定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成23年5月19日(木)

午前10時00分 午後0時10分


第2 出席者 中野委員長、長谷川、田尾、髙木、山本、前田各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、

警備局長、情報通信局長

首席監察官


第3  議事の概要

1 議題事項

(1)警察庁長官等の評価手続について

警察庁長官等の評価手続について実施した。

(2)警察表彰規則の一部を改正する規則案について

官房長から、「災害により殉職した警察職員に対し、殉職者特別
賞じゆつ金を付与することができるよう警察表彰規則の改正を行う」
旨の説明があった。

田尾委員より、「語句の問題であるが、改正案の第5条の2第1
項には『被る』と漢字だが、規則第4条では『こうむる』と平仮名
で書かれており、不整合なので統一して表記した方がよいのではな
いか」旨の発言があり、官房長から、「法令の表記のルールとして、
当該条文を作成する時点における用字用語の使い方によることとな
っており、委員御指摘の第4条については、今回の改正の対象とな
っていないため旧表記のままとなっている。同一法令内で平仮名と
漢字が結果として混在することについては法令改正ルールとして問
題はないが、一方で、整合を図るという意味から、第4条も併せて
改正することもできる」旨の説明があった。

委員長より、「直すことができるものならば、統一しておいた方
が良いと思う」旨の発言があり、官房長から、「表記については御
一任いただければ警察庁側で精査の上、作業することとしたい」旨
の説明があり、これに係る修正については警察庁に一任の上、それ
以外については原案どおり決定した。

(3)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「神奈川県警察の事務職員が、県へ帰属する拾
得物件の換金手続をし、その払戻金を横領したとして、4月19日
に通常逮捕された事案に関し、同県警察は、国家公安委員会の了承
が得られれば、5月20日、監督責任として、地方警務官の警察署
長を警務部長訓戒の措置とする予定である」旨の説明があり、原案
どおり了承した。

田尾委員より、「拾得物件は、いつの時点で横領されたのか」旨
の発言があり、首席監察官から、「拾得物件を換金し、その現金を
横領したものである」旨の説明があった。

委員長より、「こういうことで、自分の人生を棒に振るのは、ち
ょっと理解ができない」旨の発言があり、長官から、「結局、根底
にあるのは『小遣いが欲しい』といったお金のことで、これで一瞬
にして職を失ってしまう。大変情けないことである」旨の説明があ
った。

(4)第4回日中韓サミット開催に伴う警護警備及び静穏保持法に基づ
く外国公館等周辺地域の指定に関する協議について

警備局長から、「温家宝(おんかほう)中華人民共和国国務院総理
及び李明博(イミョンバク)大韓民国大統領は、5月21日及び5月
22日の両日、第4回日中韓サミット出席等のため来日する予定で
あり、これに伴い、外務大臣から国家公安委員会に対し、5月21
日から5月22日までの間、迎賓館周辺地域等を静穏保持法に基づ
く地域に指定したい旨の協議があり、これに同意することが適当で
あると考える。なお、両国首脳の来日に際しては、所要の警護警備
を実施することとしている」旨の説明があり、原案どおり決定した。

(5)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答
を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、そ
の内容を了承した。

2 報告事項

(1)刑事収容施設法の施行状況について

官房長から、刑事収容施設法の施行状況について報告があった。

田尾委員より、「この報告によれば、留置施設の運営管理の面や
被留置者の処遇の面で、いずれも、運用が迅速・適切になされてい
るようであり、結構なことだと思う。今後の方向として留意すべき
点として挙げられている、面会室や女性用房室の整備、あるいは、
女性の留置担当者の配置といったことについては、財政上の問題と
か、物的・人的な面の手当てが必要なため、すぐに解決できるとい
うものではないが、引き続き努力をお願いしたい。また、刑事施設
への移送の問題については、元々、警察に問題があるというよりは
むしろ、移送先のいわゆる刑事施設の方に問題があり、警察として
は努力をしてもすぐには解決しない問題であると思う。報告書の移
送待機者数や移送待機率の記述については、そういうことを前提に
理解する必要があろう。ところで、平均収容日数については、何日
その留置施設に入っているかということであるが、これは、移送待
機の問題とは、直接関係ないだろうと思う。むしろ、起訴されてか
ら移送されるまでの待機の期間がどのくらいかという数が意味があ
ると思う」旨の発言があり、官房長から、「ある被疑者に余罪も何
もなく、追加の捜査の必要性がない場合に、起訴から実際に移送さ
れるまでに何日かという統計を取る意味はあると思うが、その数字
はない」旨の説明があった。

