定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成23年3月17日(木)

午前10時00分 午前11時05分


第2 出席者 中野委員長、長谷川、田尾、髙木、山本、前田各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、

警備局長、情報通信局長

首席監察官


第3  議事の概要

1 議題事項

(1)東北地方太平洋沖地震の被害者の権利利益の満了日の延長措置を指
定する国家公安委員会告示の制定について

官房長から、平成23年東北地方太平洋沖地震が『特定非常災害』
として指定されたことに伴い、国家公安委員会所管の法令について、
被害者の行政上の権利利益に係る満了日を延長する措置をとること等
を内容とする国家公安委員会告示の制定について説明があり、原案ど
おり決定した。

(2)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を
要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内
容を了承した。

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)第二次犯罪被害者等基本計画(仮称)案のとりまとめについて

官房長から、第二次犯罪被害者等基本計画(仮称)案のとりまとめ
について報告があった。

(3)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「兵庫県警察の巡査長が、女性警察官2名に対し
てわいせつな行為をした事案に関し、同県警察は、3月17日、同巡
査長を懲戒免職処分とするとともに、監督責任として、上司3名を本
部長注意等の措置とする予定である」旨及び「茨城県警察の巡査部長
が、児童買春をしたとして、2月22日に通常逮捕された事案に関し、
同県警察は、3月17日、同巡査部長を懲戒免職処分とする予定であ
る」旨の報告があった。

(4)平成23年東北地方太平洋沖地震による被害状況と警察措置につい

警備局長から、平成23年東北地方太平洋沖地震による被害状況と
警察措置に関する概要について報告があり、関連発言として、官房長
から、警察職員の被害状況及び警察施設等の被害状況について、生活
安全局長から、パトロール活動の強化、女性警察官の特別派遣及びそ
の他計画中の特別派遣について、刑事局長から、主な被災地である岩
手、宮城、福島3県における死体取扱状況等について、交通局長から、
主な交通対策の進捗状況について、情報通信局長から、各種警察通信
活動の状況について、それぞれ報告があった。

山本委員より、「諸外国から、援助隊が来日しているが、これらの
活動状況等については、どのようになっているのか」旨の発言があり、
警備局長から、「受入れは、基本的には外務省とJICAが窓口にな
っており、現場の部隊の支援については、警察と消防が手分けをして
行っている。ただ、当初はそれで対応していたが、警察の方も手一杯
になってきたため、途中から、『受入れはさせていただくが、完全自
立型の部隊で来ていただきたい』旨のお願いをしており、そのような
体制で来日可能な部隊については、引き続き来日している。また、一
部には既に引き上げた部隊もある」旨の説明があり、官房長から、
「16日正午現在で、台湾を含む14の国及び地域、国際機関を合わ
せて概ね800名が入国している。韓国、シンガポール、ドイツ、ス
イス、アメリカ、中国、イギリス、フランス、メキシコ、オーストラ
リア、ニュージーランド、ロシア、モンゴル及び台湾である」旨の説
明があった。

前田委員より、「道路規制について、先ほど、『現在は災対法によ
って緊急交通路を指定しているが、今後、タイミングを見て道路交通
法による規制に移行する』旨の説明があったが、これはどういうタイ
ミングで、誰が決めるのか」旨の発言があり、交通局長から、「基本
的には、都道府県公安委員会による交通規制によることとなるが、高
速道路に関する規制は広域にわたるものであるので、国家公安委員会
が指示をすることも可能である」旨の説明があった。前田委員より、
「道路規制に関しては、最初は緊急であるのでやらざるを得ないと思
うが、これだけ広い地域で、鉄路、海路、空路と物流が滞っている中
では、道路しか物流の拠点がないので、できるだけ早く通行できるよ
うにしないと、そもそも生活ができなくなってしまう。例えば、東北
自動車道においても、路線の全てがものすごく満杯状態になっている
ものではないと考えられるので、長い距離全てにわたって同じ規制を
行う必要があるのかと思う。通行が可能な範囲では、部分的に規制緩
和するとかいうようなことはできないのか」旨の発言があり、交通局
長から、「むしろこれは、規制の問題ではなくて道路自体が安全に通
行できるかという問題である。現状、一般道路で東京から盛岡ぐらい
まで、約20時間かかっている。東北自動車道については、一部分の
規制を解除にする準備をしているが、ネクスコと国土交通省が道路の
安全点検を行っている。常磐自動車道については、規制を解除して全
面通行可にした。委員御指摘の点は、全くそのとおりであるので、通
行可能なところについては、できるだけタイミングを見て通行できる
ようにすることとしている」旨の説明があった。委員長より、「国土
交通大臣にも、強い要請をしているなど、いろいろな努力を昼夜兼行
で行っている。特に、ガソリンの輸送に関しては、既に、タンクロー
リーへの標章交付は現地の検問所でも行うなど、簡易に許可を出せる
ような措置をした。東北自動車道では、震災被害により一部で路面が
でこぼこになっている箇所がある。多くの車を通した場合に、例えば
一か所でも陥没してしまうと、かえって全面通行止めなどになってし
まう。これはなんとしても避けなければならないので、大変苦慮して
いるところである。臨機応変な対策ができるように、交通局長は大変
苦労してくれている。また、港が、釜石を始め、昨日辺りから少しず
つ使えるようになってきており、これにも大変期待をしているほか、
空港も最低限の機能を回復しつつある」旨の発言があった。

