定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成23年3月10日(木)

午前10時00分 午前11時25分


第2 出席者 中野委員長、長谷川、田尾、髙木、山本、前田各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、

警備局長、情報通信局長

首席監察官


第3  議事の概要

1 議題事項

(1)警察法施行令の一部を改正する政令案等について

官房長から、地方警務官の定員の改正等を内容とする警察法施行
令の一部を改正する政令案、警察庁の組織改正等に伴う警察法施行
規則の一部を改正する内閣府令案等について説明があり、原案どお
り決定した。

(2)警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律施行令の
一部を改正する政令案について

官房長から、最近における社会経済情勢に鑑み、警察官の職務に
協力援助した者に対する災害給付として行う介護給付の金額を引き
下げることを規定する「警察官の職務に協力援助した者の災害給付
に関する法律施行令の一部を改正する政令案」について説明があり、
原案どおり決定した。

(3)警備業の要件に関する規則等の一部を改正する規則案について

刑事局長から、金融商品取引法等の一部を改正する法律等の施行
に伴い、警備業の要件に関する規則等の一部を改正するとともに、
規則案に対する意見公募手続の実施結果を公示することについて説
明があり、原案どおり決定した。

(4)構造改革特別区域法に基づく内閣府告示案について

交通局長から、1月14日から2月13日までの間実施した「構
造改革特別区域法に基づく内閣府告示案」に対する意見公募の実施
結果を一般に公表することとともに、同告示案について説明があり、
原案どおり決定した。

(5)移動等円滑化の促進に関する基本方針の全部を改正する告示案に
ついて

交通局長から、平成22年までのバリアフリー化の目標等を定め
ている移動等円滑化の促進に関する基本方針について、平成23年
以降の新たな目標を設定するなどを目的とする高齢者、障害者等の
移動等の円滑化の促進に関する法律に基づく移動等円滑化の促進に
関する基本方針の全部を改正する告示案について説明があり、原案
どおり決定した。

(6)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答
を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、そ
の内容を了承した。

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)行政機関情報公開法の改正動向について

官房長から、行政機関情報公開法の改正動向について報告があっ
た。

(3)ニュージーランド南島での地震に係る国際緊急援助隊の派遣につ
いて

官房長から、ニュージーランド南島での地震の発生に伴い我が国
が派遣した国際緊急援助隊に関し、救助チーム等の派遣状況等につ
いて報告があった。

委員長より、「ニュージーランドへ派遣された国際緊急援助隊警
察部隊の皆さんについて、本当に大変な苦労だったと思うし、特に
今回の場合は、生存者を発見することができなかったので、各隊員
の達成感といった意味においても、大変厳しい状況だったと思う。
第一から第三次までの救助チーム及び専門家チームの派遣を行い、
まだ今も現地で苦労している隊員もいるところ、警察庁には、是非、
各隊員に対して、特に気遣いをしてやっていただきたい」旨の発言
があった。

(4)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「静岡県警察の警部補が、ひき逃げ事故を起こ
し、妻に身代わりを依頼したとして、2月13日に通常逮捕された
事案等に関し、同県警察は、3月10日、同警部補を懲戒免職処分
とするとともに、監督責任として、上司を本部長注意の措置とする
予定である」旨の報告があった。

(5)平成22年中のストーカー事案及び配偶者からの暴力事案の対応
状況について

生活安全局長から、平成22年中のストーカー事案及び配偶者か
らの暴力事案の対応状況について報告があった。

(6)電車内の痴漢防止に係る研究会の報告書について

生活安全局長から、電車内の痴漢防止に係る研究会の報告書につ
いて報告があった。

(7)犯罪インフラ対策プランの策定等について

刑事局長から、治安に対する重大な脅威となっている犯罪インフ
ラ(犯罪を助長し、又は容易にする基盤)に対応するための基本方
針として、警察が当面取り組むべき施策を取りまとめた「犯罪イン
フラ対策プラン」を策定するとともに、犯罪インフラ対策を推進す
るため、次長を長とする「犯罪のグローバル化・犯罪インフラ対策
委員会」を設置することについて報告があった。