山本委員より、「面会室の整備の推進と、弁護人選任届の授受の
簡素化の二つについては、大変いい方向に進んでいると思う。接見
室については今後も是非、実情に合わせた設備の実現に御尽力をお
願いする。また、これは『視点の提示』であるが、手続の一つ一つ
は小さい手間でも、工夫により手間が減るものがある。例えば、地
方で行う裁判について、両方の代理人が東京という場合には、電話
で、『この時間からやりましょう』ということに決めておいて、裁
判所から両弁護人に電話が来て、電話の打合せだけで、裁判の手続
が終わるといったことが、かなり広く行われつつある。そうすると、
地方の裁判所へ出向く作業が要らなくなるので、かなり負担が軽く
なる。そうしたことが、最終的には弁護士費用の負担というところ
へ及んでいくので、小さなことでも、まとまると影響が大きくなっ
てくる。接見についても、弁護士が警察に行って、長時間待たされ
ることがなくなってくると、その分負担が軽くなる。面会室の整備
や弁護人選任届の授受の簡素化はそういう問題でもあるということ
を是非知っていただいて、これからも、御尽力いただけると有り難
い」旨の発言があった。

(2)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(3)警察庁における女性職員採用・登用拡大計画の策定について

官房長から、警察庁における女性職員の採用・登用拡大計画を策
定した旨の報告があった。

長谷川委員より、「今や、あからさまに性差別で昇任できないと
いうことはあまりないと思う。学術の世界でも、女性の研究者、特
に理科系の研究者がどうして増えないのかということについて詳細
な研究が多くなされているが、結論は、『女性が出産・育児を行う
ことによる負担が極めて大きく、肉体的にコストのない男性との間
で、キャリアの積み上げ方が全く違ってくることにある』というも
ので、育児に対するサポートをどのようにするか、そして、出産や
育児で一時休んでも、キャリアのその後の発展に、大きなマイナス
にはならないような保障がされる仕組みが細かくあることが、一番
大事だというのが、学術関係女性の登用に関する研究の結果である。
同様のことは、公務員の採用・登用に関しても当てはまるかと思う。
報告の中には、『職場環境の整備』として、託児所、ベビーシッタ
ーの利用のような、仕事と育児の両立を支援する制度についての手
引きといったことについて少し触れられているが、もう少し、そこ
が非常に大事だという評価をしていただいて、積極的に作っていた
だきたいと思う」旨の発言があり、官房長から、「本件の検討の際
に、内部の会議において、女性職員から、『結局、活躍している人
は独身か、あるいは自分の両親がそばに住んでいて支援が受けられ
るために両立できているのではないか』という旨の、委員の御指摘
と同様の発言があった。現状では、『フルに働ける』ことを前提に
システムができ上がっているので、そこは変えていかないと難しい
という話になっている。委員の御指摘を踏まえ、努力していきたい
と思う」旨の説明があった。

委員長より、「都道府県警察においても、数名の警察庁採用の女
性幹部が活躍しており、大変好評であると聞いている。そしてまた、
その評価が、後輩にも伝えられるので、とても良いことだと思う」
旨の発言があった。

(4)監察の取扱い事案について

首席監察官から、1(3)で説明のあった神奈川県警察の事務職
員による業務上横領事案に関し、「同県警察は、5月20日、同事
務職員を懲戒免職処分とするとともに、監督責任として、上司3名
を警務部長訓戒等の措置とする予定である」旨及び「北海道警察の
巡査部長が、盗撮行為をしたとして、4月21日に現行犯逮捕され
た事案等に関し、北海道警察は、5月19日、同巡査部長を懲戒免
職処分とするとともに、監督責任として、上司を本部長注意の措置
とする予定である」旨の報告があった。

(5)国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)に
ついて

生活安全局長から、国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条
約(ハーグ条約)の概要、これまでの経緯等について報告があった。

(6)コミュニティサイトに起因する児童被害の事犯に係る調査分析に
ついて(平成22年下半期)

