定例委員会の開催状況


第1 日 時 平成23年6月2日(木)

午前10時00分 午前11時15分


第2 出席者 中野委員長、長谷川、田尾、髙木、山本、前田各委員

長官、次長、官房長、生活安全局長、刑事局長、交通局長、

警備局長、情報通信局長

総括審議官、首席監察官


第3  議事の概要

1 議題事項

(1)国家公務員法等の一部を改正する法律案等(国家公務員制度改革関
連4法案)について

官房長から、国家公務員法等の一部を改正する法律案等(国家公務
員制度改革関連4法案)について説明があり、その内容を了承した。

髙木委員より、「本案では、労働基本権についても言及されている
が、警察はその対象外である。しかし一方で、一般の公務員団体の交
渉で決まってくる条件を、どうやって警察に適用していくのかという
ことに関する仕組みを考える必要があるのではないかと思うが、これ
に関する議論はなされているのか」旨の発言があり、官房長から、
「その議論はある。一つは、勤務の特殊性に鑑み、例えば、一般の公
務員並びではなく、少しは条件的にプラスでなければならないという
場合があり、また、交渉権や協約締結権もないので、他の公務員が締
結したものとの均衡を考慮するべきであるということである。今回の
法律案にもそのような条文が入ることとなっており、制度上は担保さ
れている。ただ、交渉の相手方が、これまでの人事院から公務員庁に
変わるので、速やかに、相互の理解が持てるよう、努めていきたいと
思う」旨の説明があった。

髙木委員より、「諸外国には、一般の組合とは扱われ方が違うよう
ではあるが、警察官の労働組合的な団体がある国もある。日本警察に
おいても、一般公務員が交渉して得る利益との均衡を取れるよう、工
夫すべきである」旨の発言があり、官房長から、「いずれにしても、
新制度の下では大幅にルールが変わってくることとなるので、警察職
員の処遇が不利になることのないよう、努めていきたい」旨の説明が
あった。

委員長から、「ルールは変わるが、一つ変わらないのは、公務員の
処遇に関する最終決定は、法律の形で国会が行うところである。しば
らくは試行錯誤の時期が続くかもしれないが、日本は、日本流の『文
化』を創造していかないといけないと思う。それぞれの国にそれぞれ
の歴史があるので、一概に形が整うものではない」旨の発言があった。

(2)警備業の要件に関する規則等の一部を改正する規則案について

刑事局長から、資本市場及び金融業の基盤強化のための金融商品取
引法等の一部を改正する法律(平成23年法律第49号)の施行に伴
い、金融商品取引法の罰則規定を引用している警備業の要件に関する
規則等の国家公安委員会規則について、所要の改正を行う旨の説明が
あり、原案どおり決定した。

(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を
要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内
容を了承した。

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

(2)国を被告とする文書不開示処分取消請求訴訟の第一審判決について

官房長から、5月26日に言い渡された国を被告とする文書不開示
処分取消請求訴訟の第一審判決について報告があった。

前田委員より、「この判決の要旨で書かれているとおり、本件に関
しては誰が見ても権利の濫用だと思う。他方で、判決によれば、これ
ら440万枚もの文書が開示請求に係る対象文書として特定はされて
いるということとなっているが、果たして、『特定した対象文書は膨
大な数の文書全部である』といってよいものか疑問に思う。警察庁で
は、この判決が、今後、情報開示請求に係る業務にどういう影響を与
えると考えているのか」旨の発言があり、官房長から、「まだ第一審
の判決が出た段階なので、それほどの影響はないと思っている」旨の
説明があった。

田尾委員より、「『文書の枚数が多い』ことと、『文書の特定』の
問題は直接結び付かないと思う。例えば、対象となる文書が数枚しか
なかったとした場合に同様の文書開示請求を受けたのであれば、それ
らを対象文書として特定すればよい訳である。それが、本件のように
440万枚という膨大な数であっても理屈は同じで、請求文書の特定
はできているという判断だろうと思う。『権利の濫用』という主張が
あるのは、特定していることを前提にしているからであろうと思う」
旨の発言があった。