長官から、「輸送路が確保できたとして、果たしてどれだけ行きわ
たるか、根源的には、燃料補給の問題を至急解決しないといけないと
思う」旨の説明があった。

髙木委員より、「警察業務に必要なガソリンの手配には問題はない
のか」旨の発言があり、警備局長から、「部隊の話では、かなりひっ
迫しているということである。警察、消防等、緊急の車両については、
優先的に給油をしていただけるということで活動できているが、絶対
量が少ないので、苦労していると思う」旨の説明があった。

髙木委員より、「治安の悪化は、特に見られないのか」旨の発言が
あり、生活安全局長から、「犯罪の件数自体が増えているとは認識し
ていないが、被災地においては、被災したコンビニに侵入して物を盗
んだとか、スーパーで荷下ろし中に、イライラが募った顧客が、店頭
に並べる前の品物を持ち去ったといった事案がある。あるいは、タン
クローリーが到着した際に、運転手が粗暴な扱いを受けたという事案
もあるが、現時点では、これといった凶悪な犯罪が発生しているとい
うような状況ではない」旨の説明があった。

長谷川委員より、「現在通行できる道路を示した地図を見ると、全
く孤立している場所があるが、そこには物資が何も届いていないので
はないか。対策はどうなっているのか」旨の発言があり、交通局長か
ら、「大きな道路から順番に、道路管理者の方で、がれきを撤去して
道路を切り開いていっているので、かなり大きな集落のところには届
くようになってきた。その状況は、国土交通省の方でまとめてインタ
ーネットで掲示している」旨の説明があり、委員長より、「孤立集落
に対しては、自衛隊や警察のヘリコプターで物資を投下するといった
ことも含めて、必死で行っており、大分届き始めているという報告を
受けている」旨の発言があった。長官から、「病院等の施設でも、結
局は、燃料の問題に帰結してしまう。電気がまだ回復しないところが
あり、それに備えて病院には非常用電源があるが、動力用の重油が枯
渇する。そうなると、次の大きな病院に患者を移送することになる。
透析装置等の医療機器もなかなか機能しないという事態が発生する」
旨の説明があった。

長谷川委員より、「『被災地の町から、死体が多すぎるので、土葬
にしたいという要請があった』旨の報道がされていたが、それについ
てはどうなっているのか」旨の発言があり、刑事局長から、「まだ実
施していないと思うが、甚大な被害を受けた自治体でそのような発言
があったと承知している。権限的には、市町村の権限で、埋葬も火葬
も可能である。したがって、例えばどこかの墓地なりに土葬するとい
うことは、可能ではある」旨の説明があった。委員長より、「身元不
明の死体がやはり多いし、家族ごとお亡くなりになるということもあ
って、引受人がいないということがある。そういうこともあり、現場
の鑑識班では、記録として残すことができる必要最小限度のものを保
管して、市町村役場の方へお引き渡しするという形をとっている。で
き得る限り丁重にさせていただいてはいるが、なかなか完璧にはなら
ない」旨の発言があった。

田尾委員より、「原発の問題についても事態が悪化していっている
が、今後どういう状況を想定し、警察の方としてはどう対応していく
のか」旨の発言があり、警備局長から、「原発の状態そのものは、経
済産業省、原子力安全・保安院の方で管理をしているものであるが、
現時点で最も厳しい状態にあるのは、福島第一原子力発電所であると
承知している。原子炉そのものは、一部に損傷があるとのことである
が、現時点では原子炉内の放射能が全て外へ出て行っているような状
況ではない。喫緊に手を打たなければならないことは、使用済み核燃
料の貯蔵プールにある水の温度がかなり上がってきているので、それ
を下げることである。現在、同地の原子炉のうち、1から4号機まで
の4機が問題となっているが、現在休止している5及び6号機も、使
用済みの核燃料について他の4機と同様の問題があり、これについて
も、今後とも十分に警戒・監視をしていかなければならない。使用済
み核燃料等を冷やすための作業で、今のところ警察ができることは、
報道にもあるとおり、放水車による放水活動であるが、今後、事態が
更に悪化していくと、警察が対応できることは、極めて限られてくる
と思う。基本的にはやはり、住民の方の避難誘導、その支援がメイン
になってくると思う」旨の発言があった。