生活安全局長から、「近年、出会い系サイトに起因する児童被害
の事犯が減少する一方、コミュニティサイトに起因する事犯が大幅
に増加していることから、関連事業者や保護者等による被害防止対
策に役立てるため、平成22年上半期の調査に引き続き、同年下半
期の事犯の詳細を調査分析した」旨の報告があった。

長谷川委員より、「EMAについては、被害発生状況を見ると認
定サイトが半分以上を占めているが、これはどういうことなのか」
旨の発言があり、生活安全局長から、「児童被害の約6割がEMA
認定サイトに起因するという実態にあるが、EMAについては、こ
れまで、認定した後、被害の発生状況等を踏まえながら、監視・指
導をするとか、場合によっては認定を取り消すといったことがなか
った。これまでの運営については、そういう観点からは、問題があ
ったと思われる。そこで、協議を行い、今年の2月には覚書を取り
結んだところである」旨の説明があり、次長から、「以前は、大き
なサイトは、『会員がたくさんいるからしっかりした監視ができな
い』と言っていたが、一部大手サイトは、最近、監視要員を増やし
て、大分良くなっている。他の会社もそうやってコストをかけて体
制を増強していけば、良くなっていくと思う。我々としては、現在
その取組を一生懸命やっている」旨の説明があった。

(7)新しい取消処分者講習(モデル事業)の実施結果について

交通局長から、昨年9月から本年2月まで4府県警察において実
施した酒気帯び運転等の違反者に対する新しい取消処分者講習(モ
デル事業)の受講者数等の結果について報告があった。

(8)自動車安全運転センター評議員任命の認可について

交通局長から、「自動車安全運転センター法の規定に基づき、同
センターから国家公安委員会に対して、評議員任命についての申請
がなされたが、適正であると認められたことから、長官専決の上、
評議員の任命について認可を行ったものである」旨の報告があった。

(9)天皇皇后両陛下の第62回全国植樹祭御臨場等に伴う警衛警備に
ついて

警備局長から、「天皇皇后両陛下は、5月21日から5月22日
までの間、第62回全国植樹祭御臨場等のため、和歌山県へ行幸啓
になる予定であり、これに伴い、所要の警衛警備を実施する」旨の
報告があった。

(10)菅内閣総理大臣の欧州訪問(G8ドーヴィル・サミット出席等)
に伴う警護警備について

警備局長から、「菅内閣総理大臣は、5月24日から5月29日
までの間、G8ドーヴィル・サミット及び日・EU定期首脳協議出
席等のため、フランス及びベルギーを訪問する予定であり、所要の
警護警備を実施する」旨の報告があった。

(11)東日本大震災に伴う警察措置について

警備局長から、東日本大震災に伴う警察措置に関し、福島第一原
子力発電所周辺における活動及び被災県警察に対する支援体制の強
化について報告があり、関連発言として、刑事局長から、主な被災
地である岩手、宮城、福島3県における死体取扱及び身元確認状況
等について、生活安全局長から、避難所において相談受理等に従事
する特別派遣の女性警察官の数、応援パトカーの数等について、交
通局長から、主な被災地3県における指定自動車教習所の被災及び
それに対する支援の状況について、情報通信局長から、各種警察通
信活動の状況について、官房長から、警察職員の被災状況について、
それぞれ報告があった。

3 その他

(1)警備局長から、国際テロ対策に係るデータのインターネット上へ
の掲出事案に関する国家賠償請求訴訟の提起について報告があった。

髙木委員より、「本件は去年の秋に発生し、暮れに中間報告があ
ったが、その後、調査・捜査はどうなっているのか。国民は、『随
分捜査に時間がかかっている』と思っているのではないかと思うが、
どうか」旨の発言があり、警備局長から、「現在、捜査を引き続き
行っているが、引き続き、警視庁を督励して、全力で捜査を進めさ
せたい」旨の説明があった。

委員長より、「『このような事案が発生したことが、まず警察と
しての一つの汚点であるが、その真相が解明できないとなると、こ
れは汚点に汚点を重ねることになるので、是非、より一層御努力を
頂きたい』ということを、折に触れて申し上げているが、大変、困
難で頭の痛い問題だと思う。これは、日本の警察に対する内外の信
頼に関わる問題である」旨の発言があり、長官から、「本事件の捜
査については、その困難を克服することが日本の警察の責任であり、
この困難を乗り越えていかなければならないと考えている」旨の説
明があった。