(3)平成23年警察白書(案)概要について

総括審議官から、7月下旬に閣議配布される予定の平成23年警察
白書(案)概要について報告があった。

(4)監察の取扱い事案について

首席監察官から、「群馬県警察の巡査長が、証拠品の現金を窃取し
たなどとして、5月18日に通常逮捕された事案に関し、同県警察は、
6月7日、同巡査長を懲戒免職処分とするとともに、監督責任として、
上司ら4名を戒告処分等とする予定である」旨の報告があった。

田尾委員より、「昨日も、警視が万引きしたという新聞記事を見た。
ハイクラスの者が万引きというのはちょっとみっともない。そのほか
にも、最近また不祥事のことがよく報道されているようであるが、本
年の監察事案の発生状況はどのようになっているのか」旨の発言があ
り、首席監察官から、「3月までは、昨年と同様のペースだったが、
4、5月では、それぞれ10人ずつぐらい、昨年よりも処分者数が減
っている。現時点では、昨年からの比較で処分者数は20人余り減っ
ている。また、逮捕者数についても、昨年よりは若干減って、10人
程度減っている。ただ、これは昨年が大変多かったためであり、一昨
年と比べると、まだ少し多い」旨の説明があった。

(5)柴崎町三丁目警備保障会社に対する多額強盗傷人事件について

刑事局長から、5月12日に発生した、立川市柴崎町所在の警備保
障会社における多額強盗傷人事件について、捜査状況等の報告があっ
た。

長谷川委員より、「本件の捜査においても、防犯カメラがその威力
を発揮したということであり、重大事件の捜査の際にはとても効率が
良いシステムであるので、常にその能力が発揮できるようにしておく
ことが重要である」旨の発言があった。

(6)警察による原子力発電所の警戒警備について

警備局長から、警察による原子力発電所の警戒警備の現状や今後の
課題等について報告があった。

(7)東日本大震災に伴う警察措置について

警備局長から、東日本大震災に伴う警察措置に関し、これまでの特
別派遣部隊の数、福島第一原子力発電所周辺における活動等について
報告があり、関連発言として、刑事局長から、主な被災地である岩手、
宮城、福島3県における死体取扱及び身元確認状況等について、生活
安全局長から、応援パトカー等の初動・防犯活動の状況及び避難所に
おいて相談受理等に従事する特別派遣の女性警察官の活動状況等につ
いて、交通局長から、5月25日現在における一般道路の通行止め状
況及び福島第一原子力発電所の汚染水の処理に用いる大型資材多数を
道路運送することについて、情報通信局長から、各種警察通信活動の
状況について、それぞれ報告があった。

3 その他

(1)官房長から、一般職国家公務員の給与減額支給措置要綱(案)につ
いて報告があった。

長谷川委員より、「国家公務員の給与を一律引き下げることについ
ては、一律ということでやむを得ないが、一生懸命警察職員が苦労し
ているときに下がるというのは、大変お気の毒である。もちろん、警
察が一生懸命やっているからといって、警察だけを特別扱いすること
はできないであろうが、一方で、士気にも影響するし、金銭絡みの不
祥事にも関係してくるかもしれない。せめて、何か精神的なところだ
けでも励みになるようなことがあるような形にしないといけないと思
う」旨の発言があり、官房長から、「ある種幸いなのは、大半の警察
職員は地方公務員であり、これらの者は、今回の措置の対象外である。
しかし、国家公務員の身分にある地方警務官及び通信職員で被災県に
いる者たちは、大変な中で給料が下がってしまうことになり、そこは
残念である。士気が落ちないように、いろいろ工夫していきたいと思
う」旨の発言があった。

委員長から、「被災地での活動に係る手当の増額等について関係機
関と折衝中であり、それらを含めトータルとして処遇を考えてまいり
たい」旨の発言があった。

(2)官房長から、「平成16年1月に東京都足立区内で発生した女性監
禁殺人事件に関し、警察の捜査懈怠等により被害者の殺害という結果
が生じたとして被害者の両親が提起していた民事訴訟について、5月
31日、最高裁判所において、捜査権限不行使の違法性等を認め、東
京都に慰謝料の支払を命ずる東京高裁判決に対する東京都、即ち警視
庁の上告等を棄却等する決定があった」旨の報告があった。