定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成23年3月31日(木)

午前10時00分 午前11時45分


第2 出席者 長谷川、田尾、髙木、山本、前田各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、

警備局長、情報通信局長


第3  議事の概要

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、「4月8日付けを始めとする地方警務官2名の人事
案件について発令していただきたい」旨の説明があり、原案どおり
決定した。

(2)「平成23年度政策評価の実施に関する計画」等について

官房長から、「平成23年度政策評価の実施に関する計画(案)」、
「平成23年度実績評価計画書(案)」及び「事業評価書(案)」
についてそれぞれ説明があり、原案どおり決定した。

(3)無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律の施行状況
に関する報告について

警備局長から、「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関す
る法律の規定に基づき、平成22年中の同法の施行状況について国
会に報告することとしたい」旨の説明があり、原案どおり決定した。

(4)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答
を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、内
容を一部修正の上、その内容を了承した。

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)平成22年中の警察安全相談の状況について

生活安全局長から、平成22年中の警察安全相談の取扱件数、相
談内容等について報告があった。

山本委員より、「本件についての所感であるが、弁護士と警察は、
刑事事件の場面では厳しく対立する立場にあるために、なかなか相
手方を信頼して対するという関係になりにくい面があることは否め
ない。しかし、暴力団対策という点で、いわゆる民暴等に関わって
いる弁護士との間では、警察と非常によい信頼関係が生まれつつあ
るとも思っている。また、近年、弁護士の数が非常に増え、警察に
対し先入観を持たない弁護士も増えてきている。一般の人からの警
察に対する相談の中には、弁護士が引き取った方がむしろ解決が早
く、適するものもたくさんあるだろうと思う。そういう意味では、
犯罪についてはきちんと処罰し、そうでないものについてはしかる
べき処置をしていくという観点から、警察サイドにおいて、弁護士
との協力関係を構築して、弁護士の力を活用するということも検討
してみてはどうか。そのことにより警察の負担が減れば、警察が本
来力を注ぐべきところにより強く力を注ぐことができるようになる
という意味でもよいと思う。すぐには実現が難しいだろうと思うが、
全体の状況としてはそれも可能になりつつあるのではないかと思っ
ているので、弁護士会に対しても、そういう方向での努力をしてほ
しいということを伝えたいと思う。いずれにせよ、基本は、『国民
にとって必要なサービスを、きちんと提供していく』ということで
あるので、是非、『弁護士の活用』について、警察サイドでも考え
てみていただきたい」旨の発言があった。

(3)第17回統一地方選挙における違反取締状況等について

刑事局長から、第17回統一地方選挙における違反取締状況等に
ついて報告があった。

(4)平成23年東北地方太平洋沖地震による被害状況と警察措置につ
いて

警備局長から、平成23年東北地方太平洋沖地震による被害状況
と警察措置に関する概要について報告があり、関連発言として、刑
事局長から、主な被災地である岩手、宮城、福島3県における死体
取扱及び身元確認状況等について、生活安全局長から、被災地の治
安状況、防犯、犯罪取締り活動の強化及び女性警察官の特別派遣に
よる被災者支援の状況について、交通局長から、運転免許証の再交
付事務の状況について、情報通信局長から、各種警察通信活動の状
況について、官房長から、被災県警察に対する支援体制の強化及び
警察職員の被災状況について、それぞれ報告があった。

長谷川委員より、「福島第一原子力発電所の事故に関し、今後仮
に、首都圏で人がパニックに陥るような状況となったというような
場合、治安は大丈夫なのか」旨の発言があり、警備局長から、「ま
ず、原発については、原子炉を冷やす作業が着実に行われており、
放射能の危機が首都圏に及ぶような状況にはないが、万一混乱が発
生した場合に対しては、機動隊を出動させるなどしてしっかりと整
理を行い、御指摘のようなパニックを起こさせないような対策をき
ちんと行うこととしている」旨の説明があり、長官から、「都市の
パニックへの対応については、警察はもとより、政府全体で対応し
なければならないが、現時点ではそのような危機的状況にはないと
考えている」旨の説明があった。

田尾委員より、「宮城県の治安情勢に鑑み同県への特別派遣部隊
を増派したということであり、迅速で良い措置だと思うが、やはり、
『地元は今どういう状況になっている』という治安状況を適宜把握
し、それにしっかり対応していくということをこれからも継続して
いく必要があると思う。それとともに、例えば岩手県では犯罪の発
生件数が増えていないといった、言わば『良い情報』についても適
宜何らかの機会を捉えて広報しておくと、地元の人たちの余計な不
安感を増やさないためにも大事だろうと思う」旨の発言があり、長
官から、「通常時とは違う状況なので、非常に注意深く、かつきめ
細かく状況を見ていかないといけない。その上で広報したり、犯罪
の抑止・牽制もきちんとしなければならない。また、委員御指摘の
ように、住民を安心させるような広報を各県で適切に行うよう、警
察庁として、より一層指導していきたいと思う」旨の説明があった。

田尾委員より、「全国のいわゆる被災地以外の犯罪の発生状況に
ついてはどうなっているのか」旨の発言があり、生活安全局長から、
「概ね6%程度だったと思うが、犯罪認知件数は減少しており、全
体的に減少傾向にある」旨の説明があった。

髙木委員より、「報道によれば、福島と仙台の各地検が、被疑者
を釈放したということであるが、どのような根拠に基づいて行われ
ているのか」旨の発言があり、刑事局長から、「検察の権限による
ものである。検察官の個々の処分として、検察官の責任と権限にお
いて、警察に対して釈放指揮書を発出することにより、被疑者を釈
放することができる。これにより、福島及び仙台地検において、約
60名の未決拘留者を釈放したと承知している。法務省は、検事の
取調べが非常に難しい状態であり、また、護送等の手続もこれから
非常に困難になるほか、余震も続いていて、勾留者の安全の問題も
考慮したという説明をしている」旨の説明があり、官房長から、
「留置人を管理する警察としては、震災直後、8道県35警察署に
おいて、約200名の被疑者を一時避難させたが、うち130名は、
結局元の施設が使えるということで戻し、残り70名は、避難先の
署にそのまま留置するというような措置をとり、また、被留置者の
処遇についても、特に問題なく行っているという現状である」旨の
説明があった。

3 その他

(1)生活安全局長から、保護活動中の死亡事案に係る判決(佐賀県)
について報告があった。