報をより早い段階から入手し捜査することによって、被害の拡散を防ぐことができたのではないかと思う。また、個々の被害者の被害に目を向けると、おそらく悲惨な実態がたくさんあるのだろうと思う。こうした事件は、ある意味では犯罪者集団が行うものであり、それを取り締まった結果、根絶できているのかというと、必ずしもできていないのではないかと思われるところがある。とすると、大きな目で見ると、『警察が十分には対応できていない』という評価もあり得るのではないか。したがって、できるだけ早い段階、被害が小さいうちに察知し、対策を講じるという工夫をしていただきたい。私は、こうした事件と対峙することは、犯罪者集団との知恵比べみたいなところがあるのではないかと思う。そういう意味で、新しい法整備であるとか、あるいは情報通信技術や金融のシステムという中に、きちんと法的な裏付けを持って、新たな対策を講じることによって、より早い段階で対応することができるのではないかと思うので、そのような方向での意識も持って活動していただきたい」旨の発言があり、生活安全局長から、「まさに委員御指摘の方向で、いろいろな枠組みを作り、努力もしているところではあるが、まだまだ十分な結果が出ておらず、御報告したような状況にある。御指摘の点に対する警察主導の方策の第一としては、いかに事件を早期に探知するかということであるが、消費者庁、知事部局、国民生活センター、弁護士会等の関係機関と、日常的に実務的な情報共有ができるよう、努力しているところである。第二に、対応措置についてであるが、警察は捜査機関であるが、被害拡大を防止することは重大な使命であるので、例えば警察が措置できない段階であっても、証券取引等監視委員会や金融庁といった関係機関に対し、適宜、有効に、行政的な措置を講ずるよう申し入れ、促していくということである。そして第三として、事件摘発であるが、摘発・検挙には一罰百戒の効果もあり、重要であることから、この種事件の捜査に重点を指向するということである。そして、最後に、高齢者の方々の被害が多いことを踏まえて、広報啓発を幅広くやってまいりたい」旨の説明があり、次長から、「このようなタイプの犯罪は、一つには犯罪として認知するのに時間がかかるという特徴がある。例えば、利殖勧誘事犯の場合、彼らは、始めた段階では、結構配当を出して、いかにも儲かっているかのごとく装っておき、それから被害者が徐々に損をしてくる。そこで、『あともう少し続ければ、また儲かりますよ』と勧奨するという形で進めていくので、被害者が『犯罪被害に遭っている』と認識するまでに時間がかかる。またもう一点、検挙については、検挙までに4~5年かかっているが、実はその1年程度前には、捜索に入っているので、その時点で、犯罪者側の動きは止まっている。委員御指摘のとおり、早期に事件着手することは、必要なことではあるものの、それまでには少し時間がかかること、また、現実には検挙時期よりもかなり早い段階から事件に着手していることについては、御理解をいただきたい」旨の説明があった。

刑事局長から、「振り込め詐欺の関係では、すべての部門が、『被害者を出さない』ということで、対策を練っている。例えば、オレオレ詐欺などでは、犯人側が100軒くらいに電話をして、1人がだまされるかどうかという状況であり、未遂が非常に多い。未遂の段階でも、110番が入ったり、あるいは相談が来たりということがあるが、そのような情報を基に、すぐに犯人側の動きを止めてしまう措置を講じるよう、第一線の現場には徹底させるとともに、しっかり検挙するようにしている。実行犯はかなり検挙できているが、なかなか、その上位にある者まで捜査が伸びていかないことが課題になっている。相手方も悪質なグループが生き残り、相当組織的で、巧妙な手口でやっているので、捜査でそれを打ち破るというのが、今年の大きな課題であると考えている」旨の説明があり、長官から、「いずれにしても、高齢化社会となり、高齢者の資産やお金を狙う犯罪が増加すると思われるので、更なる知恵を出していきたい」旨の説明があった。

(4)プロ野球界における暴力団排除の取組みについて(新・暴力団等排除宣言)

刑事局長から、「社団法人日本野球機構が、暴力団等反社会的勢力との関係遮断を更に徹底するため、選手会を加え新たに暴力団等排除宣言を行う」旨の報告があった。

(5)日教組「第60次教育研究全国集会」をめぐる動向と警察措置について

警備局長から、1月22日から24日までの3日間、茨城県那珂市内を中心に開催される日教組(日本教職員組合)「第60次教育研究全国集会」をめぐる右翼等の動向と警察措置について、報告があった。