山本委員より、「警察は、『犯罪があると思料したときに捜査を
始める』ということになっており、犯罪の可能性が見えてから動き
出すのが基本であるが、一方で、情報インフラや交通手段が非常に
発達して利便性が増していることを踏まえると、以前のような犯罪
が分かってからの対応では手遅れになるということが起きやすい状
況になりつつあるのではないかと思う。こうした認識を前提にする
と、『犯罪があると思料してから初めて動くとか、犯罪があると思
料しなければ動けないということで本当にいいのか』という思いが
ある。もちろん、国民に対する権利侵害ということも慎重に判断し
ないといけないことではあるが、犯罪をきちんと取り締まるために
どうしても必要だということであれば、国民の権利侵害という部分
を最小限に抑えながら対応するということを考えられても良いので
はないかという感じもする。基本は、『犯罪をきちんと処罰する』
ということに向けて、犯罪インフラ対策の中に、従前の着手時期で
良いのかどうか、もう少し早く資料を収集する手段がないのかどう
かについても考えてみてはいかがか。例えば、監視カメラなど、そ
のような意味で用いられているものも現にあると思うが、それだけ
で足りるのかというようなことについても、考えてはいかがかと思
う」旨の発言があり、刑事局長から、「委員の御指摘のとおりと認
識している。『実態解明の推進』については、本施策の基本戦略の
大きな一つになっており、あらゆる警察活動を通じて実態を把握し
て、迅速に手を打つということを非常に重視しているので、なるべ
く委員御指摘の趣旨が実現できるよう努力していきたいと思う」旨
の説明があった。

(8)第9次交通安全基本計画最終案について

交通局長から、平成23年度から27年度までの5か年を計画期
間とする第9次交通安全基本計画の最終案について報告があった。

3 その他

(1)髙木委員より、「本日の朝刊に、遺伝子解析に用いるキットに不
具合があった旨の記事が載っていたが、DNAデータの信頼性に関
わるようになっては大変だと思う。この内容について説明していた
だきたい」旨の発言があり、刑事局長から、「本件は、昨年購入し
て全国に配備をした米国製のDNA型鑑定装置用のキットの一部に
不具合があったものである。具体的には、消耗品としてDNA資料
の抽出の際に用いるマイクロチューブ様の器具に、その製造過程に
おいて、作業員のDNAが付着した可能性があるということが発覚
したものである。発覚の経緯については、昨年の12月、科警研に
おいて研究をする過程で、不審点があり、米国のメーカーに問い合
わせたところ、同メーカーが事実を認めたものである。既に昨年、
約2万5,000件の鑑定を当該キットで行っていたので、それら
について調査を行った結果、鑑定結果についての問題は今のところ
発生していない。したがって、犯罪の立証のために間違った鑑定を
してしまったという可能性は、現在のところないと見ている。なお、
鑑定の機械そのものは問題ないが、当該キットの専用の鑑定装置で
あるため、この問題の発生により、現在、都道府県警察に対し当該
鑑定装置は使用しないようにさせているが、以前の鑑定装置を使用
していることから、鑑定の滞留等の不都合は起こっていない。しか
し、キットの問題点さえ解決できれば、使用を再開できるため、早
期再開を目指し、メーカーに対して至急改善を図るよう、申し向け
ているところである」旨の説明があった。

田尾委員より、「DNAの鑑定装置は、外国製でなければだめな
のか」旨の発言があり、刑事局長から、「入札によって、我が国警
察の求める仕様に最も合い、かつ、安価なものを購入しているもの
である」旨の説明があった。

(2)髙木委員より、「本日配付された、冊子『治安の回顧と展望』に
関し、簡単に昨年の治安情勢の特徴について講評していただきたい」
旨の発言があり、警備局長から、「当該冊子については、昨年12
月9日に公表した内容を冊子にしたものを配付したところであり、
基本的には当時と内容は変わっていない。内容としては、公安情勢、
外事情勢、国際テロ情勢と、それぞれの対象に応じて状況を分析し
たものであるが、特に、外事情勢、国際テロ情勢については、極め
て厳しい情勢が継続している。中でも、北朝鮮の動向については、
その権力が金正日国防委員長から金正恩氏へ移行する時期であり、
また、来年が同国の『2012年強盛大国』の年であるので、北朝
鮮の動向に対しては、十分な注意が払われる必要があるというのが、
一つの大きな柱である。また、国際テロに関しては、特に欧米にお
いて、ホームグローン・テロリストの脅威が高まっているところで
あり、昨年は、2001年の同時多発テロ以降、最大の脅威が高ま
った時期であった。そして、その脅威は引き続き継続すると見てお
り、極めて厳しい情勢が続くものと考えている。また、国内治安と
しては、特に、国内の不透明な政治経済の動きの中で、右翼等によ
るテロ等の発生が懸念されるということが言える」旨の説明があっ
た。